なぜ今、繊細な子が多くなっているのでしょう? その理由とともに、親の間違った接し方を探ります。

 

「今、『繊細すぎる子』が増えている!」

   ―3つのタイプからわかる親のよくない接し方―

 

親は、わが子を優しくもたくましく生きる子に育てたいと、子育てに日々力を注いでいることと思います。しかし、近年、繊細でキズつきやすい子が増えているというのです。

 

その要因のひとつに、少子化が挙げられるでしょう。ひとりの女性が一生の間に産む子どもの平均数は、合計特殊出生率と言われ、国の人口を保つのに必要なのは2.08です。しかし、先進国の多くはこれを下回り、日本も1974(昭和49)年に2.05となって以来減少し続け、現在1.37と低水準に留まっています。15歳以下の人口も13%と、WHO加盟国193カ国中、日本は最下位です。

 

3~4人のきょうだいの中では、いじけていたら生存競争についていかれません。けんかや、助け合う中で精神的にもまれ、鍛えられました。ところが、現在は3人に2人がひとりっ子です。そして、少子化の影響として、“甘やかし”や“先回り育児”等が指摘されているのです。

それでは、繊細な子のタイプについて事例とともにその特徴を紹介します。

 

 

【タイプ1】失敗を恐れて自信がない

 

事例:失敗要因を親に取り除かれてきたタツヤくん

 

5歳のタツヤ君には2歳違いの弟がいます。優しい子で「ありがとう」などの言葉もしっかり言えます。ところが、友だちにからかわれた時など「ちがうよ!!」と大声で言うなど、非常にむきになったり、毎日やることでわかっていることでも「どうしたらいいの?」と母親や先生の指示を仰ぎます。タツヤ君は常に失敗を恐れ、自信がないのです。お母さんは心配性で、タツヤ君がつまずかないように、物事の先々を考え、まるでカーリングのように失敗要因を取り除き、タツヤ君に指示していました。

 

「先回り育児」とは、親が子どものやることや要求を先取りしてしまうことを言うのですが、そうすると、子どもは失敗経験が不足します。そして、「先回り育児」が長年続くと、自分の判断に自信がもてず、「○○してもいいの?」と、わかっているのに確認したり、ちょっとした失敗やどうということのない友だちの言葉にキズつくのです。まずは、子どもにやらせてみて、失敗したら「次はどうしたらいい?」と声をかけ、一緒に考えるなど、大らかなかかわりが必要です。

 

【タイプ2】他人を受け入れられない

 

事例:“王子様”として育てられたトモくん

 

小学1年生のトモ君は、友だちと遊ぶ中でよくいじけてしまいます。トモ君は自分の勘違いや間違えを友だちに指摘されると、いじけて座り込んでしまい、次の授業にも差し支えるほどです。トモ君は両親と6歳違いの姉、父方の祖父母の6人家族です。待望の男の子だったため、祖父は〝眼に入れても痛くない〟かわいがりようで、トモ君の要求にはほとんど言う通りに応えていたそうです。保育園の時には、昼食の時間に遊んでいて、先生から少し注意されただけで落ち込み、気持ちを切り替えるのに時間がかかったというのです。

 

全ての幼児は、〝自分はなんでもできる〟という「幼児万能感」をもっていますが、通常3歳前後までに崩れ、他人を受け入れるようになります。

 

しかし、〝わが家の王子様〟と自分の思い通りになってきたトモ君は「幼児万能感」を引きずり、周りの人からの注意やささいな指摘にたやすくキズつき、切り替えができません。この先、集団への適応が心配です。

 

【タイプ3】小さなことにビクビク怖がる

 

事例:親に叱られたことがないミキちゃん

 

ミキちゃんは小学3年生の活発な女の子です。でも、4歳で入った幼稚園の入園式のときは泣いてお母さんのそばから離れられず、クラスで元気な子たちが騒いでいるのを注意する先生の声に脅えて涙ぐむほどだったそうです。ミキちゃんはひとりっ子で、お父さんもお母さんも穏やかで、声を荒げたり、ミキちゃんを怒ったりすることは全くありません。ミキちゃんがいけないことをした時も、お母さんは「あら、だめよ」と言うだけで、それ以上は言いません。幼稚園で似たような性格の仲よしの友だちができたため、登園を渋ることはなくなりましたが、相変わらず大きな声や、男の子の乱暴な物言いや行動には脅えます。

 

お母さんは担任の先生と相談して、いけないことをした時は、その理由をしっかり説明して叱るようにしました。また、各種の子どもの集まりに連れて行くようにしたのです。そこで、ミキちゃんはさまざまな子どもたちに出会い、もまれる中で、小学校入学の頃にはびくびくしない子になったと言います。

 

久芳美惠子(くばみえこ)

東京女子体育大学・同体育短期大学教授

都立養護学校教諭として知的発達障害児教育や就学時相談に携わる。その後、都立教育研究所指導主事、教育相談担当統括指導主事を経て現職。カウンセラーとして学生相談も担当している。共著に『イラスト版こころのケア子どもの様子が気になった時の49の接し方』(合同出版)がある。

 


 

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