気づかないうちにやってしまいがちな"危ない子育て"について知っておくことは、子どもの脳を守る第一歩になります。

 

子ども

 

怒りに任せて長々と叱りつける

 

子どもの行動や行為を叱っているうちに、ヒートアップして止まらなくなり、叱ることがやめられなくなることがしばしば。過去のことまで引き合いに出して「だから、あなたはダメなのよ!」「あんたみたいな子は私の子じゃない!」と、つい感情的に。

 

【こんな影響が!】

・聴覚を司る「聴覚野」が肥大

・会話やコミュニケーションに支障を来す

・心因性難聴になることも

 

感情のまま言葉をぶつける、人格や存在を否定するのは言葉の暴力

叱っているうちに怒りが増して、いったい何を叱っていたのかわからなくなるぐらいクドクドと叱り続ける。起こりがちですが、長く叱っても途中で子どもは聞く耳をもたなくなり、子どものこころや脳には届きません。

また、「だから、あなたはダメなのよ!」などは、子どもの人格や存在を否定する、絶対に言ってはいけない言葉です。人格・存在否定の言葉を感情のままぶつけることは、「叱る」ではなく、ただ暴言を浴びせているだけなのです。

このような叱り方が多いと、言葉の暴力によって聴覚を司る「聴覚野」が変形して働きが悪くなり、大切な音が拾えず、会話やコミュニケーションがうまくできなくなります。耳は健康でも音が聞こえなくなる心因性難聴になるケースもあります。

叱るときは短く、何について叱っているのかがわかるような叱り方をすること、そしてほめるときは、ちゃんとほめることを大切にしましょう。

【チェンジ!】叱るときは、伝えたいポイントを絞り、「60秒以内で叱ること」を心がけましょう。

 

子どもが見ている前で激しい夫婦ゲンカ

 

配偶者と話し合うと、互いにいきり立っていつも言い争いに。ささいなことで口ゲンカが絶えず、ときにどちらかが手を出すことも。夫婦ゲンカはしょっちゅうのことだし、その最中も子どもはテレビやゲームに夢中だし、もうなれっこになっているはず。 

 

【こんな影響が!】

・「視覚野」の一部が萎縮

・知能や言葉を理解する力が低下

・「自分が悪い」と認知を歪める

 

夫婦ゲンカを見せることは子どもにとって大きなストレス

「夫婦ゲンカは夫婦の間のものだから子どもには危害がおよばない」と考えてしまうかもしれません。けれども見ていないようで子どもはしっかり見ています。言い争いを聞いています。子どもが別の部屋にいたとしても、両親が争っていることは伝わります。

大切な存在である両親のケンカは、子どもにとって大変なストレスになることを忘れないでください。

激しい夫婦ゲンカ、暴力を伴うDVを見て育った子どもは、その光景を「もう見たくない」と強く思います。それによって、視覚野の一部「舌状回」という場所が正常の大きさより6%萎縮することがわかっています。すると知能や言葉を理解する力につながり、学習面やコミュニケーション面で問題が生じやすくなります。

また「両親がケンカをするのは自分がいい子ではないからだ」と認知を歪めてしまい、こころの発達においても影響が生じる場合があります。

【チェンジ!】どうしても言い争ってしまう場合でも、相手への要求はメールで伝えるなど、子どもには絶対見せない、聞かせないを夫婦間で徹底しましょう。

 


 

【本書のご紹介】

 

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実は危ない! その育児が子どもの脳を変形させる

 

親の何気ない行動が子どもの脳に影響を与えることが日米の脳科学研究で明らかに。具体的な対策を場面例で分かりやすく解説。

 

【著者紹介】

友田明美 

(福井大学子どものこころの発達 研究センター教授・副センター長)

福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長を兼任。2017年から日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究日本側代表も務める。専門は小児発達学と小児精神神経学。著書に、『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版)などがある。