料理がうまく作れず落ち込む平野さんに、「大丈夫だよ。誰でも失敗することあるよ」と声をかけてくれたのは、4歳の次女でした。


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一番の応援団~私を励ましてくれた家族の「ひと言」

小1・年中・1歳の三姉妹の母である私は、あまり料理が得意ではありません。
その日は、夜ご飯にジャガイモと鶏肉の煮物を作っていました。出来上がる直前、味見をしてみるとイマイチ。「あー、またうまく作れなかった......」。美味しいご飯を食べさせてあげたい気持ちが強い私は、毎日のこの時間が「私ってダメな母親だな」と悲しくなるのでした。
テレビを見ている娘たちに、「ごめんね、煮物を作ったけど美味しくないかもしれない」、無意識にそう言っていました。でも、毎度のこと。さぁ、お皿に盛ろうかと準備をしていたら、こんな言葉が聞こえてきました。
「大丈夫だよ。誰でも失敗することあるよ」
声の主は次女でした。「どこでそんな言葉を覚えたの!?」とビックリ。でも、その「大丈夫」がとても嬉しくて、自分が笑顔になったのがわかりました。
「なっちゃん、ありがとう。お母さんとっても嬉しいよ」
と抱きしめ、「そんな素敵な言葉をどうして知ってるの?」と聞きました。すると意外な答えが返ってきました。
「だって、お母さんがいつも言ってるでしょ」
そのとき私は、ハッとあることに気付きました。

その日の夜、子どもたちが寝静まった後、今まで子どもたちに言われて嬉しかった言葉を書き出してみました。
今日の次女の言葉。そして、三女が生まれたときに長女が言った「かわいいー! 生まれてきてくれてありがとう!」という言葉。他にも「お母さん、いつも私たちのためにありがとう」「生まれてきてサイコー!」。これらは、すべて私が子どもたちに言ってきた言葉でした。
私は、子どもたちの言葉に励まされ、喜びをもらってきたけれど、それは実は自分の言葉だった......ということに気が付いたのです。 
私は、自分に自信がありません。料理は下手だし、掃除も苦手。すぐイライラして、子どもたちを怒ることもしばしば。ダメな母親だとずっと劣等感をもっていました。
だけど、子どもたちがあたたかい言葉を使っている姿を見て、それが私の言葉だと気付いて、「私にもいいところがあったんだな」と涙がとまりませんでした。美味しい料理を作ることこそが母親の仕事だと思っていたからです。でも、そうではありませんでした。
私がしてきたことは、あたたかな言葉を使い続けること。料理が下手でも掃除が苦手でも、私には言葉があった。次女に母親としての自信をもらい、とても嬉しく思いました。
次の日、私は次女に「なっちゃん、お母さんね、昨日、なっちゃんが大丈夫って言ってくれて、涙が出るほど嬉しかったよ。ありがとう」と伝えました。
次女は笑って、こう言ってくれました。「うん。お母さんがいつも言ってくれるからね、なっちゃんも言うんだよ。なっちゃんはお母さんが大好きだからね。だから、また失敗しても大丈夫だよ」と。

私はもう失敗が怖くありません。だって私には、こんなに可愛い応援団がいるから。私は、今日も自信をもって子どもたちに伝えようと思います。「大好きだよ」「あなたがいてお母さんは幸せだよ」「ありがとう」......。そして、反抗期がきても成人しても、それらの言葉を伝え続けよう、10年後も20年後も子どもたちの一番の応援団でいようと決心した、私の一生の宝物になる出来事でした。

平野彩加(福岡県・34歳・主婦)




「PHPのびのび子育て」2月号より


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本記事は、「PHPのびのび子育て」2021年2月号特集【「甘えさせる」といい性格が育つ!】より、一部を抜粋編集したものです。