思ってもみないことが起きたとき、慌てず冷静に対処するためにはどうしたらいいのでしょう?

 

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慌てず、動じず、気持ちを落ち着ける

想定外の出来事への対処法は、段階によって変えることをおすすめします。まずは「起きる前の段階」、次に「起きたときの段階」、最後が「起きたあとの段階」です。すべての段階に共通して大切なことは、その出来事について漠然と考えるだけでなく、具体的な行動に落とし込むということです。

精神医学の世界では、人を最も動揺させるのは「未来への不安」と「過去への後悔」と言われていますが、いずれも、「今、できること」にフォーカスすると解消されます。
では、想定外の出来事に対処する方法を、ご紹介していきます。

起きる前にできる備え

事故や事件に巻き込まれる、友人や家族が急に亡くなるなど、自分には一切コントロールできない出来事は、事前に予想することができません。しかし、なかには心づもりができるものもあります。たとえば高齢の人や病気の人が身近にいるなら、最悪の事態を迎える心の準備をしておくことができますし、会社でそろそろ異動になりそうなら、そうなったときにどうするか考えてみることができます。恋人にフラれそうなら、新しい出会いを探し始めるなんてこともできるでしょう。

起きてほしくない出来事について考えるのはあまり心地いいことではないので、できれば避けたいと思うのが人情ですが、事前にシミュレーションしておくと、実際に起きてしまったときのダメージを和らげることができます。未来への不安を解消するには、いざ起きたときにどのような行動を取るべきか対策を練っておくことが有効です。

起きたあとに後悔しないために

想定外の出来事が起こると、「あのときもっとこうしていれば」という後悔が生まれますが、タイムマシンが開発されない限り、起きてしまった出来事をなかったことにはできません。たとえ何年、何十年と考え続けても、過去に起きた出来事は絶対に修正できませんし、後悔しても気持ちはラクになりません。

起きたあとにできることは、マイナスに考え続けるのをやめることです。原因を追究して、対策を講じるために考えるのならいいのですが、「つらかった」「イヤだった」と感情だけを思い出し続けると、これからも続く日々の生活が味気ないものになってしまいます。

どうしても後悔してしまうときは、出来事と感情を切り離して考えてみてください。「起きたこと」と「引き起こされた感情」に分けます。すると、それほど後悔することでもなかったと気づけたり、気持ちを切り替えられたり、さらには「あの出来事があってよかったかも」と前向きに捉えられたりするようになります。

 


 

「PHPスペシャル」3月号より

 

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本記事は、「PHPスペシャル」2020年3月号特集【振り回されない練習】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】
メンタルドクターSidow(メンタルドクターしどう)
精神科医。都内の医科大学を卒業後、診療にあたる。精神科専門医、精神保健指定医を取得。また、YouTuberとして精神医学や心理にまつわるトピックスを、動画にわかりやすくまとめて配信している。