中学生の子「スマホほしい」 親はどう応えれば正解?
親も子も安心して気持ちを話せる場「かぞくかいぎ」を毎週設け、結果、お金教育につながったという家族の実例から、スマホをねだる中学生の子とその親のケースを紹介します。
※本稿は、玉居子泰子著『子どもから話したくなる「かぞくかいぎ」の秘密』(白夜書房)を一部抜粋・再編集したものです。
※いわゆる、会社で行なわれているような一般的な会議は「会議」と表記し、家族がフラットに意見を交わし合うことは「かぞくかいぎ」「かいぎ」と表記しています。
玉居子泰子(たまいこ・やすこ)
1979年、大阪生まれ。出版社勤務を経て、フリーランスの編集・ライターに。育児・教育雑誌『AERA with Baby』の編集・執筆に携わり、また、妊娠・出産、子育て、仕事、福祉などをテーマに、多様な媒体で記事を執筆。2015年頃、自身の家族との対話を見直したのをきっかけに、様々な家族の家族会議を取材し始め、本書のもととなった「家族会議のすすめ」(東洋経済オンライン)を執筆。さらに、関連記事も『AERA with Kids』、日経DUALなどに多数寄稿。NHK『おはよう日本』に出演するなど、その家族会議の様子が注目を集めている。ワークショップも実施中。二児の母。
ぎくしゃくした家族の関係を変えるため
首都圏に暮らす中川家は、共同で会社を経営する繁勝さんとみゆきさん夫妻と、社会人1年目の遼くんの三人家族です。
かぞくかいぎが始まったのは、10年前。息子さんが中学生になったとき。父親の繁勝さんが再婚し、みゆきさんと一緒に三人で暮らし始めたのがきっかけでした。
お互いを気遣いながらもぎくしゃくしてしまう状況を打破するために、かぞくで家事分担を「かいぎ」として話し合うことにしたのです。
コメダ珈琲で家族が早朝に話し合うこと
中川家の「かぞくかいぎ」には一つのルールがありました。
それは、毎週日曜に「コメダ珈琲店」で朝食を食べながらかぞくかいぎをすること。
その名も「コメダミーティング=コメミ」です。
「かぞくかいぎを提案したとき、息子は拒否をしなかったんですよね。やっぱり彼も、妻ともっと話したいという気持ちがあったんだと思ったんです」
かいぎの内容は、父親がパワーポイントで作成したアジェンダをもとに、家事分担や家の中で気になることを話し合うというもの。息子さんが議事録をまとめて新聞を作るという分担もできあがりました。
議題について話し合い、議事録をまとめて次のかいぎで経過報告、というやり方はまさに会社の会議そのもの。家族らしくないと思う人もいるかもしれません。
でも中学生になり、パソコンやパワーポイントを動かすことに興味があった息子さんにとっては、この形式自体が必要で、会話の糸口になったのです。
議題は基本的に毎月同じ。
次のようなことでした。
・ 1週間の家事分担
・ 今月チャレンジしたいこと
・ 先月できたことや改善点
・ 両親の収入報告と1カ月の会計報告
・ 来月の収入目標と貯金額
・ 出張など、長期的でイレギュラーな予定の共有
さりげなく書かれていますが、収入報告に会計報告?親の貯金額、来月の収入目標まで発表している……?