『か・き・く・け・こ』がうまく発音できない娘さんのことを心配していた南さん。療育センターで訓練を受けることになり……。

 

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神様からのギフト~「幸せ」を感じた瞬間

うちには、3人の娘がいます。8歳、6歳、2歳。それぞれの個性を輝かせながら、日々楽しく過ごしています。
そんな中、次女の『か・き・く・け・こ』の発音が、『た・ち・つ・て・と』になってしまい、コミュニケーションが難しい場面が増えてきました。
たとえば、幼稚園のお友だちの名前が、『ここちゃん』なのか、『ことちゃん』なのか、母親の私にもわからない。次女が三女に言葉を教えると、『ねこ』が『ねと』になる。また、二世帯で暮らしている下の階のおじいちゃんとのコミュニケーションに苛立ち、下から次女の泣きわめく声が聞こえるという具合です。

小児科に行ったついでにお医者さんに聞くと、「直しておいてあげたほうがいいんじゃないかな」と言われ、それからしばらくたった5歳児健診でも別のお医者さんから、将来のためにも直してあげたほうがいいと言われました。
私と夫は自然にできるようになるのではないかと待っていましたが、変わる気配もなく次女が困ったりする場面を多く見るようになったので、区役所に聞いたところ、市の療育センターを紹介されました。
なんとなく療育センターに電話をし、なんとなく次女と検査を受けに行くことにしました。そして、その流れで訓練を受けることになったのです。

毎月週1回の訓練。訓練の日以外は、家で宿題として、発音の練習をしました。
訓練は『が』の音をつくることから始まりました。「あ~」と大きな口を開け、『あ』を言う前に小さい『ん』を言うのです。結果的に『が』に近い音が出ます。
『が』の次は『か』、『か』の次に『こ』の音の練習が続きました。『お』の口の形で『か』と言うと、『こ』の音が出るのです。先生が次女に「こう言ってみて」と言った瞬間、これまで、あんなに言うのに苦労して一度も出せなかった『こ』の音が、きれいに「こー」と部屋に響きました。私は、そのとき涙が出そうなくらい感動しました。
なぜなら、『こ』はお姉ちゃんの名前にも入っている音で、お姉ちゃんの名前を呼ぶたびに言えていなかったからです。これで、お姉ちゃんの名前も呼べるし、私の名前も呼べる。また、次女が説明するときに「とうやって、とと」と言っていたのが、「こうやって、ここ」とちゃんと言えるようになるのです。

訓練を続け、次女にとって難しい『き』や『け』の音も出せるようになり、たった3カ月で言えるようになりました。家族もびっくり。本人は言えるようになって自信がついたようでした。
また、次女がとてもかわいらしかったのは、療育センターに行くのをとても楽しみにしていたことです。いつもうきうきオシャレをして、やさしい先生に見せたいものをせっせとリュックに詰め、終始にこにこしていました。
いつも放っておかれがちな真ん中の子ですが、このときばかりはママを独り占め。次女が1歳半のときから私はアルバイトに行き、まったくというほど面倒をみていなかったこともあり、この時間は私にとっても貴重な時間でした。
一見、困ったことでも、神様からのギフトだなぁと感じました。とても穏やかに言葉を教えてくださった先生、下の子を見てくれた家族にも深く感謝しています。

南 梢(神奈川県・37歳・主婦)

 


 

「PHPのびのび子育て」3月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2020年3月号特集【頭のいい子、性格のいい子になる 9歳までの「甘えさせ方」】より、一部を抜粋編集したものです。