経済ジャーナリストの荻原博子さんに、今すぐできる家計の対策をお聞きしました。


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お悩みズバリ解決!

・収入が減った。
・これ以上節約できない。
・投資はするべき?
・年金はもらえるの?
そんなお悩みズバリ解決!

Q もともとギリギリ家計だったのに、さらに収入が減って預貯金を切り崩すことになり、将来がとても心配です。

A これを機に、今のリアルな生活を直視してみましょう。無駄に気づけるはず。

実は家計をきちんと見直してみると、無駄な出費がある人がほとんどです。預貯金を切り崩す前に、まずは生活状況の洗い出しをしてみましょう。
たとえばスマホの通信費なら、格安スマホに乗り換えれば半分以下に抑えられます。ガラケーもプランを見直すことで月々の費用を下げられます。サービスセンターに電話すれば、利用履歴を見たうえで最適なプランを教えてもらえますよ。
公共交通機関が発達した場所に住む人は、維持費のかさむ車が本当に必要か考えてみるとよいでしょう。たまにしか使わないなら、タクシーやカーシェアリングなどでも十分では。車が必要な地域にいるなら、軽自動車に替えることで維持費を大幅に削減できます。
ガソリン代も、近所で安いスタンドがわかるアプリなどを利用すればカットできます。
このほか月々の出費を減らすために、あまり行っていないスポーツジムを解約したり、光熱費を見直したりすることも有効です。
外出時は飲み物を持参してコンビニや自販機の利用を控える、お弁当を作ってランチ代を浮かせるのもおすすめです。
こうした工夫で、ほとんどの家庭が貯金を崩さなくても生活できるようになるはずです。

Q 日々の生活費は十分節約しており、これ以上は限界。無理なく出費を抑えられるアイデアはありますか。

A 買い物の仕方や物の持ち方に無駄がないかチェックしましょう。

買うのを我慢するわけではなく、お金や物の使い方をチェックする意識を持つと、自然と出費は減っていきます。
日用品などを安いときにまとめ買いしても、物が多すぎたりしてしっかり在庫管理ができていないと無駄になりがちです。
たとえば靴下を3足千円で買って得したと思っても、そのうち1足しかはかず、2足をしまい込んだまま忘れていたら、1足千円で買ったことと同じになってしまいますよね。
特売の洗剤や歯磨き粉、トイレットペーパーなどの日用品やお酒などは、たくさん買い込むと気が緩んで雑な使い方をしてしまうことも。在庫管理をしっかりしながら、大切に使い切るよう心がけましょう。
たくさん買ったストックをしまうために収納アイテムを買うのもナンセンス。余計に物が増えてしまい、管理がしにくくなります。
また、保険も案外無駄が多いものです。死亡保障や入院保障の保険料は、実はどこの会社もみんな同じ。それでも払う料金が違うのは、保障に、保険会社の経費が上乗せされているからです。これを機に、経費がかからないネット保険に替えたり、子どもが社会人になったら死亡保障をやめたりするなど、ライフスタイルの変化に応じた見直しも必要です。

Q もし自分や家族が新型コロナにかかってしまったら、保険がないと医療費・入院費が払えないのではと心配です。

A 公的な医療保障制度、会社員の傷病手当金などを活用すれば、家庭での負担はそれほど大きくならずにすみます。

日本の医療費負担は低く、入院しても3割負担。入院1カ月で100万円かかっても本人負担は30万円、さらに高額療養費制度を利用すれば、自己負担金は約9万円ですみます。1カ月以上入院することはめったにないので、医療費は1人10万円の貯金があれば安心。
夫や自分が亡くなっても月約15万円の遺族年金が入り、死亡したのが住宅ローン名義人なら支払いは免除。サラリーマンなら傷病手当金が最長1年半、給料の約3分の2支給されます。
なお、医療保険は主に入院によって支払われるものですが、新型コロナなら通院でも医師の診断書があれば支払われます。さらに死亡時は、災害特約も適用されます。

【高額療養費制度の利用例】
100万円の医療費で、窓口負担(3割)が30万円かかる場合
自己負担の上限額 80,100円+(100万円-267,000円)×1%=87,430円
212,570円が高額療養費として支給され、実際の自己負担額は87,430円となります!(出典:厚生労働省HP)
※平均月収35万、配偶者と子2人の被雇用者の場合の例

Q 気になるのは子どもの教育費です。将来への投資として、ここだけはあまり削らないほうがいいと思うのですが。

A 人間性を身につけ、自分で食べていけるように育てることが第一。お金をかけたからといって、いい人生を歩めるとは限りません!

