「そもそも問題を読んでいない」かも? 計算が得意なのに文章題が解けない子の特徴

西村 則康、辻義夫
2026.02.13 10:09 2026.02.13 11:50

鉛筆を手に勉強する男の子

「計算はできるのに、文章問題が解けない」……中学受験の現場では、計算力は高いにもかかわらず、文章を十分に読まないまま解こうとする子が少なからず見られるのだそう。

こうしたつまずきの原因となっているのは、一体何でしょうか。プロ家庭教師・西村則康先生、辻義夫先生の著書『理系が得意になる子の育て方』より、その解説をご紹介します。

※本稿は、西村則康、辻義夫(著)『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジブックス)より一部抜粋、編集したものです。

文章問題を読まずに解く子!?

勉強する男の子

以前、算数の偏差値は常に70を上回り、国語は常に30を下回るという5年生の子を教えたことがあります。算数と国語の成績のこの落差は一体何だろうと不思議に思い、小さい頃の様子をお母さんに尋ねてみました。

思い当たる節があると言って聞かせてくれたエピソードが、積み木遊びの様子でした。積み木の面には数字やひらがなが書いてありますが、その子はずっと数字の積み木ばかりで遊んでいたといいます。それだけ数字が好きだったのでしょう。

好きなものへの関心を伸ばしたのはよかったのですが、数字で遊ぶクセから抜けきれないまま就学し、やがて本格的な勉強をする時期へ入ってしまいました。

教育熱心な親御さんでしたから、本を与えたり読み聞かせをするといったこともされてきたはずなのですが、文字や言語に対する関心が育たなかったようです。6年生になって算数の文章問題がかなり複雑になったとき、長い文章の問題になると苦労するようになってしまいました。

算数の問題に向き合うその子の正面に座り、目の動きを追ってみると、だいたい3行目で目の動きが止まってしまいます。その後、長い文章の中にある数字の箇所だけをスキップするように拾い読みし、それらの数字からまるで「当たりをつける」ようにして計算式を立てす。

その式の計算そのものは合っていても、問題には正解できません。最後まで読んでいないのですから、何を問われているのかが正確に理解できていないのです。そうしてその子は、得意だった算数の成績にも陰りが見え始めました。

算数のお悩みナンバー1

勉強する女の子

この話をにわかには信じられないという方もおられるかもしれません。しかし、多かれ少なかれ、文章問題を読まずに解こうとするこうしたタイプの子はいます。

算数という科目は、いうまでもなく、まずは数の認識が基本になります。低学年のうちは、単純な計算問題が学習のメインですから順調に伸びていたお子さんでも、「算数の成績が急に落ちてきた」と親御さんがとまどい始めることがあります。それが、文章問題の学習が始まる時期です。

「計算問題はできるんですけど、文章問題が解けないんです」というのは、私たちからすると算数のお悩みナンバー1です。

文章問題でつまずく理由は単純で、文章が読めていないからです。あるいは、読んでいるつもりでも、筋道立てて読めていない可能性があります。

算数の文章問題の文章には、「これから条件を言うから、その条件に沿って考えて答えを出してね」という意味があります。「条件」=「その問題における設定や状況の変化」をしっかりと把握する読み方が求められます。

ごくごくシンプルな例でいえば、「1mの値段が80円のロープを43m買いました。代金はいくらですか」という文章も、条件や状況を正しく把握する力があってこそ正解できます。

条件や状況をしっかりと把握する読み方は、「理系的な読み方」と言い換えることができるでしょう。そのベースになるのが、「論理的思考力」なのです。

「理系的な読み方」を身につけるために

勉強する子ども

理系的な読み方ができるようになるためには、どうすればいいでしょう。

事実を事実と合った状態でできるだけ正確に認識していく作業に必要なものは「言葉」です。小学校以降、中学校、高校と進むにつれ理系科目に強くなりたいなら、言葉の理解は欠かせないものになります。

事実を正確に把握する作業だけでなく、「なぜそうなのかな?」と疑問を感じたときに考えを深めるためにも、「だったらどうすればいいのかな?」と打開策を練るためにも言葉が必要です。

数にめっぽう強い子であっても、言葉で考えて補っていかないと、算数や理科はどこかで頭打ち状態に陥ります。逆に言えば、言葉の力をつける学習や習慣が算数や理科の力を下支えし、成績を押し上げることにつながるということを親御さんが知っていだけで、理系に育てるうえでのアドバンテージになるといえます。

冒頭で紹介したお子さんの国語の成績は、最終的に偏差値50まで上がりました。それにともなって算数の力も復活し、本人が志望する私立中学校に合格できました。

『理系が得意になる子の育て方』より

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西村則康

中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」創設者・学習コンシェルジュ
40年以上、難関中学・高校受験指導一筋のカリスマ家庭教師として、最難関校に3000人以上を合格させてきた抜群の実績をもつ。暗記や作業だけの無味乾燥な学習では効果が上がらないという信念から、「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践。また受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイス。日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中で、運営する中学受験情報サイト「かしこい塾の使い方」は16万人のお母さんが参考に。ベストセラーの『中学受験基本のキ!第5版(日経DUALの本)』(日経BP)をはじめ著書多数。

辻󠄀義夫

中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表・理数教育家・学習コンシェルジュ
大手進学塾での指導経験後、パーソナル指導の分野で最難関中対策を中心に算数・理科を指導。その授業は「知らない間に算数・理科が好きになってしまう」ことから「ワクワク系中学受験」と評される。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など直感でわかるユニークな解法を編みだす名人でもある。プラネタリウムとのコラボ企画「辻󠄀・アインシュタインホメ夫のわくわく系理科実験」の小学生向け天体授業は即日満員になる人気。著書に『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ理科・計算問題』(実務教育出版)、『マンガとクイズで楽しく学べる すごい理科』(高橋書店)など多数。

理系が得意になる子の育て方

西村 則康、辻義夫(著)『理系が得意になる子の育て方』(ウェッジブックス)

幼児期から始められて、小学校高学年でも遅くない!
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令和の時代に必要な「理系力」を親が理解し、子どもの可能性を無限に広げよう

「わが子を理系にしたい」――。先が見えない時代を生き抜くために、子どもには「専門的な能力を身につけてほしい」と考える親御さんが増えています。
その中で、「理系」という選択肢が頭に浮かぶのでしょう。
しかし、「家庭でできることはあるのでしょうか?」「親が文系なので自信がなくて……」という不安な気持ちが先行し、子どもに「間違った方向」で努力をさせてしまうと、むしろ算数・理科嫌いになりかねません。
理系力を育てるための学習・生活習慣は、幼児期から始められて、小学校高学年から取り組んでも遅くありません。
単に学力が高いだけではなく、目標に向かう方法や問題解決手段を自分で考えられる「ホンモノの理系力」を養うため、子どもの可能性を最大限引き出す方法をお伝えします。