お子さんが幼かった頃を思い出してみてください。あなたが子どもを褒めたのは、どんな場面だったでしょうか。自分でトイレに行けるようになったことから始まり、百まで数えられるようになった、九九を言えるようになった……などなど。おそらく「○○ができるようになった」「△△がよくできた」という状況だったのではありませんか。
 

 

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簡単にいえば、言われたことを言われたとおりにきちんとできることが、子どもたちのゴールだったわけです。
しかし、小学校高学年から中学生になると、そのゴールが変わります。生活面はもちろん勉強面でも、「なぜ? どうして?」をしっかり理解し、自分で考えて行動し、判断することが求められます。高学年の算数が割合や比などの「ただ覚えているだけでは解けない分野」になってくるのがよい例です。


この“ゴールの変化"を親がしっかり見極めておかないと、子どもはいつまでも「言われたことをやっていればいいんだ」という考え方から脱却できません。ですから「つべこべ言わないで、言うとおりにしなさい!」と目をつり上げて怒鳴ることをやめ、「なぜ○○なのか」という理由を説明する「教育」を始めてほしいのです。
 

物事を押し付けるのではなく、きちんと説明して理解させることは、普段の忙しい生活のなかではなかなかできません。それでも、まず家庭で「子どもを大人扱いする」ことを少しずつ始めてください。そうしないと、彼らはある日突然大人として扱われ、さまざまな場面でとまどうことになるのです。
 

あなたは、自分の子どもを「どのタイミングで大人扱いしはじめるか」について、考えたことがありますか? 私が見てきた子どもたちについていえば、「十三歳・十四歳で習慣にできなかったことは、結局、十八歳になってもできない」傾向にあります。
 

中学生になる前は、そろそろ子どもを大人扱いしはじめる時期だと理解して、しつけではなく「教育」を心がけ、「本人に考えさせる」声かけをしてあげてください。
 

いつまでも「言うとおりにしなさい!」に子どもが慣れきっていると、生活面も勉強面も、小学生のスタイルから抜けきれません。

 


 

秋田洋和 あきかひろかず

教育クリエイター。首都圏大手進学塾数学科責任者などを経て、2005年独立。
「こわれた数学治します」をキャッチフレーズとして多方面で活動中。中学生対象の数学指導のほか、月刊誌『高校への数学』(東京出版)でのメイン記事連載、高校入試問題の解答解説執筆、私立中学校のコンサルティング、自治体が行なう公立中学生向けの各種講座への協力、保護者向け教育関連記事連載など幅広く活躍。二人息子の父親でもある。
著書に『仕事の9割は数学思考でうまくいく』(あさ出版)、監修書に『中学生の成績が上がる! 教科別「勉強のルール」最強のポイント65』(メイツ出版)がある。

 


 

 

出典:『中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと』 PHP研究所