頭の中をかけめぐる不安の原因は、考え方のクセにあります。

 

女性

 

ネガティブに考えるクセは誰にでもある

 

嫌なことや思い通りにいかないことがあると、不安や焦りを感じるもの。「私はなぜ、いつもうまくいかないんだろう」「もしかして、嫌われているのかな」などと考えて、落ち込んだりクヨクヨしたりすることは、誰にだってあります。悩むこと自体は、マイナスの行為ではありません。

問題なのは、いつどのような場面においても、あるいは、いつまでもネガティブな考え方をしてしまうことです。そうした偏りのある考え方をしていると、心が疲れてしまい、「なんだか生きづらいな」と感じるようになってしまうこともあります。

ここでは、よくある「マイナスの考え方のクセ」を例に、そこから脱出するためのコツをご紹介します。

 

「嫌われているかも?」と不安になったときは

 

相手の表情や態度から「冷たくされている」と感じることもあるでしょう。でも、相手はあなたが嫌いなわけではなく、たまたまそのときにそういう態度を取っただけで、「嫌われている」というのは自分の思い込み=クセかもしれません。

その思い込みを外してみましょう。もし実際に相手から冷たくされて不安を感じたなら、その気持ちを素直に伝えてみてください。

ポイントは、相手を責めず、「私はあなたに嫌われることをしてしまったのかと感じて不安になっています」とI(アイ)メッセージで伝えること。すると「そんなことないですよ」と誤解がとけたり、「そう感じさせたならごめんなさい」となって、よりよい関係が築けるかもしれません。

 

「空気が読めていないかも?」と心配になったときは

 

日本では昔から、「和」を大切にし、周囲と足並みをそろえることがよしとされてきました。そのため、まわりと違う発言や振舞いをすると「あの人、KY だよね」と陰口を言われることも。それを恐れ、「私、空気読めているかな?」とつねに自分の言動を振り返るクセがついていませんか?

でも、空気を読もうとしすぎないほうがうまくいくことも少なくありません。とくに仕事の場では、空気を読んで「こうすればいいんだな」と自己判断で動いたことがミスにつながることも。空気を読むよりも、言葉でちゃんと確認することを意識しましょう。そのほうが物事がスムーズに進み、人間関係も良好になることが多いのです。

 

どうしても苦手な人がいるときは

 

「どうしても苦手な人」からは離れるのがいちばんですが、身内や職場の人となると、そうも言っていられません。対処法は二つ。一つは、相手に「苦手な人」のレッテルを貼っていないか考えてみる。人間不信のクセにより、無意識に相手を「苦手」と思い込んでいる可能性もあります。

二つめは、自分の行動を見直すこと。苦手と感じる相手とは、そうではない人に比べて接する時間が短くなるもの。すると相手を理解するチャンスが減り、ますます苦手に。「苦手な人」のレッテルをはがし、あえて接する機会を増やしてみましょう。

 

いかがでしたか? いろいろなことに悩み、考えすぎてしまうのは、クセのようなもの。自分のクセに気づき、よい方向に変えていきましょう。

 


 

『PHPスペシャル』 9月号より

 

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本記事は、PHPスペシャル2018年9月号特集「考えすぎない練習」より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

清水栄司(しみず・えいじ)

精神科医。千葉大学大学院医学研究院認知行動生理学教授、同医学部附属病院認知行動療法センター長、子どものこころの発達教育研究センター長。センターでの年間約2900件の認知行動カウンセリングを統括する。著書に『ぐるぐる考えてしまう心のクセのなおし方』(大和書房)などがある。