スーパーでお気に入りのカートが無く、すねてしまった娘さん。仕方なく、別のスーパーに行くことにした大道さんでしたが......。


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いいこと、いいこと、あるよ~私を励ましてくれた家族の「ひと言」

2歳の娘といつものスーパーへお買い物。
マイペースで穏やかな娘が珍しく駄々をこねた。理由は、乗りたかった車のカートが無かったから。とても楽しみにしていたのか、慰めても他のカートに誘っても納得がいかない様子。フグのように膨れた可愛いほっぺたが、今にも弾けて泣き出してしまいそうだった。
無理やりスーパーの中に連れていくこともできた。でも、その先は地獄だとも分かっていた。たまたまその日は時間があったので、思い切ってこんな提案をしてみた。
 「ママ、もっと可愛いカートがあるお店を知ってるんだよね! さきちゃんの好きなピンク色の車のカートだよ!行ってみない?」
その瞬間、娘の口元が一気に緩み、いつものお日様のような笑顔に戻った。
 「行く!」
そうして、そこから15分もかけて別のスーパーへ向かった。道中、「あぁ、なんて無駄な時間を過ごしているんだろう」と本気で思った。もし、あのまま買い物を続けていれば、今頃家に帰れていたかもしれないのに......。そんなことを考えながら運転している私の胸中を察したのか、娘が、「ママ、いいこと、いいこと、あるよ」と可愛く慰めてくれた。
教えてもいないのに、私が困ったときに娘が必ず言ってくれるお得意のセリフだ。なぜか、この言葉を聞くと何でも許せてしまうから不思議だ。ほんの少しだけ、娘のためにわざわざ遠くのスーパーに行く自分を肯定することができた。
そんなこんなで別のスーパーに到着。ピンクの可愛い車のカートを見つけて大はしゃぎの娘。ドアを開けて、シートベルトを着け、いざ買い物に出発!「ちょっと甘やかしすぎたかな」と反省しつつも、嬉しそうにハンドルを動かす娘の姿がとても愛おしかった。
無事に買い物を終え、スーパーの中に入っているお花屋さんを覗いた。色とりどりの綺麗な花たちに癒やされていると、以前から買おうか迷っていた観葉植物のウンベラータを見つけた。他店では、同じ大きさでも2000円はするのに、このお店では1600円という破格の値段。葉や茎、土の状態もよかったので、思わず「これください」と即決。
思ってもみなかった幸運に、ホカホカした気持ちで駐車場に向かい、植物が倒れないように、そうっと車に乗せた。いつの間にか娘だけではなく自分も幸せな気分になっていることに気付き、「本当にいいことがあった!」と嬉しくなった。
家に着き、さっそく植物の植え替えをして、部屋に飾った。スーパーで買った果物のアイスを2人で食べながら、「今日も楽しかったね。またピンクのカートに乗ろうね」と約束した。
それからというもの、多少困ったことがあっても、娘の言葉を信じ、娘の気持ちを尊重して行動できるようになってきた。
これから娘が大きくなって、困難にぶつかったときは、この日のことを思い出して、「あなたなら大丈夫。きっと、いいことあるよ」、そう言ってあげられるような母になりたい。

大道佳恵(茨城県・32歳・主婦)




「PHPのびのび子育て」3月号より


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本記事は、「PHPのびのび子育て」2021年3月号特集【傷つきやすい子、敏感な子の育て方】より、一部を抜粋編集したものです。