子育てしながらスタンフォード大学に留学し、教育学博士号(Ph.D)を取得したアグネスさん。3人の子どもたちもスタンフォード大学に入学しています。しかし、アグネスさんは子どもたちに「勉強しなさい」と言ったことはないそうです。
 

アグネス流 10歳までに鍛えておきたい20の能力

※本稿は『アグネス流 10歳までに鍛えておきたい20の能力』より一部を抜粋、編集したものです。
 

「勉強しなさい」と言ったことはない


近年、3人の息子が母校のスタンフォード大学に合格したことが知られるようになると、世間から私の子育てが注目されるようになりました。3人とも合格できたのは、私が教育熱心なお母さんだったからではないかと。しかし私は、3人の息子に「勉強しなさい」と言ったことはありません。きっと息子たちは、勉強するのは親のためではなく「自分のため」だと、小さい頃から親を見て理解していたのです。

 

親が子どもの前で学習したり、本を読んでいる姿を見せたりするのは大事なことです。そんな親の姿を見て子どもは、「学習するのは楽しいことだ」「いくつになっても学習することが大事」「わからないことがあっても恥ずかしくない」と考えるようになるのです。
 

実際に、私は挑戦しつづける姿、新しいことを学ぶ姿を示し、知識を得る喜びも見せてきました。息子たちもきっと、そんな私の姿を見て、無意識に好奇心と学習意欲を身につけたと思います。
 

親は子どもの特性を見抜き、力を見出す


いまは、一流と言われる大学に入学して、上場企業に入社すれば幸せな人生が送れる、という時代ではなくなりました。「急速に変わっていく社会で生き抜いていく力」を身につけるほうが大事だと感じています。それには、どんな力を身につけていけばいいのでしょうか。
 

日本の義務教育では、学習指導要領に合わせた内容をクラスメイトと同じペースで学んでいます。これはすでに時代遅れだと思うのです。
 

インターネットの普及によって、子どもは先生や親に教わらなくても、疑問に思うことや調べたいことを自分自身で学べる時代になっています。先生や親はすべての知識の持ち主ではなく、知識を得るための道案内人です。
 

いままでは親が「このぐらいの知識はもっておいてほしい」と考え、「勉強に遅れないように」が重要だと考えていたと思います。しかし、この考えはAI時代には適さない教育の仕方です。
 

AI時代には親が子どもの良いところ、その子にしかできない特技や能力を見つけ出して伸ばしていくことが大事です。誰よりも得意、誰よりも詳しい何かをもっていることが、これからの時代に淘汰されない人間です。
 

もし、それが見つけにくいときは、その子の好きなことは何かと考えましょう。好きなことが見つかれば、子どもは学習も練習も苦にならず、上手になるのです。すべてを忘れて「無我夢中」になれるものに出会えることこそが「勉強の本当の目的」だといえます。
 

その子だけがもっている得意なもの、好きなものを見つけてください。そこから子どもに自信が生まれ、いままで怠っていた不得意なことも、できるようになっていきます。
 

そして時代がどのように変わろうと、生き抜くことができるのです。
 

AI時代に突入したいま、親に求められているのは、自分を信じて挑戦できる子ども、夢と希望をもって世界に貢献できる子どもに育てることです。
 

人生は一つ一つの選択の結果にある


生きていくうえでさまざまな選択の場面に遭遇することがあります。そんなとき必要になるのが、「自分で考えて決める力」です。何かが起こったときに素早く判断して選択し、決断する力は重要です。
 

賢い選択をする力は、遺伝的に引き継がれるわけではありません。その力は子どもの頃からの経験や練習から得ることができるのです。成功したり、失敗したりすることを繰り返しながら学んでいきます。だから物事を何でも親が決定せずに、子ども自身が選択できるように導きましょう。
 

親がすべてを決めてしまうと、子どもは賢い選択の仕方を学ぶチャンスを失ってしまいます。とはいっても「今日は何を食べる?」と聞いただけでは、賢い選択ができる子どもには育ちません。この場合は、冷蔵庫を開けながら「肉とにんじん、卵があるから何を作る?」と、選択肢を子どもに見せて提示します。さらに「昨日はカレーを食べたね」「そういえば土曜日は、パパがおでんを食べに連れて行ってくれるよ」と選択の条件を加えます。このように、いくつかの条件を提示された子どもは、自分なりに考えて選択し、結論を出すでしょう。そして、子どもが出した結論を親は尊重します。
 

社会に出れば選択や決断の連続です。選択や決断をする力を子どもの頃から身につけておけば、次第に賢い選択や決断ができる子どもになります。

それでも選択や決断に迷ったときは「簡単な道よりも、難しい道のほうを選びなさい。そのほうが学べることが多く、目的にたどり着いたら大きな喜びを感じられるから」とアドバイスしてあげるといいでしょう。これは私の父が言った言葉ですが、息子たちはこの言葉が大好きです。自分で選択した夢に向かっているときの自分を楽しむことができれば、「苦労を厭いとわない」「成功するのが目的ではない」と感じることができます。
 

賢い選択ができる人として子どもを育てることは、子どもに幸せへの近道を示すことになるのです。

 

アグネス流 10歳までに鍛えておきたい20の能力 これからの時代に活躍できる子に育てるために
 

アグネス流 10歳までに鍛えておきたい20の能力

同じ内容を同じペースで学んでいてもダメ! その子にしかできない特技や能力が重視される、これからの時代に求められるアグネス流子育て。