乗り物酔いで“吐き気をもよおす”のはナゼ? 脳が騙されて起こる身体の反応

ニュー・サイエンティスト,西川由紀子,千葉和義
2023.11.01 14:05 2023.03.04 12:00

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いくら寝返りを打ってもベッドから落ちないのは何故? どうして、すっぱいものや苦いものを食べるとヘンな顔になるの?…イギリスの科学技術雑誌「ニュー・サイエンティスト」に寄せられた、読者が生活のなかで感じた「からだと脳」に関する疑問についてご紹介します。

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※本稿は、ニュー・サイエンティスト(編集)、西川由紀子(翻訳)、千葉和義(監修)『どうしてオナラはくさいのかな? 人に聞けない!? ヘンテコ疑問に科学でこたえる!』評論社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

【ニュー・サイエンティスト】
1956年にイギリスで創刊された科学情報誌。科学技術分野の最新情報を一般読者にもわかりやすく解説することで人気を博す。週刊誌、HP、SNSなど、さまざまな媒体で情報を発信し続け、世界中の読者から支持されている。

どうして大人は子どもみたいに目がまわる感覚を楽しめないの?

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ジェットコースターはすき? ぐるぐる回されたり、からだを上下さかさにされたりするのはどう? 目がまわるのって、とても楽しいよね。

公園や遊園地のぐるぐる回転する遊具は、いつも子どもたちでいっぱい。子どもが目がまわる感覚を楽しめるのは、まちがいなさそうだね。子どもが平衡感覚をやしなうには、刺激が必要だ。ハイハイするにも、歩くにも、ゆれるボートの上でからだをまっすぐささえるにも、平衡感覚が必要だからね。

でも、そもそも平衡感覚って何だろう?

人間の平衡感覚は、3つの感覚が複雑に調和して、コントロールされている。

1つ目は前庭系といって、内耳にあり、頭の位置を教えてくれる。

2つ目が視覚。自分のからだが外の世界に対してどんな位置にあるのか、じっと立っているのか、上下にジャンプしているのか、さかさまにつるされているのか、を教えてくれる。

3つ目は自己受容体といって、筋肉や関節にある感覚器官。これのおかげで、自分のからだが空間の中でどんな位置にあるかがわかるんだ(目が見えないときはとくに助かる)。

大事なのは、これら3つの感覚は成長スピードがことなるということ。前庭系は、生後6カ月で十分に発達する。筋肉や関節にある自己受容体がしっかり発達するには、さらに3〜4年かかる。意外なことに、発達にもっとも長い時間がかかるのが視覚で、16歳くらいでやっと発達を終えるんだ。

大人がジェットコースターでぐるぐる回転すると目がまわる感覚は、長時間のドライブでようときの感覚とよくにている。これを「乗り物よい」といって、脳が3つの感覚から受け取る情報が矛盾しているから起きるんだ。

メリーゴーラウンドやジェットコースターでぐるぐる回転すると、前庭系や自己受容体はそれを感じられるけど、目は視野がつかめないので、何が起きているかがわからない。

脳は受け取った情報をもとに、必死に状況をつかもうとする。だけど、その主な感覚である視覚は、ほかの感覚が幻覚を起こしていると考える。

そこで、脳は何を考えるのか?

脳は、毒を盛られたと思いこむ。そして、からだの中からその毒を取りのぞこうと、はき気をもよおさせるんだ。

nobico(のびこ)編集部

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