噛みつく、叩く…乱暴に振る舞う子どものしつけ
お友達に噛みついたり、叩いたり……。子どもの乱暴な振る舞いは、どう捉えて、どのようにしつけていけばいいのでしょうか?
※本記事は『子どもの心のコーチング【しつけ編】 「ほめる」「叱る」よりうまくいく子育ての極意』(菅原裕子著、PHP文庫) より一部抜粋・編集したものです。
【著者紹介】菅原裕子(すがはら・ゆうこ)
NPO法人ハートフルコミュニケーション代表理事。有限会社ワイズコミュニケーション代表取締役。 1999年、有限会社ワイズコミュニケーションを設立し、社員一人ひとりの能力を開発することで、組織の変化対応力を高めるコンサルティングを行う。仕事の現場で学んだ「育成」に関する考えを子育てに応用し、「ハートフルコミュニケーション」を開発。全国のPTA、地方自治体、地元の有志主催による講演会で「ハートフルコミュニケーション」を紹介。また、それぞれの生活の中で「ハートフルコミュニケーション」を伝えられる「ハートフルコーチ」を養成。2006年、NPO法人ハートフルコミュニケーションを設立し、日本中の親たちの子育てや自己実現を援助する活動を展開中。
しつけは観察から始まる
・子どもの乱暴な振る舞い
3歳前の子どもを持つ親からよく聞く悩みに、「乱暴な振る舞い」があります。噛みつくとか、叩くというのがそれです。多くの母親は、よその子を叩くので外へ遊びに連れて行くのが嫌だとか、親を叩くので困ると悩みます。また乱暴なのは、親である自分の愛情が足りていないからだと自分を責めるお母さんもいました。
子どもの乱暴な振る舞いは、どう捉えて、どのようにしつけていけばいいのでしょうか? ここでは、叩くということを例にとって考えてみましょう。
まず、幼児期において、言葉でうまく表現ができないうちに手が出るというのは、ごく普通のことです。自己表現のひとつだと思ってください。もし誰かに、「親の愛情が足りていないのではないか?」などと言われることがあっても、親としての自分の愛情が伝わっている自信があれば、気にする必要はありません。
子どもに発達障害があるのではないかと気にする親もいますが、たとえそうであっても、子どもが他の子どもを叩かずに遊べるようになるのは大切なことなので、子どもを訓練しましょう。それがしつけです。
他の子と比べないほうがいいでしょう。比べると、つい、あの子は叩かずに遊べるのにうちの子はなぜ?とか、叩かないようにしつけてこなかった自分は、他のお母さんと比較して劣っているのではないか?など、しなくてもいい心配をしてしまいます。
子どもの気質の違いもあります。また、うらやましいと思うようなおとなしい子どもは、自己主張するほどには育っていないだけかもしれません。そんな心配をする代わりに、初めて子どもが叩くのを見たそのときから、お子さんへのしつけに集中してください。第一歩は、観察することです。