じつは人の幸せは、「脳の使い方」で決まるのです!脳科学者の茂木健一郎さんに、幸せのコツを教えていただきましょう!

 

 

習慣1:「マインドフルネス」で心を整える

 

「マインドフルネス」とは「今、ここ」に注意を向け、自分が感じていることをそのまま受け入れる心のトレーニングのことです。海外ではグーグルなどの一流企業がストレス対策として研修に取り入れていることで注目されています。

1日15分、目を閉じてただひたすら自分の呼吸にだけ集中します。無心になるのではなく、今、目の前で起きていることだけ(=呼吸)に集中するのです。

瞑想をしなくても日常生活の中でもできます。例えば、子どもが騒いでいたとします。そのとき「子どもが騒いでいるな」とそのまま感じ取ることが大事で、それに対して価値判断を下してはいけません。「騒いでいる子どもは良くない」と判断した時点でストレスになってしまうからです。

「今、ここ」に集中できる脳になると、常に落ち着いて世の中を眺められるようになり、心は平穏で満たされた状態になります。

 

習慣2:モノより経験にお金を使う

 

生活していけるだけのお金があれば、それ以上収入が増えても幸福度は上がらないという現象は、経済学者のイースタリンにちなんで「イースタリン・パラドックス」と呼ばれています。ここでいっているのは、お金を追い求めても必ずしも幸せになれるわけではないということです。

ただ、お金は安全基地になります。ある程度貯金があれば、それを安全基地にしていろいろなことに挑戦できます。例えば英会話教室に通ったり、スポーツクラブで汗を流したり、仲間とお酒を楽しんだり。このように経験のためにお金を使う「生きたお金の使い方」をすると脳が喜びを感じます。

いっぽうでモノを買い集めて部屋に飾っておくためだけにお金を使うのはおすすめできません。なぜなら、経験につながらないからです。ただし、気に入った服を買うことで、積極的になれるならいいと思います。

 

習慣3:雑談を楽しめる人になる

 

人が幸せを感じるための絶対条件というものは存在しない、ということが研究でわかっています。つまり結婚していてもそうでなくても、子どもがいてもいなくても、お金持ちでも貧乏でも、幸福度とは関係がないのです。ただひとつ幸福と関係があるのが、「周囲の人たちとの絆」。

その絆を結ぶときに大事なのが雑談です。猿でいえば、毛づくろいに相当します。猿がお互いの毛づくろいをするのは親愛の情の表れで、このときに脳内からはβ-エンドルフィンという、欲求が満たされたときに発生する報酬系物質が放出され、安心感や充足感が生まれます。

つい「雑談って面倒くさい」と思ってしまうかもしれませんが、雑談を楽しむことができないと幸福からはどんどん遠ざかってしまいます。そして雑談を楽しむには、自分がしゃべらなければと身構えるのではなく、まずは相手の話を聞くことが大切です。

 

習慣4:「運動」で、幸せとアンチエイジングを手に入れる!

 

僕は走ることを習慣にしています。ところで、厚労省によると週に2回以上、1年以上継続的に運動を続けている人は3人に1人ほどだそうです。逆にいうと、3人に2人は運動をしていないんですね。

最近の研究では、運動がアンチエイジングに関わっていることがわかってきています。例えば、アルツハイマー型の認知症では、β-アミロイドというタンパク質が脳に蓄積されることで脳萎縮が起こります。ところが、運動をして体の代謝を上げると、脳の中に溜まっていたβ-アミロイドが分解されるのです。このように、運動で体と脳を若々しく保つことが健康と幸福につながるというわけなんです。

また、頭をからっぽにしてウォーキングをしていると「デフォルト・モード・ネットワーク」という脳の活動が活性化して、脳の中が整理され、ストレス解消になることがわかっています。

 

習慣5:朝起きたら家の外に出てみる

 

毎朝、目覚まし時計を使って無理やり起きるよりも、自然に目覚めた方が幸せな気持ちで一日を始められるはず。そこで気持ち良く幸せに目覚められる方法を紹介したいと思います。

脳の仕組みからいうと、太陽が昇ったら活動を開始させ、沈んだら徐々に活動量を落としていくというのが理想的です。したがって早起きするには前の晩、夜更かししないことが肝心。約一・五時間ごとにノンレム睡眠からレム睡眠に切り替わる睡眠サイクルを利用して、眠りの浅いレム睡眠のときに目覚めるように睡眠時間を調整しましょう。

朝起きたら、外に出て朝日を浴びると、脳のスイッチが入ってすっきりと目覚めることができます。僕の場合は、家から徒歩三分のコンビニまで買い物に行きます。これは「早起きをすると嬉しいことがある」という報酬を用意しておくことで、起きられるようにするための工夫なのです。

 

習慣6:家事を「文化」ととらえ、カリスマ主婦を目指す!

 

掃除、洗濯、料理と家事をするときに「つまんないことやっているな」と思ってしまうと、家事は本当につまらないものになってしまいます。今、あなたにとって家事は「必要だから仕方なくやること」かもしれませんが、工夫次第でいくらでも華やかで楽しいものに変えることができます。

料理研究家の栗原はるみさんや片づけコンサルタントの近藤麻理恵さんのように家事を文化としてとらえて楽しんでいる人はたくさんいます。今の時代はブログやSNSを使って情報発信できるので、誰にでもカリスマ主婦への道は開かれているのです。

また脳の使い方からいうと、家事をしているときに段取りや計画、時間を調整することなどを考えていると前頭葉が活性化します。脳にとっては小さなことの積み重ねは嬉しいことなので、じつは家事は幸福になる一番のきっかけなのかもしれません。

 

「できない自分」も受け入れてみよう

 

幸福とは、ものの見方だといえます。全く同じ生活をしている人でも、幸福になるものの見方をしている人は幸福になり、逆であれば不幸になります。ものの見方の中でも一番やっかいなのが、自分への評価でしょう。不幸な人は自己評価が低く、幸福な人は自己評価が高いのです。

人は「幸せになるためにはこれが必要」という「要求基準」を持っていますが、その基準と「今の自分」がかけ離れている人ほどストレスが強いことが研究からわかっています。要求基準があまりにも高すぎると、努力していても「今の努力は、未来にはつながらないのではないか」と思ったり、少しでも休むと「こんな楽なことをしていたらダメになる」と、自己評価を低く見積もってしまいがちです。これでは努力していても、焦るばかりでろくな結果を生みません。

いっぽうで自己評価の高い人は、自分が置かれている状況を受け入れることができます。例えば、「ネイティブ並みに話すことを目指して英語を勉強しているのに、なかなかスムーズに会話ができない」というケースを考えてみましょう。このときに、「たどたどしくても自分の気持ちを英語で伝えることができている」と楽しめていれば、語学力は飛躍的に伸びていくのです。

私たちは誰もが今置かれている現状を劇的に変えることはできません。だとしたら、幸福につながるようなものの見方をした方がいいとは思いませんか?

 

【著者紹介】

茂木健一郎 (もぎ・けんいちろう)

脳科学者・ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。

1962年、東京都生まれ。東京大学理学部・法学部卒業、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。『幸福になるすごい脳の使い方』(PHP研究所)など著書多数。

 


 

くらしラク~る「PHPくらしラク~る」は主婦が何気ない毎日をラクに楽しく過ごせるように応援する生活情報。 2016年7月号の特集は<あなたも絶対「幸せ脳」になれる!>です。

 

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