子どもを抱いたまま転倒し、子どもが頭を打ってドクターヘリで救急搬送されることになった小園さん。不安な中、周りの人や家族のやさしさに支えられて……。

 

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たくさんの人に支えられながら~負けそうな私を立ち直らせてくれたできごと

 

ある日、10カ月の子どもを両腕で抱っこし、歩道を歩いていたところ、自分の靴ひもに足がひっかかり、そのまま転倒してしまいました。何かピーンと引っ張ったひもに引っかかった感覚で、まさか自分の靴ひもにつまずいたとは思ってもいませんでした。

 

転倒した瞬間、視界がスローな動きで地面に近づき、このままではまずい……と思いながら、子どもを放り投げる形となりました。子どもは硬いコンクリートの地面に後頭部を打ち、私は顔を打って少し唇を切ってしまいました。

 

たまたま転倒した場所が雑貨店の前で、お店の方と、その場に居合わせた方が駆けつけてきてくれ、「びっくりしたね! お母さんは地面ギリギリまで赤ちゃんを抱っこしていたよ!」「この毛布使って」と、助けてくれました。

 

子どもは頭を打ってしばらくしてから泣き出しましたが、すぐに泣き止み、生あくびをし始めました。でも、次第に顔色が青白くなり、そのまま眠るような状態となりました。

 

私は子どもがみるみる青ざめていく姿が怖く、声をかけ続けたほうが良いのかもわからず、抱きしめる以外、どうすることもできませんでした。「私が救急車を呼びますから、お母さんは休んでいて」と、居合わせた方が救急車を呼んでくれました。

 

その後、ドクターヘリで総合病院まで運ばれ、レントゲン検査など、全身の検査を行ないました。子どもは意識がしっかり戻り、笑顔が見られるようになっていました。

 

夫は仕事を早退し、近くに住む義兄がすぐに病院に駆けつけてくれました。家族みんな「びっくりした! どうした!」という言葉だけで、誰も「あなたが注意していなかったからよ。万一、後遺症が残ったらどうするの?」などと、私を責めませんでした。興奮気味の私の話に耳を傾けてくれ、子どもによく話しかけてくれました。

 

検査の結果は異常なく、一時的にショック状態(低血圧)になったのではないかとの説明を受けました。

 

次の日、かかりつけの小児科を受診し、超音波検査を受けましたが異常はなく、先生からは「お母さん、大変だったね。いくら注意していても、避けられない事故もあるからね」と言われ、本当に心がすっと軽くなりました。

 

そのとき履いていた靴はすぐに捨て、その後、1週間ほどは、なかなか外出する気になれませんでした。

 

でも、雑貨店の方にひと言お礼を言いたいという思いがあり、勇気を出して、お店を訪ねました。

 

すると、「私も同じ母親だから、気持ちがわかります。どうされているのか心配していました。あの場にいたお客さんからも、心配の電話がお店にかかってきていたんですよ」と、涙ながらに話してくれ、2人で泣きながら子どもの無事を喜びました。

 

事故までは、日々の子育てを自分1人で頑張っているように感じていましたが、事故後は、周りの方々に見守られ、応援されながら子育てをしていることを強く感じるようになりました。

 

すぐに駆けつけてきてくれた家族の存在に癒やされ、周りの方々の言葉に励まされ、穏やかな日々に戻ることができたのです。また、環境を整えることで避けられる事故から子どもを守るのは親の責任であることも、再認識しました。

 

今は当時のことを思い出すと、“楽をするのと、適当は違う!”と自分を戒める気持ちになります。現在、子どもは1歳の誕生日を迎え、すくすく大きくなっています。

 

小園郁美(宮崎県・33歳・公務員)

 


 

「PHPのびのび子育て」9月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年9月号特集【心が荒れない9歳までの「叱り方」】より、一部を抜粋編集したものです。