いつかママになりたいと願う人は多いでしょう。けれど、なかなかそれが叶わない人も少なくありません。不妊について学んでみませんか?

 

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カップルの6~10組に1組が不妊

 

生殖年齢にある男女が避妊せずに1年間性生活を送っても妊娠しない場合、不妊といいます。不妊の原因はさまざまですが、近年は6~10組に1組のカップルが不妊といわれています。

不妊の原因は男性側と女性側でほぼ半々。男性の場合は精子に原因があることがほとんどですが、女性の場合はまちまちです。今回は不妊の女性に見られる代表的な疾患について解説します。

 

妊娠のしくみ

そもそも妊娠とはどのように起きるのか、そのしくみを簡単におさえておきましょう。

・排卵…卵巣内で成熟した卵子の一つが排卵され、卵管の中に取り込まれます。

・受精…卵管内に進入してきた精子が卵管で卵子の卵細胞内に入り、受精します。

・着床…受精卵は分割しながら卵管を子宮に向かって転がり、5~6日かかって子宮内膜に着床し、さらに分割しながら成長していきます。

最も妊娠しやすいのは排卵日ですが、卵子は1日、元気な精子は4~5日前は生きているので、排卵の数日前から妊娠の可能性はあります。ただし、男女双方の生殖機能がすべて正常に働いた場合です。年齢とともに卵子の数は減っていき、卵子の質は35歳を過ぎると急速に低下して、妊娠できる可能性は下がっていきます。

 

不妊の原因(1)子宮内膜症

 

子宮内膜症によって、卵管がくっついてしまったり、受精しにくくなったりすることがあります。子宮内膜とは、子宮の内側にあって月経で血液と一緒に排出される組織ですが、子宮内膜症はその子宮内膜に似た組織が、卵巣など子宮以外の器官に増殖する病気です。治療には薬物療法と手術療法があります。排卵抑制作用がある薬で治療する場合は、不妊治療をお休みすることになります。

 

不妊の原因(2)子宮筋腫

 

子宮筋腫は、女性の2~3割にできる良性の腫瘍です。悪性化することはまれですが、できた場所、大きさ、個数によっては子宮内膜が凸凹になり、受精卵が着床しにくくなることがあります。また、過多月経が起こって気がつかないうちに貧血になっていることもあります。

治療は症状によって薬物療法と手術療法があります。手術が必要になるのは、子宮筋腫があると診断された人のうちおよそ5%。子宮ごと筋腫を取り除いて完治させる「子宮全摘術」と、筋腫だけを取り除く「筋腫核手術」があり、妊娠を望む場合や妊娠の妨げになると判断されたときは「筋腫核手術」が選択されます。開腹手術ではなく、腹腔鏡下や子宮鏡下も多く行なわれています。

 

不妊の原因(3)クラミジア感染症

 

性感染症によって子宮や卵管に炎症が起きて、不妊や子宮外妊娠の原因になることがあります。なかでもクラミジアは初期症状があまり出ないため、知らないうちに慢性化したり、パートナーに感染させたりするおそれがあります。おりものの様子がいつもと違っていたり、量が多すぎたりしたら、婦人科を受診しましょう。

 

チェックリスト

妊娠しやすい体のために、できることがあります。

□適正体重を保つ
やせすぎや太りすぎは、ホルモンバランスを乱し、卵巣機能の低下をもたらします。過度のダイエットは禁物です。

□タバコは吸わない
タバコに含まれるニコチンは、妊娠する能力を低下させるばかりか、妊娠後も流産や早産などのリスクの原因になるともいわれています。また、精子の形成にも悪影響が。

□体を冷やさないよう気をつける
血行が悪くなると、子宮の冷え、排卵機能の低下につながります。

□ストレスをためない
過度のストレスは、ホルモンバランスの崩れや生殖機能の低下につながることがあります。

□基礎体温をつけて月経周期を把握する
正常な月経の目安は、25~38日周期で出血期間3~7日間(平均5日間)です。そこから外れる場合、排卵が起きていないことが考えられますが、基礎体温が低温期と高温期に分かれていることで排卵の有無が判断できます。

□月経時の痛みを我慢しない
子宮内膜症の患者さんの約9割に月経痛があります。我慢せずに早めに痛み止めを飲む、婦人科を受診するなどしてください。特に、以前より痛むようになった場合は要注意です。

 

婦人科に相談してみませんか ?

 

内診を心配に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、最初は内診なしでご相談のみの場合もあります。できるだけ自然に妊娠したい、なるべく早く妊娠したいなど、希望をお伝えください。

不妊治療は数年かかる場合もあるので、メンタル面でのサポートも大切です。ご自分を責める方、家族や親族の心ない言葉に傷つく方も多いですが、「あなたは悪くない」「がんばったね」という気持ちで、医師は患者さんの味方でありたいと思っています。

不妊それ自体は病気ではありませんが、不妊の原因になんらかの病気があることも。年齢にかかわらず、早めの受診をおすすめします。

もちろん、婦人科にいらっしゃるのは、不妊の相談にかぎりません。月経痛などの月経困難症や、月経前症候群のケアもできます。自分の体について気になることがあったら、「このくらいのことで」などと思わず、ぜひ気軽に受診していただきたいです。

 

女性のライフイベントの変化と月経トラブル

 

現代の女性は昔よりも初潮が早くなっていると言われています。女性の社会進出にともなう晩婚化によって、初産の年齢が上がるとともに出産回数も減少しています。そのため、昔に比べて一生のうちで起こる月経回数が増えています。月経回数が増えることによって、月経にともなうトラブルも増えています。

また、月経困難症は子宮内膜症の病因として関係があるのではと言われています。赤ちゃんはまだ先と思っていても、月経困難症や子宮内膜症の症状を和らげたり、進行を抑えたりするお薬などもありますので、気になる症状がある方は、産婦人科の受診をお勧めします。

 


 

「PHPスペシャル」12月号より

 

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本記事は、「PHPスペシャル」2019年12月号特集より、抜粋編集したものです(構成・文:編集部)

 

【監修】
伊藤知華子(いとうちかこ)
産婦人科医・生殖医療専門医。セントソフィアクリニック(名古屋)院長。どのライフステージにいる女性も健康でいきいきと過ごせるよう、高度な先進治療も取り入れながら、女性の一生を総合的に診療する。

 


 

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