子どものためを思って叱るつもりが、「私の叱り方、子どもの心を傷つけていないかしら? もしかして虐待?」と、ふと不安がよぎる方もいるのでは? そのポイントは何なのでしょうか。

 

女の子

これってしつけor虐待?

 

子どもの叱り方について、「今日の叱り方、よくなかったな」「つい、ひどいことを言ってしまった」「これって、もしかして虐待?」など、叱った後に自己嫌悪に陥ることは、誰しも経験していることでしょう。私はそうしたお母さんやお父さんにこう伝えたいです。

「ふと我に返って、自分の叱り方、子どもとの関わり方を振り返れるなら、大丈夫ですよ」と。

叱るというのは、子どもによりよく成長してほしい、という親の願いから出てくる行動だと思います。つまり、叱るのは「しつけ」。その語源は「しつけ(糸)」で、あくまで本縫いは子ども自身が行なっていくものなのです。

しつけでは、具体的な行動に対して「お母さんはこうしてほしい」というメッセージを伝えるようにします。

一方、虐待は親の感情やストレス解消のはけ口、支配を目的として繰り返し行なわれるものです。歯止めがきかない状態で、子どもの身体と心を傷つけます。

また、具体的な行動を正すのではなく、「あんたなんかいらない!」など、人格を否定する言葉を繰り返すのが虐待です。

感情に任せて「大キライ!」などと言ってしまった後は、関係が壊れてしまったらどうしようと不安になりがちです。でも、それまでの親子関係の土台があれば大丈夫。「さっきはごめんね」「お母さん、言いすぎちゃった」の言葉で、子どもは救われます。

「子どもにとっていいお母さんは、ほどほどにいいお母さん」とも言え、「完璧でなくてもいい」くらいの心構えが、「よい叱り方」を生み出す秘訣かもしれません。

 

年齢別でみる 子どもの心を傷つけるNGな叱り方とは?

 

お母さんは「子どものため」と思っていても、いつのまにか、子どもの心を傷つけていることがあるかもしれません。

 

【3~4歳 NG

言葉の理解力はこれから。「キライ!」などわかりやすいネガティブ表現には要注意。

1、2歳に比べて理解力がついてきたと思う時期ですが、まだまだ思うほどには理解できません。そのため、長々といくつものことを伝えようとしても、子どもには届きません。一方、「キライ!」「やってあげない」といった簡単で理解しやすいネガティブ言葉は、子どもの心に強く残ることも。ダラダラ・クドクド話す、キライなどの否定言葉に気をつけましょう。

 

5~6歳 NG

子どもの社会が広がる時期。ほかの子と比べての注意はやめよう。

少しずつ社会が広がり、子ども自身に「あの子と比べて自分はできる・できない」という理解力が育ち始める時期。そのため、「〇〇ちゃんはできるのに、どうしてあなたはできないの」といった叱り方は控えましょう。親とすれば、あの子を励みにしてほしいという思いかもしれませんが、目標を設定して自分を変えていくというスキルは学童期以降。まだ、劣等感だけをもってしまうことが多いのです。

 

7~9歳 NG

工夫や創造力が伸びる時期。「どうせダメ」など頭ごなしの否定は×。

自分なりの工夫や想像力で物事を変える力に気づき始める時期です。そのため、「どうせあなたはダメだから」「何をやってもダメよね」といった叱り方は、子どものやる気を失わせ、無力感や絶望感につながりがち。また、「もう知らない!」「勝手にしなさい!」といった突き放しがきくのは高学年から。忘れ物、宿題等、気になる事柄が増える時期ですが、頭ごなしの否定に気をつけましょう。

 

子どもの心を荒らさない! お母さんの叱り方 5カ条

 

1)「何のために叱るのか」を自分自身に確認しよう

「叱ろう」と感じる場面になったら、ひと呼吸おいて、なぜ叱ろうとしているかを自分自身に確認しましょう。「イライラするから」「親の思い通りではないから」「親が恥をかくから」? 「よりよく成長させたい」の願いに基づいた行動かを確認しましょう。

 

2)「すぐに変わる」期待はせず、気長に、何度でも叱ろう

「伝えたらすぐに子どもが変わる」ということを期待していると、すぐには変わらない子どもを見て失望し、叱り方がヒートアップすることも。子どもも大人もすぐには変わりません。子育ては長期戦。子どもの成長を信じ、同じことの繰り返しになるかもしれませんが、気長に構えていきましょう。

 

3)叱った後は「お話を聞いてくれてありがとう」

「叱る」という行為は、叱る側も叱られる側もエネルギーを使います。また、気持ちがいいことでもありません。子どもが話を聞いてくれたら、最後は「お話を聞いてくれてありがとう」「お母さん、あなたが素直に聞いてくれてうれしいよ」と、ほめてあげましょう。お互い気持ちよく終われます。

 

4)よくない叱り方に気づいたら子どもに素直にあやまろう

「わかりやすく、明快に、おだやかに」これが理想ですが、ときには親も感情的になることも。「今の叱り方、よくないな」と自分で気づいたら、子どもに「ごめんね」と伝えましょう。子どもは自分が大切にされていると感じますし、「悪いことをしたらあやまる」という最高の見本にもなります。

 

5)真剣に叱るときは真剣な表情で

叱る内容がとても大事だったり、危険や命にかかわるようなときは、真剣な表情で伝えるようにしましょう。ヘラヘラしたような態度で伝える人もいますが、重要なことは、真剣な表情で話すことで、それが子どもにきちんと正しく伝わり、理解しやすくなるのです。

 


 

「PHPのびのび子育て」9月号より

 

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【著者紹介】

園田雅代(そのだ・まさよ)

創価大学教育学部教授。臨床心理士。大学にて臨床心理学の教鞭をとる傍ら、臨床心理士として多くの親子・教師のカウンセリングにもあたる。著書に、『「私を怒らせる人」がいなくなる本』(青春出版社)など。