息子さんの1歳半健診で、発達障害の可能性を指摘された鈴木さん。不安に押しつぶされそうになっていたときに、公園であるお母さんと出会い――。

 

親子

 

1日1回でも多く笑わせたい~負けそうな私を立ち直らせてくれたできごと

 

もうすぐ4歳になる息子が、1歳半から2歳になるくらいまでの出来事です。

 

息子は気づいたときから、よく泣き、食べ物の好き嫌いも多く、こだわりも強いほうでした。買い物に行くときは本当に大変で、カートに乗るのを嫌がり、お会計のほんの一瞬、目を離したすきに、勝手にお店の外に出ていってしまうような子でした。

 

他の子と比べ、手がかかる子だなとは思っていましたが、私にとっては初めての子育てだったので、多少の違和感はありながらも、子育てって、こんなものなのかなと思っていました。

 

1歳半を過ぎると周りの子は、「わんわん」など簡単な言葉を話し始めていました。早い子は、おもちゃを取り合う場面でも「やめて」や「ダメ」などが言えていたり。

 

でも、うちの息子は1歳半を過ぎても意味のある言葉は1つも出てこず、こちらの言っていることもわかっていない様子でした。

 

そんなある日、1歳半健診に行った私は、息子と周りの子との違いに驚いてしまいました。大声で泣きながら勝手に部屋を出ていってしまう子なんて、うちの息子以外、誰もいませんでした。

 

ただただ癇癪を起こす息子の様子を見て、先生や保健師さんから出た言葉は、「病院で精密検査をしてください」というもの。はっきりとは言われなかったのですが、発達障害の可能性があるということでした。

 

それからは、もう朝から晩までインターネットで発達障害について調べる日々。

 

外に出るのも嫌になり、引きこもり気味になりました。

 

そんな日々が続いたある日、暗い気持ちのまま、久しぶりに息子と公園に行きました。夕方ということもあり、ほとんど人がいませんでしたが、その中で息子に「遊ぼう」と声をかけてくれた男の子がいました。

 

来年から年少さんになるという、その男の子も、久しぶりにお母さんと、この公園に遊びに来たということでした。

 

子どもたちが遊んでいるのを、その子のお母さんと見守りながら、なぜか私は今日初めて会ったお母さんに、「1歳半健診で引っかかってしまって......」と話し始めていました。

 

すると、そのお母さんが「うちもだよ。うちも健診で引っかかった」と言うので私はびっくりしました。そして、そのお母さんは続けてこう言ったのです。

 

「1歳半じゃ、まだわからないよ。それに息子さん、すごく楽しそう。それが一番大事」

 

そう言われてふと見てみると、とても楽しそうに遊ぶ息子の姿がありました。

 

完全ではありませんが、私の中で不安が吹っ切れた瞬間でした。

 

そこから私の目標は、言葉を1つでも多く覚えさせることから、息子を1日1回でも多く笑わせることに変わりました。

 

そんな息子も、もうすぐ4歳になります。少し個性的な性格ではありますが、心配していた言葉も今ではうるさいくらい話せるようになりました。

 

そして、この春からは療育に通いながら、通常の幼稚園に通っています。

 

もう会えることはないかもしれませんが、あのときに大切なことに気づかせてくれた、あのお母さんに、本当に感謝しています。

 

鈴木恭子 (静岡県・32歳・主婦)

 


 

「PHPのびのび子育て」 7月号より

 

Ncover1907.jpg

 

本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年7月号特集【親の「口ぐせ」で子どもの性格が変わる!】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

 

石田勝紀 (いしだ・かつのり)

教育評論家。20歳で起業し、学習塾を創業。その後、中高一貫私立学校の常務理事に就任し、大規模な経営改革を実行するとともに教師の指導力を高める。講演会や企業での研修会は毎年150回以上にのぼる。教育デザインラボ代表理事、都留文科大学特任教授。