人づきあいで疲れをためないためには、どうしたらいいのでしょうか?

 

女性

 

その1 「自分の常識と相手の常識は違う」と心得る

 

昔、会社員だった頃、インドでセミナーを開催することになりました。そのセミナーにはインド人が200名ほど参加する予定だったのですが、開始時刻になっても会場には数人しかいません。イライラしつつも開始時刻を30分ずらしたのですが、結局、全員が集まったのは終了時刻を過ぎてからでした。

 

帰国後、インドに関する本を読んで驚きました。インドではほとんどの人が開始時刻に遅れてくるので、結婚式でさえ予定時刻の1時間半後に始まるというのです。それを知ったとき、時間に几帳面な日本人と、時間に縛られないインド人は、そもそも常識が全く違うのだということに気づきました。

 

この例は極端かもしれませんが、人と人との関係でも同じことが言えます。「どうしてあの人は、あんなことをするんだろう」と腹立たしく思っても、育ってきた環境や価値観などが違えば、常識が異なるのは当然です。

 

お互いに違う価値観を持って生きているので、相手の「常識」を変えることはできない。この前提を覚えていると、相手の「嫌な部分」が、自分とは「違う部分」として認められるようになり、人づきあいのストレスが軽減されます。

 

その2 我慢せずに、言いたいことは言う

 

「自分と相手の常識は違う」と頭ではわかっていても、どうしても相手の言動に腹立たしさを覚えるときがありますよね。そういうときは我慢せずに、言いたいことを言いましょう。

 

ある女性は、使い終わったコップを夫がいつもシンクに置きっぱなしにしているのが気になっていました。それでも夫に何も言わずに洗い続けてきたある日、「いつも置きっぱなしじゃない。コップくらい自分で洗ってよ!」とついに怒りが爆発します。人は、怒りをぶつけられると素直に言葉を受け取れなくなります。案の定、「俺だって忙しいんだよ!」と大げんかになってしまったと言います。

 

この女性のように、我慢を重ねた末に大噴火してしまう前に、言いたいことはその場で相手に伝えましょう。最初に置きっぱなしのコップを発見したときに、「自分で洗ってね」と落ち着いて夫に伝えれば、聞き入れてもらえたかもしれません。

 

ただし、言いたいことを言っても、相手が変わるとは限りません。相手と自分は別の人。根底から変えることはできません。それでも言いたいことは言う。すると、相手と自分の違いがわかるようになり、何でも言い合える風通しのいい関係を築くことができます。

 


 

「PHPスペシャル」 8月号より

 

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本記事は、PHPスペシャル2019年8月号特集「笑顔になれる 心の休ませ方」より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

緒方俊雄

SOTカウンセリング研究所所長。日本一ゆるい臨床心理士、産業カウンセラー。著書に『「いい人」をやめる7つの方法』(主婦の友社)、『慢性うつ病は必ず治る』(幻冬舎新書)などがある。