「えっ!? そんなの普通でしょ?」という夏の行動があなたの体を少しずつ壊しています。

 

女性

 

NG1 入浴後、髪の毛が半乾きのまま寝る

 

入浴後のドライヤーの熱が暑苦しくて、髪の毛が半乾きのまま布団に入っていませんか?じつは、半乾きの髪の毛の水分を吸った枕を高温多湿の環境下に放置すると、トリコスポロンというカビが増殖してしまう危険性が。その胞子を吸い込むことで咳や微熱が続く夏型過敏性肺炎を発症するリスクがあります。

トリコスポロンは室内カビの一種で、浴室や脱衣所の腐木、キッチンのシンクの下、畳の裏や寝具にも繁殖します。色が白や黄色で見つけづらいため、気づかないうちに大量に増殖している可能性は否定できません。

髪の毛はしっかり乾かしてから布団に入る、寝具は湿気らせないようにこまめに干す、枕カバーは毎日洗濯するなど、しっかり予防を!

 

NG2 家庭菜園で鶏糞肥料を使う

 

過敏性肺炎には、鳥関連過敏性肺炎というものもあります。これは鳥のフンに含まれるタンパク質や羽根・羽毛などが原因のアレルギー疾患なので、ペットとして小鳥を飼っている方や、野鳥が多い公園のそばに住んでいる方などが発症します。

ところが、身近なところには鳥の存在が確認できないのに、この病気を発症した患者さんが時々私のクリニックを受診されます。そういう患者さんに共通している趣味がじつは家庭菜園。その家庭菜園で使う鶏糞肥料が原因なのです。

トマト、ピーマン、ナスなどの夏野菜は育てやすいので、夏だけ家庭菜園を楽しんでいるという方も、鳥アレルギーの不安がある場合は鶏糞以外の肥料を使う方が安心です。

 

NG 3 そうめんをささっと食べる

 

さっぱりと喉越しのいいそうめんは夏の風物詩。ところが、この喉越しの良さが誤嚥性肺炎の原因になりかねません。

食べ物や飲み物が喉頭や気管に入ってしまってむせてしまう「顕性誤嚥」は、飲食物が通過するスピードに喉の嚥下反射が間に合わないことで起こるもの。固形物よりも液体の方が誤嚥しやすく、固形物でもよく噛まずに流し込んでしまうそうめんなどは危険度が高いのです。

予防のポイントは喉を通過する速度をゆっくりにすること。一気に流し込まず、よく噛んでゆっくり食べてください。もしも頻繁にむせてしまう場合は、気づかぬうちに唾液などを誤嚥する「不顕性誤嚥」を起こしている可能性も。咳が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

 

NG4 ビールを飲んですぐに横になる

 

夏はビールが美味しい季節。ただし、気持ちよく酔っ払ったあとに横になる場合、左を向いて寝ましょう。

胃は左側にループした構造をとって、体の左側に位置しているため、右側を下にして横になると胃の内容物や胃酸が逆流を起こしやすくなります。

ビールの炭酸ガスは胃を膨張させるので、さらにそのリスクは高まり、それが度重なれば食道に炎症を起こす逆流性食道炎を発症する恐れがあるのです。胃酸が喉まで逆流すれば、それが肺に入り込んで誤嚥性肺炎を引き起こす危険もあります。

ビールを飲んだあとに限らず、飲食後に体を休める場合は左側を下にして横になること。左側を下にしていれば、逆流も起こしにくくなります。

 

NG5 ビールを飲みながら屋外で野球観戦

 

暑い場所で汗をかきながら飲むビールの味は格別ですが、非常に危険な行為になることも。

ただでさえ大量の汗で体の水分が奪われているところに、ビールの利尿作用が加わると、血液は一気にドロドロの状態に。喉が渇くからといってさらにビールをガブ飲みすればますます脱水が進み、最悪の場合は急性心筋梗塞を起こす危険もあります。また、夏の外出時はお茶を持ち歩いているという人も多いですが、お茶での水分補給も×。麦茶をのぞいてほとんどのお茶には利尿作用のあるカフェインが含まれているため、熱中症のリスクを却って高めることに。

