2歳9ケ月の男の子です。玩具を貸すことが、すごくイヤらしく、友達が来るとなると、「ボクのおもちゃ、かしてかしてっていう?」と、とても不安そうにします。しつこく、「かして」って言う子には、「おうちにきたらダメ」といってしまうくらいです。

 

私も「大事な物や、宝物は貸せないって言ってもいいんだよ」「貸してもいいものを貸してあげたら」と言ってるんですが、どんどんいろんなものが、宝物になっていってしまうようです。 大事な物は、守ってあげたいと思うのがいけないのでしょうか?他のお母さん方のように「順番!」と割り切らせた方がいいのでしょうか……。

 

よそのうちに遊びに行っても、その子の大事な物は触らないのですが、その徹底ぶりが、もめごとを起こすきっかけになっているみたいです。

 

もう1つ、ちょっと気に入らない事があると、「○○ちゃん、かわいくない!もう、あなにすてちゃう!」といいます。そんなこと、誰も言わないのですが、ツンと怒った顔で言います。叱ってはいるのですが、治りません。

 

最近、周りの子や、近所の親しくしていた犬を飼っているおばさんにまでどこかよそよそしく、「なんか、はずかしいんだもん……」ばかりです。叱って泣いてしまう時も、「パパがいてはずかしい」とすみで、私を呼びます。神経質なところがあり、心だけはすこやかに、のびのびとさせてあげたいのですが、間違っている所を教えてください。

 


 

孝子先生からのアドバイス

 

「玩具を友達に貸せない」というご質問ですが、私は当たり前のことだと思いますよ。この時期の子どもは、「自分が中心」なんです。これは、わがままとかそういう問題ではなく、この時期の特徴だととらえていただいて良いと思います。けんかになることもあるでしょう。お子さんが、大事なものは、宝箱にしまって友達に見せないようにすることもあるでしょう。
 

こういう経験の中から、「貸したり・借りたり」ができるようになるのです。玩具を友達に貸せないということがスタートであって、それは、社会性の始まりなのです。

 

どうしても貸したくないという玩具は、お子さんには、宝箱を用意してあげて、そこに入れるように働きかけたらいかがですか? そして、一つでも貸せる玩具があった時、たくさん認めてあげてください。大きなもめごとでなければ、貸し借りができるようになる上では、ある程度のもめごとは必要です。お子さんの貸せない気持ちもわかってあげた上で、少しずつ、物の貸し借りができるよう働きかけていく方がいいと思います。

 

また、もう一つの件ですが、叱ることよりも、優しく包んであげるほうがお子さんにとってはいいのかもしれませんね。お話を拝見する限りでは、とてもナイーブで感じやすいお子さんのようですね。叱ることは、悪いことだと思いませんが、子どもにとって何を萎縮させてしまうのかというと、「穴にすてるなんて、言わないのよ!」という言葉ではなく、その言葉の中にある「困った子だわ、どうしてそんなこと言うのかしら。」というお母さんの思い、態度、表情なのです。敏感にキャッチするのが子どもです。「もしかしたら、愛されていないのかもしれない」という不安な気持ちが、ナイーブでいろんなことを敏感に感じていくお子さんの心の中で、目に見えないストレスとなっているのかもしれませんね。

 

友達とも社会性を築いていく上では、衝突が多い時期。いろいろと心の中では複雑な思いが葛藤しているはず。そんな時、依存できる場所は、やはりお母さんなのです。ですから、叱られて泣いた時、「パパがいてはずかしい」とお母さんを呼んだのではないかしら?

 

きっと、お母さんはすでにされていらっしゃると思いますが、お子さんを無条件で抱きしめたり、たくさん認めたり、声にだして「お母さんは○○ちゃんこと、大好きだよ。」と話しかけたりして、お子さんの心に余裕を与えてあげてくださいね。心の安定、ゆとり、余裕が、心を健やかにのびのびと育てる上で、必要不可欠な要素だと思いますよ。
 

 

斉藤孝子

さいとう たかこ
1963年生まれ。現在、 シングルエイジ教育研究会 主任研究員。

1990年から1992年の2年間、衛星チャンネルで公開授業を放映。
各種雑誌での執筆の傍ら、幼稚園などの研修や教材開発を手がける。
かぞくの雑誌「きらら」、シングルエイジ教育誌に連載中。
「幼児は表現の天才」(アドア出版)「母と子と先生と」(創教出版)「生き方の原理原則を教える道徳教育」(明治図書)などにも執筆。2児の母。