昼行性の“動物”である私たちにとっての「理想の朝」と「子どもの自立」について、動物学の権威にして孫育てのスペシャリストである島先生にうかがいました。

 

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“朝時間”を磨けば人生がイキイキする

 
私は動物の生態の研究者として40年以上ニホンザルやアイアイなどの野生のサルを観察してきました。「遊ぶことは生きること」という言葉がぴったり当てはまるような日常を過ごすサルを見てきた経験は、11年前に初孫が誕生してからも大きく活かされています。
 
サルは夜明けとともに動き出し、食事をすませると日中はひたすら遊んで過ごす「昼行性」の生き物です。ヒトも同様に昼行性ですから、朝は元気に目覚め、活動をスタートさせるのが生き物としては当然のありかたです。
しかし、人間の世界では朝から時間に追われ、夜になってようやく自分のやりたいことができるようになるという「夜型生活」になっているので、子どもに対してもつい、せかしたり、叱ったりとゆっくり構えられなくなっているのではないでしょうか?
 
 

体の「本来の力」を呼び覚まそう!

 
人間にとって、特に脳と体が大きく発達をとげる0歳から5~6歳の時期は、本来の昼行性リズムをしっかりと体に刻みつけることが大切です。
 
まず夜は部屋を暗くし、早めに眠ることから始めてみましょう。朝、眠いときは大きいあくびで脳に酸素を送りましょう。朝の目覚めを良くするには、目が覚めたらすぐに手指、足指をグーチョキパーと動かして体の末端に刺激を送ると、全身の血液のめぐりが良くなります。朝を元気に迎えて日中は「遊び」の時間を大事にすることが、健やかな成長を支えていくのです。
 
 

 
【column】
3つのコツで気持ちいい朝を迎えよう!
 
手軽にできる以下のコツでつらい目覚めを快適な1日のスタートに変えましょう。
 
(1)夜、暗くして早寝する習慣を作ることで、朝の目覚めがすっきり!
(2)伸びをしながら大あくびをすると、脳に酸素が運ばれて気持ちのいい目覚めに!
(3)手指、足指をグーチョキパーと動かして刺激を送ると全身に血液がめぐり、朝から活発に!
 
 
 

 

自立に向かう4つのステップ

 
人の成長は他の動物よりもゆったりしていますが、いずれ自立しなければいけません。ここでは年代別に、「一人前の大人に育てるために心がけたいこと」をご紹介します。
 
 
【0~1歳のとき】
人間にとって皮膚とは、脳につながる神経系の末端です。だからこそ生後すぐの時期に大切にしたいのが皮膚接触。優しく手足をさする、抱くという心地良い皮膚感覚を体験させてください。また、赤ちゃんの脳の容積は、生後1年で倍になるほど大きく成長を遂げます。赤ちゃんがしきりにあくびをするのは脳の神経細胞の発達にはたくさんの酸素が必要だからです。そのため、酸素濃度の高い緑の多い場所で散歩をすることも、脳の成長を促します
 
【2~4歳のとき】
この時期の子どもは、次から次へと遊びの材料を探しています。何か新しいことをしたい、という目で周りを見回し、切れ間なく遊ぶことで「できること」を増やしていきます。同時に、自己主張やいたずらも増える時期。人間は「命令すると服従する」犬とは異なり、「禁止されると裏をかいて別の方法を探す」サルの仲間ですから、「ダメ」と禁止するといっそう反発するもの。別の興味の対象を見つけるなど、親の対処にも知恵が必要になってきます。
 
【5~6歳のとき】
この時期に子どもの脳容量は大人のほぼ9割にまで達します。親はその成長を認め、子ども扱いせず「この子は知識を必要としている」という心構えで会話することが大切です。ごっこ遊びが本格的になり、電車の名前、昆虫などにやたらと詳しくなる子もいます。いろいろなものに興味を持ち、質問をしてくるので、親もごまかさずにいっしょに考え、できるかぎり正確に答えてください。家に図鑑や百科事典を用意しておくのもおすすめです。
 
【7歳以降】
自分の世界をあちこちに広げながら、「自分にぴったりくるもの」を発見しはじめる時期。本、芸術作品、スポーツ選手など、あなたが「本物」だと思うものをすすめてもしっかりと味わえるのでいい刺激になるでしょう。また、少し上の年代の子を「尊敬する」、また下の年代から「尊敬される」という経験を積むことによって自信を蓄えていきます。そして、祖父母や近所の方などいろいろな年代と関わる体験も大切にしてください。
 
 
 

 
 
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『PHPのびのび子育て』は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌です。2014年4月号の特集は「『早く!』がなくなる最高の朝習慣」です。
 
 
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島 泰三  しま たいぞう
NGO日本アイアイ・ファンド代表
1946年山口県下関市生まれ。東京大学理学部人類学科卒業。理学博士。アイアイ生息地の保護、飼育下での繁殖につとめる。隔月刊『孫の力』(木楽舎)の監修もつとめる。著書に『戦う動物園』『孫の力――誰もしたことのない観察の記録』(共に中公新書)などがある。