叱るときに、命令口調で怒鳴ってしまいます~子育て相談室

斉藤孝子
2023.10.04 13:12 2010.09.18 12:00

斉藤孝子先生からのアドバイス

手をつなぐ親子

お母様のことではありませんが、最近、叱ることのできないお母様が増えてきているように思います。「ほめて育てる」「叱らない子育て」などと書店にいくと、子育て本もでていますね。原則的には、こういう考えが基本です。

しかし、子どもの気持ちを汲み取って、すべてを認めてあげるという考え方で子育てをしていると、子どもは、すべて、自分の欲求が通り、がまんのできない子になってしまいます。

人間として成長していく上で大切な事は、フラストレーションに耐える力をつけていくことなんです。自分のやりたいことが許されない…でも、それを理解できた時、自我の成長があるわけです。

初めのパンツの件。お母様の対応の仕方が正しいと思います。パンツははくものなのです。はかないほうが楽で気持ちよいのだろうとお子さんの気持ちを汲んで、部屋にストーブをつけて過ごしたら、今後、どうなるでしょう。

家だけでなく、児童館でも友達の家でもはかずに、過ごすようになってしまいます。お子さんの気持ちがどうこうではなく、パンツは、はかなくてはいけないものだと教えなくてはいけません。お母様の説明でOKです。

それでも、はかないとき、お母様は怒鳴ったとありますが、それは感情です。お子さんが、お母様の表情、態度、声に対して、「ママ、恐い」と言ったのです。こういう時は、何を怒られているかということよりも、お母様の表情、態度、声に対して、恐れてしまっているのです。

怒鳴ることと叱ることは違います。感情で怒鳴っていると、お子さんにお母様の気持ちは伝わりません。手をつないで、お子さんの目を見て、しっかりと冷静に叱るのです。それを繰り返す中で、お子さんは、きっと、理解してくれますよ。

次に、水遊びの件も同じです。洗面所は、水遊びをする場所ではなく、手を洗う場所だと教えていきましょう。お風呂に入ったときに、遊ばせるようにしましょう。

最後に、しつけについてですが、今日はダメといっておきながら、明日は許すということのないように、ご家庭の価値基準を定められるといいと思います。

そこをいい加減にしてしまうと、お子さんは迷います。身につけていく過程の中では、お子さんが泣いてしまったり、いやがったりすることがあるかもしれません。

でも、それを越えさせることが必要です。「ママ、恐い」と言われ、ショックな気持ちはわかりますが、親子の信頼関係は、それで失われるほど、薄いものではありません。

もっと、深い愛情でつながれているはず。どんなに叱られたって、それが正しければ、お子さんは、「お母様大好き!」と慕ってきてくれますよ。

斉藤孝子

斉藤孝子

1963年生まれ。日本ベビーコーチング協会理事。1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。