病気を患い、思うように仕事も生活もできなくなった、きじまさん。ある台風の日、必死で自転車をこぎ保育園にお迎えに行くと、そこには嬉しそうな息子さんの笑顔がありました。

 

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息子がくれたお守を胸に~「幸せ」を感じた瞬間

 

私は2人の子どもを授かり、10歳の娘と、6歳の息子がいます。

 

私には結婚後も続けていた仕事がありました。バリバリと働く生き様にあこがれて、CM制作などの映像を手がけるプロダクションに勤め、さまざまなものを制作していたのです。

 

クリエイティブな仕事を意欲的にこなしていましたが、出産後は、少し休んでからフリーランスとなって、イラストをメインに仕事を始めることにしました。

 

それまでは、パソコンを使ってのCGイラストや動画の制作をしていましたが、フリーランスになってからは、手描きで描くことに専念するようになりました。というのも、肝炎と橋本病という病気に悩まされていたからです。

 

私は病気を患ってから、体力的にも精神的にも自信がなく、日々、不安がつきまとっていました。

 

それでも仕事を頑張りたい気持ちはあって、下の子どもを保育園に預けて自営業で働くという道を選択したのです。でも、個展を開催したものの思うように売れず、仕事にも結び付かず、焦る毎日でした。

 

ある台風の日、保育園にいる息子の様子が心配で、大雨なのに勇気を出してお迎えに行くことにしました。

 

どしゃぶりの中、レインコートを着て自転車に乗り、保育園までの道を必死でこいでいきました。前も見えなくなるくらいの大雨に焦り、気持ちにはまったく余裕がなく、体力的にもギリギリでした。

 

ずぶぬれの姿でなんとか保育園に到着し、息子に嫌がられるのではないかと不安に思っていました。ところが息子は、私の顔を見た途端、こう言ってくれたのです。

 

「お母さん、今日、絶対に絶対に迎えに来てくれると思ったで」

 

嬉しそうな笑顔でした。久しぶりの自転車でのお迎えに弱気になり心配ばかりしていた私に、息子の笑顔と言葉は喜びと幸せを与えてくれました。本当に心から嬉しくて、息子に励まされた気がしたのです。

 

帰り道、まだ勢いよく降り続ける雨の中、息子は自転車の後ろに乗りながら、大声で一生懸命話しかけてくれました。

 

「なあなあ、お母さん。僕が作ったお守を持ってきた? 見せて」

 

と。折り紙が大好きな息子は、数日前に、「お母さんが強くなるために、僕がかぶと虫を折ってあげるから、お守にしてな。忘れたらあかんで」と言って渡したことを覚えていたのです。

 

6歳なのに、母親を守ってあげたいという気持ちが芽生えていたのかもしれません。

 

出かける前に、鞄にしっかりと入れて持ってきていて本当によかったと思い、このお守のおかげで強くなれた気がしました。

 

ずっと信じてくれていて、ありがとう。

 

息子に心から感謝し、幸せを感じた瞬間でした。

 

小さな手で息子が心をこめて作ってくれたお守を、ずっと大切にしていこうと思います。そして、息子にもっとお守を作ってもらって増やし、家族みんなで幸せになりたいです。

 

これからは、子どもからもらった温もりと愛情を力に変えて、頑張って乗り越えていきます。この決心が、どんなときも幸せに導いてくれることを祈りながら。

 

きじま あけみ (京都府・48歳・イラストレーター)

 


 

PHPのびのび子育て」8月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年8月号特集【3・7・10歳が分かれ道! 乱暴な子、やさしい子】より、一部を抜粋編集したものです。