
10歳からの男の子は「聞く」より「待つ」でうまくいく
男の子とお母さんの関係は、10歳を過ぎたころから、上手くいかなくなる事が多いようです。
ご自身も男の子のお母さんである若松亜紀先生の著書『10歳からの男の子は「聞く」より「待つ」でうまくいく』の一部をご紹介します。
「お風呂入るよ」
「はーい」
「肩まで入って10数えよう」
「いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお」
「5.1、5.2、5.3......」
「お母さん、ずる~い」
「あら、そお?あはは......」
あ~、かわいかったですね、あの頃。ぷくぷくほっぺで髪ぱやぱやで。何を言っても「うん」だの「は~い」だの、いいお返事でした、6割方は。
ですが、ある日を境に異変が起こります。
「お風呂入りな」
「なんで?」
「なんでって......毎日入ってるじゃない」
「やだ」
「やだって何よ。入らないの?」
「入るに決まってんじゃん、バカじゃないの」
バカって言ったよ......。バカって言ったよこいつ。「お母さん大好き」って言ったのと同じその囗で......。しばし放心状態。でもって先に入ろうもんなら、今度はこう来ます。
「あー、なんで入るんだよ、今入ろうと思ってたのに。お母さんが入ったら、ヘンなダシが出るじゃん!」
やれやれです。
あー言えばこう言う、こー言えばああ言う。一筋縄でも二筋縄でもいかない。それがだいたいオーバー10、10歳を過ぎた頃からです。お母さんと一緒もいいけど、友だちもいい。ライダーごっこもいいけど、自転車で突っ走るのもかっこいい。帰ると家族がいるのもいいけど、たまにはカギを開けて入りたい。お世話してもらうのはラクだけど、一人でできるオトコになりたい。みんな仲良く暮らしたいけど、「ウザ」とか「ハ?」も試したい。明るいわが家は安心だけど、暗くなっても外にいられる自分にほれる。そんなふうに、少しずつ。
では、親はどうでしょう?親は変わりません。昨日と同じく話しかけます。
「ごはんだよ」
「ホウレンソウは?」
「トマトは?」
「みそ汁飲んだ?」
「あーほらほら、口の周りちゃんと拭いて~」
お囗は急に止まりません。するとどうなるか?あるお母さんは「うるさいっ」と言われました。あるお母さんは、いきなり箸を投げつけられました。あるお母さんは、扇風機を蹴り倒されました(←あ、私です)。キョーレツなのは「もう、おまえのメシはいらない!」宣言をされたお母さんです。息子くんはそれ以来、1日500円をもらい、コンビニ食を食べています。
変わる子どもと、変わらぬ親。どうやらこのあたりから、うまくいかないニオイがぷんぷん漂ってきます。子どもは、言葉や態度や視線で教えてくれているのかもしれません、「そろそろ母ちゃんも変わりなよ」って。それをしっかりキャッチできたら、オーバー10の男の子ともうまくいきます!
それには、「『聞く』より『待つ』」がいいようです。「あれした?これした?」と細かく尋ねるより、やるまで待とうホトトギス。きっとあなたが思うより、子どもは成長しています。「きっとやるさ」とどっしり構え、10言っていたコトバを7に減らしてみてください。たったそれだけのことで、ぐっちゃんぐっちゃんだったわが家は、おだやかになりました。朝のぴりぴり・イライラ・扇風機ど~んも、すっかり影をひそめました。夜の「お風呂は?」は、「あっち」とすっとぼけるようになりました。
この本は、机上の空論ではありません。オーバー10ボーイズ真っ盛りの私の息子・ダイやその友人家族、また、幼稚園教諭、子育てサロン主宰者として関わったたくさんの親御さんのお話を伺い、リアル感満載で書き上げたものです。実生活ですぐに役立つ内容を、ぱつんぱつんに詰め込んでいます。
あなたもゼッタイ、「聞く」より「待つ」でうまくいく!
(「はじめに」より)
【本書のご紹介】
10歳を過ぎた男の子に手を焼くことが多くなったら、発想の転換が必要です。大人の階段をのぼりはじめた男子を、言い争いやバトルをせず上手に導く育て方の秘訣を大公開!
※家庭直販書です。一般書店では販売していません。
【著者紹介】 若松亜紀(わかまつ・あき) 親子の集いの場「陽だまりサロン」オーナー。秋田大学教育学部卒業後、私立の幼稚園に7年間勤務。閉園により退職。その後、出産、子育てを経て2005年、自宅にて子育てサロンをオープン。運営のかたわら、子育て、コーチング、コミュニケーションの講座やセミナー、執筆などを行なう。 著書に『子どもが輝く幸せな子育て』(ほんの木)、『もう怒らない!これだけで子どもが変わる魔法の"ひと言"』(学陽書房)、『[タイプ別]子どものコーチング もう怒らない子育て』『3歳からは、ほめて、認めて、ちょっと叱る」(以上、PHP研究所)などがある。