教育費を投資と考えると、無駄が大きくなります。今の時代、大学に行って大手企業に勤めても倒産するリスクもありますし、人生の喜びが見出せず、引きこもる子も少なくありません。親の世代と比べて金銭的余裕もないので、将来、自分たちの面倒を見てくれる子はほぼいない、と思っていたほうがいいかもしれません。
そこで教育費は投資というより、子ども自身が充実した人生を歩めるようになるための慈善活動だと割り切りましょう。
大切なのは、人に好かれる人間性です。実際に今、多くの企業の入社面接では、学歴や成績よりも「その人と一緒に働きたいかどうか」を見ています。勉強を詰め込むより、思いやりの心を育てたり、礼儀作法を教えたりすることが大切。それならお金もかかりません。
習い事や塾は、余裕があればやらせましょう。親の願望を押しつけるのではなく、本当に子どもが習いたいと思ったものだけに絞ってください。漫画やゲームなど好きなことを追求した結果、その道のプロになれる子もいますから、むやみに禁止せず、子どもの興味のある分野を伸ばしてあげることが大切です。
そうして無駄な教育費を見直すことで、出費も大きく抑えることができるでしょう。

Q 今あるお金は、今のうちに投資に回して増やしたほうがいいでしょうか。

A 投資はギャンブル。わからないことはやらないのが賢明です。

投資にはリスクがあり、特に今のような先の見えない時代に投資するのはギャンブル同然。
まず、株は値動きが激しく、相場を毎日チェックするだけでもストレスになりますし、下落したときのショックはなおさらです。
投資信託なら安心、でもありません。運用を他人に任せるので、実は株よりも怖いのです。
いずれも口座料や取引手数料もかかります。積み立て型投資信託も、節税が売りのiDeCoは60歳まで引き出せず、所得控除が使えない専業主婦には節税のメリットはなし、つみたてNISAは投資額に制限があり、ラインナップが限られます。株価が下がれば節税効果もありません。金も相場や為替で価値が変動。
デフレの時代は「借金減らして現金増やす」が大鉄則。お金そのものの価値が上がっているので、銀行に預けるのが賢明です。

デフレ下では物の価値が下がり、お金の価値が上がります。たとえば去年1万円だったものが今年は9,500円に。借金は逆で、出費が500円増えることに。現金を残し、ローンは早く返しましょう!

Q 老後は最低でも2,000万円が必要というのは本当ですか?年金制度は破綻しませんか?

A 年金が破綻するのは、国が破綻するとき。年金を受給すれば暮らせます。

去年、大臣による「老後は2,000万円必要」との発言が話題に。この金額は、総務省の家計調査で、老人世帯の月々の生活費が27万円に対し、年金は22万円で差額が5万円、100歳までで差額2,000万円になるとの試算が元。しかし地方なら生活費は27万円もかからず、老後は教育費や住宅ローンもありません。
結論を言うと、会社員の家庭なら、老後も年金で暮らせます。国が破綻しなければ年金も破綻しません。
ただ介護と病気にかかるお金は貯めておくべき。介護費用は一人大体500万円。病気も公的な医療保険制度を使えば、1人100万円持っておけばなんとかなりそう。葬式代も含めて夫婦で1,500万円あれば足りそうです。退職金や、家を売ることでもまかなえる金額では?
大切なのは、無駄な生活費をかけないよう、生活スタイルを見直すこと。また生涯のパートナーを大切にすることも忘れずに!




PHPくらしラク~る」11月号より


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本記事は、「くらしラク~る」2020年11月特集【守る・使う・貯める 幸福度アップ! お金の新習慣】より、一部を抜粋編集したものです。

【著者紹介】
荻原博子(おぎわらひろこ)
経済ジャーナリスト。1954年、長野県生まれ。大学卒業後、経済事務所勤務を経て独立。経済の仕組みを生活に根ざして解説する、家計経済のパイオニアとして活躍。『年金だけでも暮らせます』(PHP新書)など著書多数。