熱中症予防のための水分補給には最低でも水、好ましいのはスポーツドリンク、理想的なのは経口補水液です。

 

NG6 ゴミを出すのをうっかり忘れる

 

夏にゴミ出しを忘れてしまうのは悪臭の原因になり、決して心地よいものではありません。しかもそのダメージは快適な生活環境だけではなく、健康にも大きな影響を及ぼす可能性が。

じつはゴキブリはアメリカの都市部においては喘息を引き起こすアレルゲンの第1位。日本でもゴキブリアレルギーの患者さんは年々増えているのです。家ではその姿を見かけたことがないという場合も油断は禁物。見たことがない=ゴキブリがいない、ということはなく、出し忘れたゴミなどがあれば、見えないところで増殖してしまう可能性は高いのです。

ゴミはまめに出す、掃除をサボらないといった最低限のことは確実に実行して、ゴキブリを寄せ付けない住まいを目指してください。

 

NG7 家の小麦粉で手作りパンケーキ

 

コナヒョウヒダニはその名のとおり、粉物が大好物。このダニが交じった小麦粉を使って調理したパンケーキやお好み焼きなどが原因で重篤なアナフィラキシー発作を起こしたという症例が国内外で報告されています。

小麦粉に限らず、片栗粉などの粉物は、開封後はしっかり封をして、夏は必ず冷蔵庫で保管するようにしましょう。

 

NG8 冷房が効いた快適な部屋で1日中デスクワーク

 

適度に冷房が効いているオフィスでのデスクワークなら熱中症の心配もないと思っていませんか? 

じつは適切な水分補給をせずにずっと同じ姿勢で過ごしていると、下肢の血流が悪くなって血栓(血の塊)ができやすくなります。それが肺の動脈を詰まらせてしまうと、いわゆるエコノミークラス症候群を発症する危険性が。

冷房が効いている室内でも適切な水分補給を心がけ、時々足を動かしたり、マッサージをしたりして血流を促すことをお忘れなく。

 

NG9 夏バテ対策に栄養ドリンク

 

栄養ドリンクやエナジードリンクは大量に含まれるカフェインの効果で疲労感を軽減させるもの。

ただしカフェインの過剰摂取は血糖値の上昇を引き起こし、糖尿病の要因となる可能性が指摘されています。つまり、立て続けに何本も飲むのは健康を害するといっても過言ではありません。どうしても休めないときなどに一時的に頼る程度にとどめ、必要以上に摂取しないほうが無難です。

 

NG10 カレーを1日置いてから食べる

 

カレーは1日寝かせて食べるほうが美味しい、などとよく言われますが特に夏場は注意が必要です。

食中毒を引き起こすウェルシュ菌は加熱することで大部分が死滅しますが、一部が生き残り、温度が下がる途中の20〜50度、特に43〜45度の範囲で大量に増殖すると言われています。気温の高い夏場は、寝かせている間中、菌が増殖し続けるのです。

翌日まで保存する場合は、小分けにしてから冷蔵庫で冷やして菌の増殖を抑えた上で、よく混ぜながらしっかり再加熱してから食べましょう。

 


 

「PHPからだスマイル(PHPくらしラク~る増刊)」 9月号より

 

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本記事は、「PHPからだスマイル(PHPくらしラク~る増刊)」5月号特集「寿命が縮む夏のNG習慣」より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

大谷義夫(池袋大谷クリニック院長)

群馬大学医学部を卒業。医学博士。2009年に池袋大谷クリニックを開院、日本一の呼吸器患者数を誇るクリニックに。多くのTV番組に出演し、『疲れやすい、痩せにくいは呼吸が原因だった』(二見書房)など著書多数。