子どもには、困難な状況を乗り越える力を身につけてほしいと願うもの。そのために、親としてどんなサポートができるのでしょうか。

 

女の子

 

叱るよりも励ますよりも、まず「言い訳をさせること」

 

「乗り越える力」を身につけるためには、自分に自信をもち、自分を肯定することが大切です。そのためのサポートとして、叱るよりも励ますよりも、まずしてほしいことがあります。それは、子どもに「言い訳をさせること」です。

 

お子さんが失敗してあきらめそうなとき「だって……」と言ったら、「言い訳しないの!」と言葉を遮ってはいけません。この「だって」の後にこそ、子どもの不安や本心が隠されているのです。親に不安を受け止めてもらえることで心が安定し、「自分はできる、乗り越えられる」という強さが育っていきます。

 

サポートするときの4つの心得

 

親としてサポートする際に気をつけたいポイントを、最初に押さえておきましょう。

 

【1】受け止める…話を最後まで聞いて寄り添いましょう

心の中にある不安を言葉にすることで心が安定し、乗り越える力を育む土壌ができていきます。うまく言葉にできない場合は、代弁してあげましょう。

 

【2】目標を共有する…何のためにやっているのかを一緒に考えてみましょう

「成功すること」がゴールではありません。その先に何があるのかも一緒に考えてみましょう。行動を起こすための動機づけになります。

 

【3】子どもをよく観察する…子どもに合う励まし方を見つけましょう

ストレートな言葉で励ます、離れたところでそっと見守るなど、わが子にはどんなサポートが合うか、子どもをよく見て考えましょう。

 

【4】長い目で見る…今だけを見て一喜一憂せず長い目で見守りましょう

子どもは、これからいくらでも変わっていけます。「いつかできるようになるかも」と、大らかにかまえておくことが大切です。

 

※「受け止める」と「受け入れる」は似て非なるもの

何でも「受け止める」と、いいことと悪いことの区別がつかなくなるのでは? と思うかもしれません。でもそれは、何でも「受け入れた」場合のこと。「受け入れる」は「共感して同意する」ことですが、「受け止める」は「子どもの中にある思いに寄り添うこと」であり、必ずしも「同意」が必要なわけではありません。何でも「受け止め」て、必要な場面で「受け入れ」ましょう。

 

ケース別! 3~6歳の子どもへのサポート

 

園での集団生活で世界が広がってくるものの、まだまだ言葉にする力や見通しを立てる力が不十分で、親のサポートが必要な時期です。

 

【ケース1 失敗がこわくて挑戦できない】

完璧主義なところがあるようで、お絵描きや塗り絵などが上手にできないと、「ママがやって」と投げ出してしまいます。

 

→子どもの中にある「モヤモヤ」を受け止めて

まずは、子どもが何に対してモヤモヤとした感情をもっているのかを知ることから始めましょう。失敗そのものが嫌なのか? 失敗して笑われるのが嫌なのか? それは、本人もわかっていないかもしれません。「言い訳」や「弱音」をじっくりと聞きながら、子どもが感じていることを一緒に言葉にしていきましょう。

言葉にすることでモヤモヤの理由に気づいたら、子ども自身の中で折り合いをつける方法がわかってきます。少し時間が必要かもしれませんが、長い目で見てつきあうことが大事です。

 

※言いがちなNG言葉

「失敗してもいいから、とりあえずやってごらん」

…「失敗したくない」と思っている子に「失敗してもいいから」と伝えるのは、子どもの「完璧にしたい」という気持ちを否定することになり、子どもの心には届きません。

 

【ケース2 一度の失敗であきらめてしまう】

自転車に乗る練習をしていたら、一度転んでケガをしてしまい、それから練習をするのを嫌がるようになってしまいました。

 

→気持ちに寄り添い、目標を再確認しましょう

まずは子どもの中にある不安な気持ちや弱さを受け止めましょう。「痛かった」「こわい」「また転ぶかもしれない」など、いろいろな言葉が出てくるでしょう。それを否定することなく、「そうだよね」と受け止めることが大切です。

その上で、一緒に目標を再確認してみてください。その際、「自転車が乗れるようになる」ことをゴールにするのではなく、その先にどんな世界が待っているのかを想像し、自転車に乗れるようになったら、何をしたいかを考えてみましょう。「自転車に乗って〇〇に行こうね」と話したり、「自転車で世界一周!」など夢が広がるような絵本を読むのもいいですね。

 

※言いがちなNG言葉

「痛くない痛くない!」「できるできる!」

…根拠もなくやみくもにポジティブな言葉をかけても、やる気を失ってしまいます。心が不安定になっている子には逆効果です。

 

【ケース3 習い事をすぐにやめたいと言う】

自分から通いたいと言って始めた習い事なのに、2カ月くらいで、もうやめたいと言います。せっかくなので続けてほしいのですが……。

 

→子どもの気持ちを大事にしながら親として決断を

この場合も、まずは話を聞いて心の中の思いを受け止めること。そうすることで、やめたいと思うに至った本当の理由が見えてきます。それに対して「お母さんに何かできることはあるかな?」と提案し、サポートしましょう。気持ちを受け止めてもらえたら、それでスッキリし、続ける気になる場合もあります。

それと1つ心に留めておいてほしいのが、「飽きっぽい」子は見方を変えると「あきらめる勇気をもっている」子であり、瞬発力があって、いろいろなことを体験できる子でもあるということ。その子のよさをつぶさないように、その都度、親としてどうすべきか判断していきましょう。

 

※言いがちなNG言葉

「自分からやりたいって言ったよね?」「〇〇ちゃんも、がんばってるよ?」

…これは子どもの気持ちを無視して突き放す言葉です。不安が増し、「自分はダメな子」だと思い、自信をなくしてしまいます。

 

【ケース4 ママにべったりで離れられない】

1人で新しいことに挑戦するのが苦手です。外だといつも私にべったりで、私から離れることができません。

 

→突き放さず、安心できるように受け止めて

不安な気持ちを抱えており、お母さんという「心の拠り所」にしがみついて、安心を得ている状態です。お母さんは「安心の充電基地」。子どもはエネルギーが満タンになったら外に出て、不安を感じたらまた戻って充電して……を繰り返しながら、世界を少しずつ広げていっているのです。

もしかしたら戻ってくるたびに、ぐずったり駄々をこねたりすることがあるかもしれませんが、これは「安心感がほしい」というサイン。つき離さずに、1つひとつの言葉を受け止め、安心を充電してあげてください。お母さんは焦らず、子どもが自然と自分から離れていくのを待ちましょう。

 

※言いがちなNG言葉

「大丈夫だから、まず行ってごらん」「こわくないよ!」「みんなもやってるよ!」

…「こわい」と思っていることを否定されると、拠り所をなくし、安心感の少ない子になってしまいます。

 

 


 

「PHPのびのび子育て」 9月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2018年9月号特集【「あきらめない子」の育て方】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

和久田ミカ(一般社団法人子どものこころのコーチング協会代表理事)

小学校の教師を9年間務めた後、コーチングを学び、コーチングによる個別相談や子育て講座を開催する「ハートストリングス・コーチング」を設立。著書に、『叱るより聞くでうまくいく 子どもの心のコーチング』(KADOKAWA)などがある。