
怒りの下にある本当の感情と向き合おう
怒りっぽくなっている人は要注意!その下には別の感情が隠れているかもしれません。
◆怒りの下には別の感情がある。
子どものちょっとしたことでキレる母親がいます。
どうも母親の怒りの本質は、子どもではなく、別なところにあるようです。
そして、その原因は、「どうにもならない」ことが多いものです。
「子どもがいるために、働きたくても働けない」「ダンナが協力的でない」「生活が苦しくて、欲しいものが買えない」「だれも私の苦労をわかってくれない」などなど。
怒りは表面的なもので、その下には、孤独、寂しさ、悲しみ、自己嫌悪、 不安など、表現できない別な感情があります。自分も気づいていないことが多いのですが、普段は、そんな自分の感情に蓋をして過ごしていても、ふとした拍子に、怒りになってドドーッと溢れ出てくるのです。
電車のなかで足を踏まれて、相手をキッと睨んだり、友人のなにげないひと言にキレたり、恋人からのメールの返信が遅れたことで怒ったり……と、 普段より怒りっぽくなっているときは、怒りの下に、たまっている不満があると認識したほうがいいでしょう。
不満がくすぶっているとき、疲れているときは、怒りっぽくなるものですが、特に、子どもや親など身内には遠慮がないため、感情の蓋は、あっさり外れやすくなります。
特に、弱い立場の子どもに怒りをぶつけ始めると、コントロールがきかない状態になり、これが過ぎると、児童虐待や育児放棄に発展することもあります。
女手ひとつで子どもを育て上げたHさんが、こんなことを言っていました。
「子どもに暴力をふるったり、何日も放っておいて死なせてしまう事件が増えて問題になっているけれど、私もそうなっていたかもしれない。仕事疲れ、家事疲れ、育児疲れで、気持ちがいっぱいいっぱいだったとき、私もふと、そうしたくなったもの」
親ひとり子ひとりで、だれに頼ることもなく育児をやり、仕事を3つかけもちし、元夫がつくった借金を返してきたHさん。限界を超える苦労があったのでしょう。
「それでもなんとかやってこられたのは、話を聞いてくれる人がいた、それだけのことよ」
心の器には、容量があります。
ときどき、気にかけて、「この不満はしつこく残っているな」「だんだんた まってきた」「もう限界かも」というときは、こまめに吐き出してあげるこ とが大事。
ひとりで抱え込み、イライラしたり、グッと我慢したりするのは、よくありません。ほどよく頼るものをもつのも、生きていく知恵なのです。
【本書のご紹介】
怒り、嫉妬、好き嫌い……感情に流される女性は、仕事も人生も実は大損してしまう! マイナス感情を整理して、素敵に幸せをつかむヒント。
【著者紹介】
有川真由美(ありかわ まゆみ)
作家・写真家。鹿児島県姶良市出身。熊本県立熊本女子大学卒業。台湾國立高雄第一科技大学修士課程卒業。化粧品会社事務、塾講師、科学館コンパニオン、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など多くの転職経験、マナー講習指導、新人教育の経験から、働く女性のアドバイザー的存在として書籍や雑誌などで執筆。内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014−2015年)。日本ペンクラブ会員。
著書に、『あたりまえだけどなかなかわからない 働く女ひとのルール』『働く女ひと! 38才までにしておくべきこと』(以上、明日香出版社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)、『旅するように生きてみたら』(毎日新聞出版)、『女子が毎日トクをする人間関係のキホン』『一緒にいると楽しい人、疲れる人』(以上、PHP研究所)などがある。