思春期の女の子が「無視」や「仲間外れ」をする心理

中野日出美
2023.10.05 15:45 2023.06.02 11:50

女の子

友だち関係がより難しくなる思春期の女の子ですが、悪口があまりにも多い子や、いつも誰かにイライラしている子には少し注意が必要です。
女の子が友だちに対して無視や仲間外れをする理由について、心理セラピストの中野日出美さんに解説いただきました。

※本稿は中野日出美著『口に出せない気持ちをわかってほしい 思春期の女の子が親に求めていること』(大和出版 )から一部抜粋・編集したものです。

中野日出美(なかの・ひでみ)
一般社団法人 親と子の心理コミュニケーション協会代表理事。日本心理学会認定心理士。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。

女子の毎日はまるで「戦場」

学校の教室

女の子の世界は、まったくもって安心できない世界です。
昨日まで一緒に仲よくキャアキャア言ってた子が、今日は無視をしたり、一転冷たい態度になったりするのですから……。
まさに「昨日の味方は今日の敵」といったところです。
まるで手のひらを返したかのような、態度の豹変の理由は、嫉妬や裏切り、支配欲などです。
好きな男の子に友だちが色目を使った、いい子ぶっている、自分の悪口を言っていると誰かから聞いた、自分のポジションを狙っているのではないかと不安になった、他の子との連携を強めるための見せしめ、などなど。
その理由はとてもつまらないものでありながら、これは大人の女性の世界でも、よく起こっている醜い争いです。
しかし、大人の世界にくらべて、もっと未熟で、深く潜行する思春期の女の子の世界での醜い争いは、凄惨で卑劣になりがちです。
このターゲットにされた子は、人間としての尊厳や自信を奪われるほどのつらい思いをしています。

他人を攻撃する子の潜在意識

机に伏せる少女

おそらく、これまでただの一度として、誰の悪口も批判も言ったことがない女の子などいないでしょう。
しかし、程度の差は大いにあります。
あまりにもしょっちゅう、悪口や無視、仲間外れなどを繰り返す子の潜在意識には、「人は信用ならない。誰もが自分の大切なものを狙い、奪おうとするだろう」「やられる前にやってやる」というような思いがあります。
つまり、彼女たちは「何か奪われるかもしれない」「傷つけられるかもしれない」と、つねにビクビクとおびえながら暮らしているのです。
そして、人を基本的に信用できない彼女たちは、簡単に友だちを裏切り、傷つける自分自身をも心の底では信用していません。

中野日出美

中野日出美

NPО法人日本心理コミュニケーション協会代表。公認心理師。心理セラピスト。絵本作家。親子関係の改善を図るセラピーの専門家。