幼児期に子どもを十分に甘えさせると、人生を歩むために必要な能力を身につけることができるのです。

 

 

ワガママにも依存心が強い子にもなりません

「甘え」がはぐくむ5つの能力

 

「甘えさせると、ワガママな子にならないかしら」「親に依存して自立できない子に育ったら、どうしよう」と、お子さんを甘えさせることをためらうお母さん方も多いと思います。 でもじつは、お母さんに十分に甘えることによって、子どもの心は豊かに成長していくのです。

お子さんが赤ちゃんだったときのことを、思い出してください。

お子さんはあなたにおっぱいやミルクを飲ませてもらい、おむつを替えてもらい、泣けば抱っこしてもらうというように、生活のすべてを、親に依存していましたね。

この「依存」が言い換えれば「甘え」になるのです。赤ちゃんのときに親に100%依存すること、つまりお母さんが自分の要求にすべてこたえてくれることで、子どもは安心し、満足感を得て、お母さんと強い信頼関係を築きます。

 

甘えさせることをためらわないでください

 

しかし、生活のすべてを依存していた赤ちゃんも、成長とともに何でも親にしてもらうことに不自由感を抱き、自分で自由に行動してみたいという欲求を持つようになっていきます。 これが自立への第一歩です。

親から自立した子どもは自由を満喫しているのですが、ふと寂しさや不安を感じ、再びお母さんの元へ戻ってきます。このとき上手に甘えさせてあげることが、さまざまな能力を伸ばし、さらなる自立へと子どもを導くのです。

では、甘えさせる時期はいつまでかと尋ねられますと、幼いころ十分に甘えさせてもらった子どもは、自然と親から離れていくときがきます。スキンシップを伴う甘えは思春期に入る前くらいが目安だと敢えてお答えしていますが、お子さんがひとりの大人として自立するまでは、いつでも抱きしめてあげるよ、という気持ちを態度で示してあげてくださいね。 「甘え」がはぐくむ能力について、次から記します。

 

「甘えさせ」が能力を伸ばす!

 

【1】行動力

…お母さんが見守ってくれる安心感で育ちます

 

全てを親に依存していた子どもも、成長とともに「自分でしたい」という意欲を持つようになります。たとえば、まだひとりでは上手にできないのに、服を着たがる、靴をはきたがる、自分でスプーンを持ってご飯を食べたがるなど、お母さんから少し離れて、自分で自由に行動したがります。

でも自分でできると思っていたことができなかったり、「あ、お母さんから離れちゃって寂しいな」と感じると、あわててお母さんの元に戻ってきます。

このときの甘えがとても大切なのです。寂しいと感じたときにお母さんのところにくると受け入れてもらえる。その安心感が子どもを次の行動や挑戦に向かわせるのです。

 

【2】自信

…失敗しても受け入れてもらえれば自信がつきます

 

赤ちゃんのときにお母さんに全てを依存していた子どもは、安心だけれども不自由だという気持ちを抱くようになります。そして親から離れ、何でも自分でしたくなるのですが、当然うまくいかないこともありますね。そのとき、子どもは不安や残念な気持ちになり、以前の「安心」の世界へ戻ってくるのです。

これが甘えになります。そこでお母さんから「よくがんばったね」「次はきっとできるよ」「どうすればうまくいくか一緒に考えよう」という言葉をかけてもらえると、元気回復! またさらなるチャレンジをしていきます。

この繰り返しで、次第に成功体験が増えていくと、自信も育っていくのです。

 

【3】折れない心

…お母さんとの信頼関係が心を強くします

 

子どもは自分が「愛されている」「認められている」「必要とされている」と感じられる家庭で育つと、親と強い信頼関係を築くことができます。この愛され、認められ、必要とされる喜びが子どもの心を支えるのです。

たとえば3歳くらいだと、幼稚園や保育園でお友だちと遊んでいて何かイヤなことがあっても、うまく言葉で伝えることができないことが多いものです。子どもの表情を見て何かあったのかなと思ったら、お子さんを膝の上にでも乗せて、話を聞いてあげる環境をつくりましょう。

お母さんが一番の理解者、応援団長であることを感じ取ると、子どもは心を強くし、簡単には折れない心をはぐくむのです。

 

【4】自立心

…螺旋を描くようにゆっくり自立していきます

 

子どもをしっかり自立させ、社会に羽ばたかせていくことが親の役目でもあり、願いでもあるでしょう。そのため少しでも早く自立心を持たせようと、幼いころから何でもひとりでさせたり、甘えないよう厳しくしつけなければと考えるお母さんもいるかもしれません。

しかし、これまでにも書いてきたように、子どもは「親への100%の依存」からはじまり、成長とともに親から離れて自分でチャレンジしようとします。そこで失敗したり、不安を感じると、お母さんのところに甘えに戻ってきます。つまり、子どもはお母さんがいつも自分を見守っていてくれるという安心感に包まれて「依存」と「自立」を行き来しながら、螺旋を描くようにゆっくりと自立心を培っていくのです。ですから、今焦る必要はないのです。

 

【5】思いやりの心

…十分甘えた子は他人を思いやれます

 

甘えが必要なときに十分に甘えさせてもらい、自分の気持ちを理解してもらう体験を積み重ねてきた子どもは、他人の気持ちも理解できるようになります。

とくに幼いうちは子どもは大好きなお母さんの真似をしたがります。お母さんにしてもらってうれしかったことを、家族や友だちにもしてあげようと考えるようになります。

必要なときに十分に甘えられた安心感が、相手の気持ちを想像し、相手の立場に立つ思いやりの心をはぐくむのです。

 

これだけは気をつけて!NGな甘やかし

 

・物質的(金銭的)な甘やかし

 

スーパーで「これ買って!」「あれがほしい!」とダダをこねる子どもも多いと思います。そんなときすぐに買い与えてしまうと、それは子どもをダメにする「甘やかし」になってしまいます。

こんなときは「今日は買わないって約束したよね」「おもちゃはお誕生日に買ってあげるからね」と、子どもの物質的(金銭的)な甘えは聞き入れないようにしてください。反対に、急にお母さんの膝に乗ってきたり、抱っこをねだるときは、何か不安になっているときです。情緒的要求には十分にこたえて、甘えさせてあげてくださいね。

 

・親の都合で甘やかす

 

子どもが牛乳をコップに移そうとしているときに、「こぼすといけないから、お母さんがするわ」と手を出していませんか? 反対に、今まで牛乳をコップに移すことができたのに、急に「お母さん、やってー」と言ってきたときに「自分でできるでしょ。お母さんは忙しいのよ」と突き放していませんか? つまり親の都合で甘やかしたり、突き放したりすることがNGなのです。

今までちゃんとできたことを「やってー」とねだってくるのは、何らかの不安を感じているときです。しっかり甘えを受け止めてあげましょう。

 

【著者紹介】

田宮由美(たみや・ゆみ)

子ども能力開花くらぶ「ちゅーりっぷ ふれんず」代表。幼児教室の指導者、子どもに関わる公的ボランティア、幼稚園、小学校、中学校での勤務を通し、多方面から多くの親子と関わる。現在は、親の心に寄り添いながら実生活に落とし込んだ子育てを執筆、講演などを通し発信している。 著書に『子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方』(KADOKAWA)など。


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2016年2月号の特集は<子どもが本当にの伸びる「甘えさせ方」>です。

 

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