「甘えさせる」ほど子どもは伸びるのはなぜ?

高橋愛子
2023.10.04 13:40 2011.11.10 12:00

STEP2 「相手の気持ち」がわかるようになる

真剣な顔の子ども

何をしても「あなたがしていることは正しいのよ」「あなたなら大丈夫よ」と受け入れられている子は、相手の気持ちも受け入れることができるようになります。

すると、ときに悪さをして叱られることがあっても、それを受けとめ「あなたとしたことが、なんでそんなことをするの? それはダメよ」という言葉がちゃんと心の中に入っていきます。生きていくのに大切な素直な心が育つのです。

しかも「お母さんが注意するのは、私(ぼく)のことを思ってくれているからなんだ」ということもわかるため、叱られていても心のどこかで「ありがとう」と感謝の気持ちをもてる子になります。親が口うるさくしつけなくても、人として生きていくうえで大切な「ごめんなさい」「ありがとう」という言葉が自然に言えるようになり、礼儀の心が身につきます。

そして、相手を楽しい気持ちにさせたいという気持ちも生まれてきます。子どもが幸せに生きていくための根っこはこのように育っていくのです。

STEP3 「自分を育てられる」ようになっていく

木登りをする子ども

しっかり甘えられた子には「私(ぼく)はみんなから愛されている。だから大丈夫」という強い信念と自信、誇りが生まれます。すると自分の意思で決断し、行動するようになるため、育てやすい子になります。

同時に自分を育て、高めようとする力も出てきます。人は、自分の大好きなものは愛情を込めて育てようとします。自分が大好きな子も、自分自身を育てていこうとするのです。

悪さをしても、「これはしてはいけないこと」と判断するようになり、善悪を選ぶ力が養われていきます。つまり「真善美」に基づいた、人としての品格をつくりあげていくことにつながります。

こうなれば、親はあとの成長を子ども自身に任せ、見守るだけでよいのです。成長する子どもの姿を見ることで親も幸せになれます。存分に甘えられた子はこれからの厳しい環境にめげずに乗り越える力が身につきます。

忍耐力、実行力、活力、そして周囲の人たちを幸せにする人として力を発揮していくことでしょう。

高橋愛子

高橋愛子

家庭教育研究所代表。1938年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。3男1女の母親。カウンセラー、セラピスト、ファミリー・コンサルタントとして、企業や学校などで研修を行なう。2009年より全国の親子支援者と「安心親子応援団」を結成。著書に『頭がいい親の上手な叱り方』(コスモトゥーワン)など多数。