苦しくなったり、限界を感じたら、どんどん人に頼りましょう。


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がんばりやさんほど、人に頼ろう

がんばりやさんの中には、問題が起きても人に頼らず、頑なに自分で何とかしようとする人が多いようです。何を隠そう私もその一人です。
私は、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を一人で介護してきました。さらにフルタイムで仕事をして、恋人とも時間を縫うようにデートをしていました。そんなある日、妊娠が発覚。同時に恋人が失踪! 今振り返れば大変な状況ですが、それでも私は、「大丈夫、がんばれば何とかなる」と、誰にも相談せずに一人で奮闘していました。

自分だけでできることには限界がある

しかし、いくらやる気があっても限界はあります。少しお腹が大きくなってきた頃、職場で無理をして出血し、即入院となってしまいました。誰にも妊娠したことを言っていなかったので、職場も家族も大混乱に。周りに迷惑をかけないように一人でがんばってきたつもりが、結果的に大迷惑をかけてしまうことになったのです。さらに最悪なことに、さまざまな要因が重なって命の危機に瀕し、生まれてきた娘を生後6時間で亡くしてしまいました。
そのとき初めて、もっと早く上司や同僚、家族に相談していたら、娘の命は助かっていたかもしれない......と、ひどく後悔しました。自分の努力だけではどうにもならないことがあると、大切なものを失ってやっと気づいたのです。

頼ることは人との絆を強める

退院してから復職すると、仲のいい同僚が私の元にやってきました。そして、「きょうちゃんは全然相談してくれへん。悔しい」と泣きながら怒ってくれました。その姿を見て、私のことを助けたいと思ってくれている人がこんなにも近くにいたんだ......と驚きました。
あなたを助けたいと思っている人は必ずいます。勇気を出して「助けて」とお願いしてみませんか? 人を頼ることは、本当に大切な人との絆を守るためにも必要なことです。
「がんばらなくちゃ」と思って行動を始めている時点で、あなたは充分にがんばっています。もし、次のようなサインがいくつか出ているようなら、すでにオーバーワークかもしれません。自分をねぎらって人を頼るようにしてくださいね。

がんばりすぎのサイン

☑忘れ物や落とし物が増える
☑朝起きられなくなり寝坊が増える
☑予定を間違えたり忘れたりする
☑小銭を数えるのが面倒で、お札で支払う
☑本や新聞を集中して読み進められない
☑ミスが増えて自分を責めるようになる




「PHPスペシャル」1月号より


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本記事は、「PHPスペシャル」2021年1月号特集【がんばらなくて、大丈夫】より、一部を抜粋編集したものです。


【著者紹介】
橋中今日子(はしなかきょうこ)
理学療法士、心理カウンセラー。介護者メンタルケア協会代表。自身の介護の経験から、介護をしている人や、医療、介護の現場で働く人の心身のサポートを行なう。著書に『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)がある。