感情的に怒ってしまいそうなとき、言葉を荒らげないで子どもと接するにはどうしたらいいのでしょうか。上手に伝えるヒントを紹介します。

 

女の子

 

ついガミガミ言いがちな シーン別 感情的にならずに上手に伝えるヒント

 

思い描く理想の子ども像はそれぞれ違うかもしれませんが、わが子をいい子に育てたいというのは、すべてのお母さんの願いです。子どもをしつけたり、教育したりするのも、その思いがあるからこそ。ときには、叱って諭す場面も出てくることでしょう。

とくに3歳、7歳のいわゆる“反抗期”は、成長してきたがゆえのむずかしさもある時期です。成長した分、親への反抗が増えてきがちで、言うことを素直に聞いてくれないわが子に、ついイライラして怒ってしまうこともあります。

 

・子どもを怒りたくなるのは、お母さんなら当たり前のこと

 

でも、カッとなって怒ってしまった自分を「こんな自分は、ダメな親だわ」と責め過ぎないようにしてくださいね。怒るのは、いい子に育てたいというお母さんたちの熱意と愛情の現われです。子育てを一生懸命やっているからこそ、お母さんが怒りたくなるのは、当たり前のことなのです。

とは言っても、怒り方にはコツがあります。そのコツを知って、どうせ怒るのなら上手に怒れる”お母さんになりましょう。

 

「上手な怒り方」のための4つの心得

 

少しだけ心に留めておけば、怒り方を変えられる4つのことを確認しましょう。

 

1.ヒステリックに、感情的に怒らない

怒りの感情に任せて言葉をぶつけるだけの怒り方はNGです。ヒステリックに怒られると、そのことだけが子どもの心に刻まれてしまい、肝心の「何がいけなかったか」が届かなくなります。

 

2.子どもを全否定したり、誰かと比べたりしない

「あなたはダメな子ね」と人格を全否定したり、「お兄ちゃんはできるのに」「クラスの○○ちゃんはできるのに」と誰かと比べて叱ったりすると、子どもの自尊心を傷つけます。

 

3.長々、クドクドと言わない

子どもは、言われたことをその場で覚えて行動する脳の「ワーキングメモリー」の容量が大きくありません。クドクドと長く言われると、何を叱られていたのか忘れてしまい、逆効果です。

 

4.反応が期待通りでなくてもよしとする

「わかった」「気をつける」など、期待通りの反応が言葉や行動で返ってこなくても、叱られた内容を子どもは理解しています。期待通りの反応があるまで叱るのはやめましょう。

 

3歳、7歳がチェックポイント! 反抗期の子どもの特徴を知りましょう

 

3歳の反抗期:自我が出せるようになった証

3歳になると言葉で気持ちを伝えられるようになり、自分でやりたいといった意思、意欲も育ってきます。「イヤダ」「キライ」が増える、うまくできないのにやりたがる、お母さんの思い通りに動いてくれないなど、いずれも自我が育ってきて、意思表示ができるようになったということなのです。子どもがちゃんと育っている、あなたの子育てがちゃんと実っている証なのです。一般的に4歳をすぎる頃には、落ちつきます。

 

7歳の反抗期:世界が広がり、家族を客観視している

小学校に通い出す7歳は、子どもの世界が一気に広がる時期です。世界が広がることで、親や家族を客観視できるようになり、「これがこうなると、こうなる」など物事を論理的に意味づけて考えられるようにもなります。それがときに口答えや、へ理屈のように聞こえてしまうこともあるので、お母さんがイラだつことも。しかし、その裏には、子どもなりの論理があることを理解してあげましょう。大体、小学校4年生になる頃には、落ちつきます。

 

ガミガミ言いがちなよくあるシーン別 伝え上手になるヒント

 

子どもだって、お母さんを怒らせるつもりはないのです。

上手にお母さんの思いを伝えて、お互いがイライラしないようにしましょう。

 

【シーン1】忙しい朝に限って、グズグズ、ダラダラ

朝は大忙しなのに、なかなか起きないし、仕度もグズグズ、ダラダラ。「遅刻しちゃうから歯みがきして、ごはんを食べて、お着替えして!」との思いで、「早くしなさい!」と怒ってしまいます。

 

