HSCとASDやADHDは線引きできるもの? 専門家が語る”繊細な子“理解の盲点

「HSC(繊細な子)は発達障がいとは違うと語られることが多い一方で、実際には両方の特性を併せ持つ子どもも少なくない」。そう語るのは、『発達科学コミュニケーション』マスタートレーナーのむらかみりりかさん。
HSCなのか、ASD(自閉スペクトラム症)なのか、ADHD(注意欠如・多動症)なのか…、そもそも分類することができるものなのでしょうか? 繊細な子の育て方で気を付けるべきことについて考えます。
※本稿は、『HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング』(むらかみりりか/パステル出版)から一部抜粋・編集したものです。
「HSCは発達障がいではない」は誤解です!

一般的に、HSCやHSPが持つ繊細さは生まれ持った気質であり、病気や障がいとは異なるといわれています。「HSC=発達障がいではない」というのが一般的な理解ですが、HSCの子が発達障がい(グレーゾーンも含め)を併せ持つこともあるのです。
HSCという概念は心理学の1つの概念でしかないため、病気や障がいと認められておらず、発達障がいの支援対象からも外れています。しかし本来、障がいの支援とは「社会生活を送るうえで困りごとがあるので、社会全体で支援しましょう」という、生きづらさに対するサポートです。
感情の不安定さ、ストレス症状、不登校、引きこもり、睡眠障がい、精神疾患の合併など、繊細な子どもは集団生活や社会生活を送るうえで、困りごとを抱えている場合にも、支援の対象から外れているのが現状。周りからの理解も乏しく、サポートもないということになります。
その結果、不登校児の約8割はHSCだという専門家もいるほど、繊細な子の困りごとは複雑化・深刻化しています。近年、国は不登校対策にようやく動き出しましたが、別室登校、母子登校、スクールカウンセラー、フリースクールなど、困りごとが起きてからの対処療法ばかりで、心の困りごとを根本から解決しよう、予防しようという動きはあまりないようです。
「うちの子はHSCですか? それとも発達グレーゾーンですか?」私はお母さんたちから、よくこの質問を受けます。
しかし、そもそも私はそのような区別をしていません。なぜなら、繊細さを持ちながら、発達障がいとよく似た特性も併せ持った子どもたちがほとんどだからです。わが子もそうです。
もちろん特性のバランスや強さは1人1人違います。HSCなのか、ASD(自閉スペクトラム症)なのか、ADHD(注意欠如・多動症)なのかは、白か黒かで分けられるようなものではなく、数値で測れる血液検査のように明確に分類できるようなものではないのです。
実際に「感覚過敏特性に関する調査」として900名の男女を対象とした研究調査によると、HSPと発達障がいの間には関連性がある、むしろHSPと発達障がいの明確な差異を見いだすことは困難だったというのです。
HSP傾向が強い対象者は、ASDあるいはADHDのどちらか、または両方の特性を強く持っていたという結果が出ました。つまり、HSP傾向が強い対象者は、発達障がいである可能性も高いというわけです。逆に、HSP傾向のみが強いという対象者は、ほとんど確認できなかったそうです。
要するに「HSCか、発達障がいか」という区別よりも、「わが子がどんな困りごとを抱えているのか」を正しく理解し、対応することが何よりも大事。いずれにしても脳を強くすれば、困りごとは減り、生きやすくなるからです。

むらかみりりか『HSC・繊細な子の育て方がわかる!ペアレントトレーニング』(パステル出版)
「共感は逆効果だった――」
「初めてのことが苦手」「学校に行くのがつらい」「すぐ傷つく」そんな繊細な子が、わずか3カ月で笑顔で挑戦できる子に変わった!繊細な子の脳を発達させる、親子のコミュニケーションの新常識がわかります。
本書は、脳科学に基づいたペアレントトレーニングを通じて、親の関わり方を変えるだけで子どもが大きく変わった理由と解決策を、親子の実話とともにまとめた一冊です。




























