思春期男子が些細なことでキレる本当の理由
イライラに隠された「本当の感情」
ただし、そんなに攻撃されたり、傷つけられているわけでもないのに、ちょっとしたことですぐにキレたり、イライラするのは、正当な怒りとは言えません。
たとえば、大人になってから怒りをコントロールできない人の潜在意識には、「わかってもらえない」という悲しみや、「弱いと傷つけられる」というおびえが隠れているのかもしれません。
この場合は、悲しみやおびえが本物の感情であり、怒りはニセの感情です。
怖いのは、このニセの感情は、親との関係性の中で形成されていくものだということ。
たとえば、「男の子のくせにメソメソするんじゃない!」などと日常的に叱られていると、本当は悲しむべきときに、怒るようになるといった具合ですね。
大切なのは、日頃から、子どもの本物の感情をありのまま受けとめることです。
「腹が立つよね」「つらいよね」「心配だよね」「嬉しいね」などと、言葉や表情で共感を示してあげてください。
すると、だんだん子どもは素直に本物の感情を出せるようになり、ニセの感情で本当の気持ちをごまかす必要がなくなってきます。
まずは親が感情を表現する
また、感情について子どもに教えなければならないことは、たとえば怒りを感じたときに、それをどう表現し、どうコントロールするかということです。
そしてその際には、まずは親が自ら表現してみせることです。
親自身が素直に感じたり、表現したりするのが苦手だと、子どもの素直な感情表現を抑圧してしまうことにもなりかねません。
ぜひ、あなた自身も「本物の感情を感じてもいいんだ」という許可を自分に出してあげてください。そして、できるだけ日頃から、子どもと正直な気持ちを出しながら話し合うことを心がけましょう。
とはいえ、思春期に入った男の子が、そうそう親と和気あいあいと会話してくれるとも思えません。
それでも、思春期は大人と子どもの中間期。まさに自立と依存の中間にいるわけです。
イライラしたりすることは多くても、じつは親と語り合いたいときもあるものです。
そんな雰囲気を見逃さず、「今日ね、会社で課長にダメ出しされてね。もう嫌になっちゃった」などと、問わず語りに、自分のことをさりげなく話してみてください。
言葉にできない気持ちをわかってほしい 思春期の男の子が親に求めていること
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