4歳になっても、トイレでうんちができない息子さんに、やきもきしていた森さん。でもある日、息子さんの気持ちに気がついて......。


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うんち記念日~子どもの成長におどろいた話

ここ何年かの中で私の一番の悩みは、4歳の次男のトイレトレーニングだった。2歳のとき、おしっこがトイレでできるようになってからも、うんちはオムツにしていた。
3歳になり、自分の気持ちを言葉にできるようになってきた次男に理由を聞いてみると「うんちがトイレに落ちるのが怖いし、お尻が痛いからトイレでしたくない」という返事だった。赤ちゃんのときから便秘だったせいか、大便すること自体が苦痛だったのかもしれない。
次男の手を握って便座に座らせたり、トイレの壁に好きなキャラクターのイラストを貼ったり、便秘を改善するために食事にも気を使ったりしたが、トイレでしたくないという本人の意思は固かった。
もう、トイレでするのが怖いんだから仕方ない、見守ってあげよう、と思える日と、もしかしたら......と期待してしまう日を、私は行ったり来たりしていた。
4歳になったある日、夫がオムツを持ってトイレに行こうとする次男に言った。「どうしてトイレでできないの?」。私も言ったことがあるひと言だ。
次男は目を赤くして口を結んだまま何も言わない。私が言ったときも、こんな顔をしていたんだろう。トイレでできるようになりたいって思ってるよね。でも、できないんだよね。ひどいこと言ってごめんね。胸が苦しくなり、涙が出てきた。次男と話し、とにかくうんちをしたくなったら我慢しないこと、オムツにした後にトイレに座って、自分でお尻を拭くことを決めた。

それから半年たった頃、保育所から次男の体調が悪いようなので迎えに来てほしいと電話がきた。急いで迎えに行き、先生に話を聞くと、お腹が痛いって言ってトイレに行ったら、うんちがゆるかったみたいで、とのこと。
「え? まさか、トイレでうんちしたんですか?」
「はい、トイレでしてましたよ」
「本当に!? 初めてなんです! トイレでしたの!」
先生もびっくり。家に帰って次男に聞いてみると、オムツにするのが恥ずかしいからトイレでしたと言う。
そして翌朝、突然「うんちする!」と言ってトイレに行く次男。座って数十分間踏ん張っても出ず苦しそうに見えたので、「オムツなら出そう?」と聞くと、次男は私の目をまっすぐ見て「お母さんにうんちしてるところ見せたいからオムツしない」と言った。その言葉から強い決意を感じ、オムツなんて言ってしまった自分が恥ずかしくなった。
その日、保育所から帰ってきて再びトイレに向かう次男。私も一緒に行った。座って真っ赤な顔でいきむ。私の服の裾を握りしめて、踏ん張った次の瞬間、次男が「出た」と言うので慌てて便器をのぞき込むと、そこには太くて長い立派なうんちがあった。
大きなうんち。自分で出したんだ。ちゃんとトイレに座って。
夢にまでみた、この光景。6歳の長男も呼んで次男と3人で、しばらくそのうんちを流さずに眺めていた。ゆっくりと眺めた後、次男は「自分で流すから!」と言って水洗のレバーを回し、うんちがいなくなった後の便器を確認して、トイレの電気を消して扉を閉めた。完璧だ。
嬉しかったね。お母さんも嬉しかった。もうね、初めて歩いたときみたいに感動したよ。だってトイレに座って、うんちができたんだもん。次男の背中は、ひと回り大きくなったように見えた。4歳半、今日が次男のうんち記念日。

森ななえ(北海道・38歳・パート)




「PHPのびのび子育て」8月号より


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本記事は、「PHPのびのび子育て」2020年8月号特集【「叱り方」で子どもの性格は変わる!】より、一部を抜粋編集したものです。