男女の脳にはそれぞれ特徴があるので、それを理解して受けとめることで、お互いがよりハッピーに過ごせるようになります。

 

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男女でそれぞれ接し方は変えたほうがいいの?

脳の機能には入力(認知)と出力(言葉)があり、入力が先に発達します。幼児は大人の想像以上に周囲の事情がわかっています。でもそれを伝える言葉が足りないので、もどかしさにイラ立ち、泣いたりします。
7歳くらいになると言語脳が完成しますが、複雑になっていく胸の内を表わす言葉はまだ見つかりません。親の愛を疑う時期でもあり、私はこの時期を「沈黙の反抗期」と呼んでいます。9〜10歳は脳のゴールデンエイジで、脳の神経回路の発達が著しく、外界認知力が高まるとき。社会を知り、親の言動の矛盾や欺瞞などに気づいて戸惑い、反抗的になることも。
子どものこうした態度は一見、「心の荒れ」に思えるかもしれませんが、これは脳が発達している証拠です。「順調に成長しているんだな」と受けとめましょう。そして、子どもの気持ちを「お手伝いしようとしたんだよね」「あなたの気持ちに気づかなくてごめんね」などと言葉にし、慰め労わってください。子どもは親を最高の理解者として信頼し、情緒が安定します。
また、子どもの「心の荒れ」をカバーするには、男女の脳の違いを知るといいかもしれません。
脳は男女でそれぞれ特徴があり、言葉の受けとめ方や行動のパターンなどが違います。それに合わせた接し方をすると、子どもとのコミュニケーションがスムーズになります。では、男女の脳の違いを手がかりに、子どもとの接し方を見ていきましょう。

どこが違うの!? 男の子と女の子

それぞれの脳の特徴を知れば、「なぜだろう……」と思っていたことが解決するかもしれません。よいところを伸ばすヒントにもなります。

男の子は ……空間認知が得意で問題解決型
男性の脳は、狩りをしながら進化し続けてきました。広野に出て危険な目に遭いながら、仲間と自分を瞬時に守りつつ成果を出さなければ、生存も繁殖もできなかったので、「遠く」を見てとっさに問題点を指摘し合い、ゴール(問題解決)へ急ぐように脳が設定されています。そのため比較的無口で、気の利いたことが言えません。
また、安心して遠くを見るためには身の回りが安定していること、つまり「定番」で周りを固める必要があります。お気に入りのTシャツばかり着続けたり、飽きずに同じおもちゃばかりで遊んだりするのは、そのためです。

女の子は ……観察力が鋭く、共感型
女性の脳は「子どもを育てられる」ように設定されているので、観察力が鋭く、相手と共感し合うことが得意です。自我が芽生えるのが男の子よりも断然早く、4歳ですでに自分はお母さんと同じように「一人前の女」だと思っています。そのためお母さんを手伝おうとして、かえって失敗することが少なくないでしょう。
自分が何を考えているか、何を感じているかをきちんとわかっているのに、7歳くらいまではそれをうまく言葉にできないので、男の子に比べてイライラしているように見えることが多いかもしれません。

とはいえ、大切なのはその子の「個性」。このように男女で特徴はありますが、まずはその子の個性を大切にしてください。

男の子に接するときに心がけたいこと

全然言うことをきかない! と思ったら、急に甘えん坊になったりと、なかなかつかみにくい男の子の気持ち。うまくコミュニケーションを取るコツを伝授します。

1、話しかけるときは“3秒”待ってから
男性脳は、近くにべらべらしゃべっている人がいると、空間認知力(危険察知力)を最大限に使うために、音声認識エンジンを切るように設定されています。特に何かに夢中になっているときは、お母さんの声も蚊が飛んでいるような音にしか聞こえません。男の子に話しかけるときは、まず、本人の視界に入る場所まで行って名前を呼び、2〜3秒待ってから本題に入るようにしましょう。

