仕事が思うように再開できず、イライラを募らせていた佐藤さん。でも、娘さんの言葉で、大切なことに気がついて――。


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ただ、いるだけで~私を励ましてくれた家族の「ひと言」

私には5歳の娘、3歳の息子、1歳の娘がいます。
私は3人目が生まれる前、2人の子どもを育てながらリラクゼーションセラピストとして、イベントへ出店したり、自宅でサロンを経営したりしていました。
当時は、ママでも好きなことをあきらめたくないと、子どもより自分の時間を優先し、私の頭の中はいつも仕事のことでいっぱいでした。子どもが風邪をひいても、子どもの体調より自分の仕事のことばかり心配していました。
3人目が生まれて、そろそろ仕事を再開しようと動き出した途端、次女が入院したり、子どもが体調を崩したりして、予定していたイベントの中止やキャンセルなど、お客様に謝罪の連絡を入れる日々が続きました。
一時は、次女を保育園に入園させたこともありましたが、その後も入退院や体調を崩すことが多く、結局は自宅で仕事をしながら娘をみることになりました。次女の体調が落ち着いた頃、そろそろまた活動しようと動き出すと、必ず3人の誰かが体調を崩してしまうのです。
なぜ、私に時間をくれないのかとイライラ、悶々とし、「ママは、やっぱり我慢するしかないんだ」と、自暴自棄になることもありました。そんなとき、長女が寝る前に、私にこう言ってくれたのです。
「ママが仕事をすると、りゅうちゃん(弟)も、ひまちゃん(妹)も、ママーって泣くでしょ。さみしいって泣くんだよ。ママは一緒に寝てくれるし、お花を作るのもうまいでしょ。ママはかわいいから、何もしなくていいの」
5歳なりの言葉で、私に伝えてくれました。
実は、フラワーリースやブーケを作ることが趣味で、家の中に作品がたくさん飾ってあります。長女は日に日に増えるお花に一番に気づき、いつも私をほめてくれていました。
娘の言葉を聞き、なんだか一気に肩の荷がおりました。娘を抱きしめ、「ごめんね」しか言えませんでした。
私は常に自分のことばかりで、目の前の幸せに気づけずにいました。存在しているだけで幸せと言ってくれる家族がいてくれることに、娘のおかげで気づくことができました。

ママが自分の大好きなものに夢中になるのはとてもいいことですし、大事なことです。新しいことにどんどん挑戦するのもいいと思います。ただ、自分が存在するだけで十分周りは幸せなんだ、ということを忘れないようにしなければと思いました。
3人の子どもたちが気づかせてくれた「存在しているだけでいい」ということ。
誰かの役に立ちたい。
自分にしかできないことがしたい。
好きなことを仕事にしたい。
子育て中のママは、きっと少なからず思ったことがあると思います。苦しくて、悔しくて、前にも後ろにも進めず、もがいていらっしゃる方もいると思います。
私は娘の言葉のおかげで、仕事ができないと涙することをやめ、自分には他にできることがあるんだと思えるようになりました。もしかしたら、他の道のほうがもっと自分らしく過ごせ、楽しいことが待っているよと、神様が教えてくれたのかもしれません。
何か特別なことをしなくても、自分が、あなたがいるだけで幸せ、そう気づかせてくれた娘に感謝です。
ありがとう、ありがとう。


佐藤春華(岩手県・32歳・主婦)




「PHPのびのび子育て」9月号より


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本記事は、「PHPのびのび子育て」2020年9月号特集【心が荒れる子、やさしくて強い子】より、一部を抜粋編集したものです。