・伝えるヒント:時間を「視覚化」する工夫を

時計がまだ読めない3歳の子には、時計にシールをいくつか貼って、「時計の長い針が、あのシールのところにくるまでにお洋服を着替えてね」「このシールのところまできちゃうと、遅刻しちゃうよ」など、いつまでに何をしたらいいかがわかるように時間を視覚化してみましょう。歯みがきや朝ごはん、着替えなどの項目で「お仕度表」を作るのも1つの方法です。仕度ができるごとに子ども自身にシールを貼らせ、早く全部できた日は好きなDVDを晩ごはんの時間まで観ていいことにするなど、ごほうびをあげるのもOKです。

7歳の子は時間感覚が育っていますから、余裕があるときに、時間を守る大切さや理由について説明して、親子で確認するといいでしょう。

 

【シーン2】モノを散らかして片づけない

「片づけてね」と何回言っても片づけないし、片づけ箱を用意しても効果なし。「ヤダ!」「わかったよ、うるさいな」と言われて思わずカチン! 大声で怒ってしまいました。

 

・伝えるヒント:3歳ではゲーム感覚を取り入れ、 7歳には説明をして意見を聞く

片づいていると気持ちいいことが3歳ではなかなかわからないので、お片づけが楽しくできるように「○○ちゃんがお片づけするとき、お母さんも洗い物をするから、どっちが早くできるか競争だよ。よーい、どん」とゲーム感覚を取り入れるとよいですね。

その際には「どっちがきれいにできたかも競争ね」と、きれいにお片づけができるような言葉かけもしましょう。

7歳なら、どうして片づいているほうがいいのかを言葉で説明すると理解できます。「お母さんも周りが散らかっていると、これやろうかなと思ったときに気が散っちゃうの。宿題とか勉強するお部屋もきれいになっていたほうがいいと思うんだけれど、どう?」と片づける理由を話して、意見を聞いてみましょう。

ただイライラしていると、説明の途中で怒ってしまうことも。気持ちにゆとりがあるときにしてください。

 

【シーン3】電車の中や、スーパーマーケットで騒ぐ

お出かけで電車に乗ると車内で騒ぐから「静かにしなさいっ!」。帰りに寄ったスーパーマーケットでも「これ買って!」と大声でダダこね。もうイヤ......。どうして騒ぐの?

 

・伝えるヒント:3歳には情に訴え、7歳ではプライドをくすぐる

乗り物に乗って興奮したり、反対に退屈して大声を出すことがあります。気が紛れるように子どもの好きなおもちゃや絵本の用意を忘れずに。また、きょうだいや友だちとのお出かけはいつもより興奮しがちなので、前日に「うれしくなっちゃうかもしれないけれど、電車の中で大きな声は出さないでね」と、約束をして、騒ぎ始めたら「お約束したよね」と思い出させます。

スーパーマーケットなら、「騒いだり走ったりすると、人にぶつかってケガさせちゃうよ」「モノを壊したり、落としたりしちゃうよ」など、してはいけない理由を具体的なシーンで説明した上で、3歳の子には「ぶつかった人がケガしたらかわいそうだよね」「○○も転んだら痛いよね」と情に訴える言い方を、7歳には「もう7歳だもんね。守れるよね」「静かにしていられたらかっこいい(ステキ)よ」とプライドをくすぐる言い方で伝えると効果的です。

 

【シーン4】思い通りにならないと、モノに当たる

思い通りにいかないことがあると、モノを蹴ったり、たたいたり。「そんなことしたらダメよ!」と言っているのに聞きません。このまま乱暴な子になってしまわないか、心配になります。

 

・伝えるヒント:子どもの不満を探り、気持ちを聞く

ちょっと思い通りにいかなくてモノに当たるわが子を見ると、心配になりますね。でも、イライラしている様子が見られたら、もしかすると、心の中に満たされない何かがあるのかもしれません。急に当たり始めたときなどは、「そういえば最近、忙しくてちゃんと向き合ってあげられていなかったな」など、日頃の接し方を振り返ってみてください。

特に3歳の子は、言葉でうまく伝えられなくて、もどかしさを感じている場合があります。「どうしたかったの?」と不満を聞き、「それがイヤだったんだね。でも投げるとイタイって泣いちゃうよ」とモノを擬人化して諭すとよいでしょう。

7歳なら「学校でイヤなことがあったの?」と具体的に言葉をかけて、「何かあったらいつでも聞くからね」と子どもを応援していることを伝えてください。

 