2「いってらっしゃい 」 「おかえりなさい」は気持ちよく
特に幼い男の子にとっての「定番」は、お母さんの情緒が安定していること。お母さんが穏やかでニコニコしてくれていると、男の子は安心して外へ出ていき、いろいろなことにチャレンジできます。とはいえ、現実的には「いつもニコニコ」なんて無理。まずは、「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を明るく言ってあげてください。それだけで男の子の気持ちは安定します。

3男きょうだいは“序列”が大事
男の子は長男、次男、三男……と序列が決まっていると、安心します。たとえばごはんを出すときも、長男、次男、三男……の順に出すなど、お母さんは、その順番をブレずに守るようにしてください。そうすると自然に長男には責任感が育ち、上の子は下の子の面倒を見るようになり、下の子は上の子を尊敬するようになります。きょうだいゲンカも減るでしょう。

男の子のほうが、本当に乱暴なの?
7歳くらいまでは言語脳が未熟で、自分の思うようにならないと手や足が出がちですが、それは男女とも同じ。ただ、男の子は言葉が遅いので「手が出る期間」が長引きます。さらに、体が女の子よりしっかりしていて力も強いことが多いので、1回のパンチの効果が大。それで、「男の子は暴れん坊」というイメージができてしまったのかもしれません。

女の子に接するときに心がけたいこと

女の子は4歳にして「大人の女」。生意気なことを言ったり親を言い負かしたりもしますが、もともとは協調を好む平和主義者。“心強い味方”と思って接するとうまくいきます。

1大切な“女友だち”として接する
前述のとおり、女の子は4歳にしてすでに自分のことを「一人前」だと思っているので、上から目線でものを言ったり、「あなたは◯◯なんだから」と決めつけたりすると反発します。女の子には、大切な“女友だち”のつもりで接しましょう。女性脳は他者との共感や協調し合うことが得意なので、おしゃれや買い物を一緒に楽しむようにすると、いい親子関係が築けるでしょう。

2まずは「ありがとう」と言う
観察眼が鋭く、小さな違いや変化にすぐに気がつくので、幼い頃からお母さんのお手伝いをしたがります。当然ながらうまくいかず、お母さんにとってそれは“ありがた迷惑”かもしれません。でもそこで、「よけいなことをしないで!」と言うと女の子はキズつき、心が荒れる原因に。まずは、「〜しようとしてくれたのね、ありがとう」と、気持ちを受けとめてあげてください。

3話をよく聞いてあげる
お母さんもそうだと思いますが、女の子は、おしゃべりが大好き。女友だちと話をしているときのように「わかる、わかる!」「え〜、うっそ〜」などと大げさに相槌を打ちながら話をよく聞いてあげましょう。ただ、女の子の話は他愛ない内容が延々と続きます。その場合は「そのとき、あなたはどう思ったの?」と聞くのがコツ。「私は○○と思ったの」で満足し、話は終わります。大人同士の会話でも使えるテクニックです。

お母さんは「男性脳」になりがち!?
お母さんは子どもに対して「今日は泣かなかった?」「歯は磨いた?」などと結果だけを尋ねる男性脳的な話し方をしがち。「わが子をきちんと育てなければ」という責任感がそうさせるのですが、女の子だけでなく男の子も12歳までは「共感」が必要です。「今日ね、ママはいいことあったんだ。◯◯ちゃんは?」などと、大人同士で会話するように子どもの話に耳を傾け、気持ちを受けとめましょう。



 

「PHPのびのび子育て」2月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2020年2月号特集【子どもの「心の荒れ」は3・7・10歳で変わる!】より、一部を抜粋編集したものです。

【著者紹介】
黒川伊保子(くろかわいほこ)
(株)感性リサーチ代表取締役。奈良女子大学理学部物理学科卒業。メーカーにて人工知能の研究に従事したのち、(株)感性リサーチを設立。脳と言語の研究を始め、独自のマーケティング論を説く。1男の母。著書は、ベストセラー『妻のトリセツ』(講談社)など多数。