心の中の「汚れ」に気づいたら、すぐに掃除をしてすっきりしましょう。

 

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声、息、便、汗、精を出すと心身が調う

 

私は、将来お坊さんを目指す大学生たちが共同生活を送る、京都の「花園禅塾」で、お寺の生活に準じた暮らしを大学生たちとしています。そう言うと、古臭いイメージを持たれるかもしれません。とにかく制約ばかり、我慢ばかりと思われがちです。もちろん、そんな一面もありますが、そればかりでもありません。制約が邪魔にならないほど作法が身につけば、かえっていきいきと自由な生活を送れるようになります。

 

繰り返される毎日の作法では、「五出(ごすい)」が大切だと考えます。五出とは声、息、便、汗、精のこと。この五つをしっかりと出すと心身が調えられるのです。

 

続かなくてもいいから、やってみよう

 

数年前、私が住職を務めるお寺の掲示板に貼るポスター選びを、当時小学生だった末っ子に頼んだことがあります。数あるポスターの中から彼が選んだのが、「三日坊主だっていいさ、やったほうがいいさ」という言葉が書かれたものでした。そうだ、続かなくたっていいじゃないか。この記事を読んで「いいな」と思ったら、とにかく真似してみてください。それがやがて「心を祓い清める」ことにつながれば、こんなにありがたいことはありません。

 

声を出すから元気になれる

 

花園禅塾では、毎朝6時、どんなに眠くたって「チリリリーン」という振鈴の合図と、「かーいじょー(開静)」という大声で起こされます。「低血圧で起きられない」なんて言っていられません。パッと素早く起きて布団を畳んで、洗面を済ませて袈裟をまとい、朝行事が始まります。

姿勢を正して胸を張り、経本を目の高さまで上げて腹から声を出して読経します。腹から大きな声を出すと、心身共に目覚めます。元気があるから声が出るのではなく、声を出すから元気が出るのです。

 

朝行事を終えて登校の時間になると、学生たちは普段着に着替えて玄関を出て行きます。みんな必ず、大きな声で「いってまいります!」と出かけて行きます。私も、「いってらっしゃい、気をつけて行きなさいよ」と送り出します。戻るときは「ただいま戻りました!」と大きな声と共に帰ってくるので、「おかえり。学校はどうだった?」と迎え入れます。

「いってきます」と「戻りました」のあいさつは、返事をしてくれる人がいてもいなくても、はっきりと声に出すのがルールです。それだけで気持ちよく、そして元気が出るものです。

 

 


 

 

PHPスペシャル』4月号より

 

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本記事は、PHPスペシャル2019年4月号「疲れた心と頭をゆるめる、ほぐす」より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】羽賀浩規(はが・こうき)

1967年、岐阜県生まれ。臨済宗妙心寺派蓮華寺(岐阜県)住職。臨済宗妙心寺派本山妙心寺が運営する学生寮「花園禅塾」にて塾頭を務め、僧侶を目指す大学生に禅僧の心構えと基礎を指導する。