大ヒット絵本『おせち』はなぜ人気?渋いテーマなのに親子でうっとりした理由【絵本レビュー】
nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。
今回は5歳の息子と一緒に『おせち (こどものとも絵本) 』(福音館書店)を読みました。
今回読んだ絵本はこちら
『おせち (こどものとも絵本) 』
内田 有美 (文・絵),満留 邦子 (料理), 三浦 康子 (監修)
おせち、用意する? しない?
お正月のおせち、みなさんは用意していますか?
正直なところ、我が家はだいぶ簡略化しています。
黒豆、かまぼこ、なますなど、家族の好物だけスーパーで購入。あとはお雑煮で正月雰囲気を演出する…といった塩梅です。
「年賀状じまい」という言葉もあるように、年始に向けてあれこれ手間をかけて用意する余裕は現代人にはないのでは?と感じることもしばしば。共働き家庭だとなおさらです。
しかしなんと、この令和の時代に、絵本『おせち』が人気だというではありませんか。
2023年末に「こどものとも年中向き」として発売されたものの、品切れに。翌年ハードカバーとなって再登場し、25年にはなんと英語版も出版されたのだそう。
どちらかといえば、子どもたちはおせちに苦手意識を持ちがちなイメージ。この渋いテーマの絵本に、どんな反応を示すのでしょうか。
というわけで、親子で読んでみることにしました。
おせちに込められた想い
絵本では、おせちに込められた願いを、リズミカルにわかりやすく説明してくれます。
黒豆や昆布巻き、栗きんとんなど、一つひとつの料理に願いごとが込められていることはなんとなく知ってはいたけれど、絵本であらためて説明されると、なるほどなという感じです。
「まめまめしく くらせますように」
「こぶまきの こぶは よろこぶの こぶ」
などなど、時々「これって駄洒落に近いな・・・」などと思いつつも、おせちがただの「ごちそう」ではなく、想いがこめられているものであることを改めて実感。
息子もふむふむといった様子で耳を傾けていました。
美しく描かれたおせちに大人もうっとり
この本の何よりの魅力は、おいしそうなおせち料理。
料理研究家の満留邦子さんが、この絵本のために実際に作った料理を、内田有美さんが絵に描き起こしたのだそうです。
しっとりとやわらかい質感で描かれたごちそうは、思わずため息が出る美しさ。
子ども向けにデフォルメせず、細部まで丁寧に描かれているのが印象的です。
この絵が、おいしいものに目がない息子に刺さったようでした。
「これはどんな味?」
「こっちは食べたことあるね!」
と興味津々。親子の会話が広がります。
大人っぽい絵本だなと思っていましたが、我が家の5歳児は気に入った様子でした。
それにしても、おせちって、なんて彩りがいいんでしょうか。
和食の美しさを再認識しました。
おせちの良さに気づく一冊
ところで、わが子が夢中になる絵本は、福音館書店さんの作品が多い気がします。
福音館書店さんの絵本には、大人が決して子どもを下に見たりせず、「よいものをまっすぐに手渡す」という誠実さがあると感じています。
教訓を伝えるタイプの本や、子どもの学びを支える本も、親にとって心強い存在。けれど、結局子どもが本当に好きになるのは、大人が見ても「素敵だな」「美しいな」と思える作品なのかもしれません。絵本『おせち』も、まさにそんな一冊でした。
おせちをなんとなく「めんどうなもの」と思っていた筆者ですが(ごめんなさい)、絵本のおかげで、おせちの良さを思い直すきっかけにもなりました。
お正月に、親子で一緒に読みたい一冊です。
内田 有美 (絵・文),満留 邦子 (料理), 三浦 康子 (監修)『おせち (こどものとも絵本) 』(福音館書店)
「くろまめ ぴかぴか あまい まめ。まめまめしく くらせますように」「きんとん きんかん きんいろ こがね。おかねが いっぱい たまりますように」など、おせち料理を美しい絵でひとつひとつ紹介しながら、そこに込められた願いをリズミカルなことばで伝える絵本です。最後には、一の重、二の重、三の重と料理を詰める順番もわかります。
時代も変わり、今はおせち料理もバラエティーに富んでいますが、年の初めに1年の無事を願うというのは昔も今も同じですね。改めて日本の伝統食・おせちの良さを味わえる一冊だと思います。
料理研究家の満留邦子さんがこの絵本のために心を込めて作った料理を、内田有美さんが美しく精緻な筆致で描いています。おせち料理を食べるときに、どうぞそばに置いてお楽しみください。

