【シーン5】朝から晩まできょうだいゲンカが絶えない

たいしたことでもないのに、寄るとさわるときょうだいゲンカが始まります。「どうして仲よくできないの!」と怒ってばかりの毎日で、もう、うんざり。どうして仲よくできないのでしょう。

 

・伝えるヒント:わが家のルールを決め、始まったらその場から離れる

きょうだいゲンカは子どもの発達から見ると、思い通りにいかない相手とのコミュニケーションを学ぶ機会になったり、謝り方を覚えたりなど、必ずしも悪い側面ばかりではありません。

まずは「殴る、蹴るの暴力はダメ」「バカ、死ねの暴言はダメ」と、ここから先はやってはいけないラインを決め、「3回やったら、おやつなし」のようにわが家のルールを決めて、厳格に守らせてください。日によって対応が変わるのが一番よくありません。そして、暴力、暴言が出ないうちは「ケンカも必要」と考えてみてください。

とは言え、毎日朝からケンカばかりだとお母さんも参ってしまいますね。ケンカが始まったら、「子ども部屋でやってちょうだい」と部屋に行かせたり、お母さん自身がその場を離れてしまうなどして、物理的に離れてしまうのがイライラせずにいられる最大のヒケツです。

 

【シーン6】リクエストした料理を「いらない」と言う

「ママのハンバーグが食べたい」と言ったから、はりきって作ったのに、出したら「チーズがのってないからいらな~い」と不服顔。カチ~ンときて、怒りがこみあげてしまいました。

 

・伝えるヒント:3歳には2択で選ばせ、7歳へは具体的に気持ちを伝える

3歳の子にはクイズ形式で「チーズなしでも食べる。チーズがないから、ハンバーグを食べない。どっちがいい?」と明るく言って、子どもに選ばせてしまいましょう。

ただし「食べない」と言っても、子どもが食べたそうな様子だったら「もしかしたら食べたいのかな~? 食べる?」とにこやかな顔でハンバーグを出してください。「さっき、食べないって言ったでしょ!」では問題は解決しないので、封印してください。

7歳の子には「リクエストはわかりやすく言ってほしいなあ。でも今回は普通のハンバーグを作っちゃったから、今日はこれを食べてね」と、具体的にお母さんの気持ちを伝えてください。あるいは、暗くなる前で、1人で買い物ができる子なら「チーズがのっているのがいいの? じゃあチーズをいつものお店で買っておいで」と言ってもいいのです。

 

ああ、やっちゃった~ 感情的に怒ってしまった後の「リカバリー言葉」

 

つい怒りすぎてしまったときは、「リカバリー言葉」の出番!魔法の言葉で親子関係を修復しましょう。必ずわかってくれます。子どもは、お母さんのことが大好きですから。

 

・「さっきは言い過ぎちゃったね、ごめんね」

この言葉があれば、「嫌いで言ったんじゃないんだよ」という気持ちが伝わり、子どもは安心します。また、「お母さん、悪かったと思っているのよ。ごめんね」と親が謝る姿を見せることで、子どもは謝って許すという行為を学ぶことができます。

 

・「大好きだよ」

「ごめんね」と謝って、子どもが「いいよ」と言ってくれたら、「わかってくれてありがとう。ママもホッとした」と伝えましょう。そして「大好きだよ」と言いながらハグしたり、頭をなでたりしてスキンシップを加えると、よりいいですね。年齢にかかわらず「大好きだよ」の言葉とスキンシップは子どもに安心感を与えます。

 

・「話をよく聞いてくれて、ありがとう」

感情的に怒ってしまっても、そのあときちんと謝り、自分が冷静になってから、なぜ怒ったかを説明すればいいのです。そのときに子どもがちゃんと耳を傾けて聞いてくれていたら、「よく聞いてくれて、ありがとう。うれしいわ」と、明るくひと言つけ加えてください。3歳にはまだ難しいかもしれませんが、7歳の子には、よく伝わります。

 

【著者紹介】

園田雅代(創価大学教育学部教授)

大学にて臨床心理学の教鞭をとる傍ら、臨床心理士として多くの親子・教師のカウンセリングにもあたる。著書に、『自分の気持ちがきちんと言える38の話し方』(監修・編著、合同出版)などがある。

 


 

のびのび子育て

「PHPのびのび子育て」は未来を担う子どもたちの健全な成長と幸せを願って、発刊している月刊誌。 2017年月11月号の特集は< 子どもを「怒る」のは、やめられる!>です。

 

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