忙しいお母さんが日常的に使ってしまいがちなのが、「早くしなさい!」などの「せっかち言葉」と「ダメじゃないの!」などの「禁止言葉」。これらの言葉は子どもの心にどう影響するのでしょうか。

 

男の子

 

「早く!」と言われ続けると、「早く動かない子」になる!

 

朝の忙しい時間帯、「早くして!」を連発し、眉間にしわを寄せていることはありませんか?
私は気を抜くと、ついこの言葉が出そうになり、飲み込んだことが何度もあります。もちろん、たまには口から出てしまうことも……。
お母さんたちは時間に追われています。「早くして!」と子どもをせかしたい気持ちになるのも無理はありません。
でも、「早く!」と言われ続けた子どもは、残念ながら「早く動かない子」になるか、心理面でマイナスの影響を受ける可能性があります。
子どもがなかなか動かない場合は、お母さんの「早く!」の言葉は、子どもに届いていません。お母さんのうるさい言葉を「聞き流していいもの」と考え、反応しなくなることも......。
結局、子どもが動かないので、お母さんがイライラしながら子どもの世話をするという状況が続くことになります。

 

また、子どもの自我が目覚めてくると、「早くしなさい!」の言葉に反抗心を募らせ、頑なに言うことを聞かない子になる可能性もあります。
生まれつき敏感で、不器用な子どもの場合、「早く!」と何度もせきたてられたことにより、「またお母さんに怒られた」「自分はグズなんだ」「自分はダメな子」と自己肯定感が低くなります。そして、自分で考えて何かをしようとする余裕がなくなり、指示がないと動けない子、何事にも主体性のない子になってしまうでしょう。
「早く! 早くして!」とせかされることが続くと、焦りから注意散漫になり、作業の取り組みも雑になり、ケアレスミスが多くなることもあります。
また、親に「急ぐこと」を常に求められた経験により、友だちに対しても「急ぐこと」を強要し、良好な人間関係を保つことが難しくなる場合もあるでしょう。

 

「ダメ!」と言い続けると、「チャレンジしない子」になる!

 

「ダメ!」「やめなさい!」。心配性のママは子どもの行動を先回りして制限してしまいがちです。また、思い通りに子どもが行動しないことに腹を立て、「やめなさい!」を連発してしまうこともあるでしょう。
子どもの知的好奇心や意志を尊重することなく、親の思い通りに子どもをコントロールするために使う「禁止の言葉」は、子どもの心にどんな影響を与えるのでしょうか。
「ダメ!」と拒絶される経験を何度も重ねると、子どもは「何かに興味をもって行動することはよくない」と自信を失い、チャレンジすることをあきらめ、好奇心が薄い無気力な子になる可能性があります。
また、常に親の顔色をうかがいながら、親に許可を得てからでないと動けない子になってしまいます。自分の判断で行動することを恐れ、行動できたとしても人の目を過剰に気にして、「人の言う通りに、気に入られるように動かないといけない。楽しいという感情も感じてはいけない」と無意識に脳にインプットされた結果、常に人の顔色を見て行動するようになるでしょう。

 

まず、お母さん自身が笑顔になりましょう!

 

家事、仕事をして時間に追われながらの日々の子育ては大変です。思い通りに動いてくれない子どもにイライラしてしまうものですよね。
でも、残念ながら、子どもに「なんで早くできないの!? 変わってよ!」という意識でいる間は、今の状況は変わらないでしょう。まず変わるべきなのは、自分です。
お母さん自身が、他人の目を気にして「〜であるべき」「〜するべき」という価値観に縛られていませんか? 「いい母親ではない......私はダメな母親だ」と自分を責めていませんか? 
そんなときはまず、お母さん自身が自分を大切にする時間をもつことが大切です。1人でがんばりすぎず、頼れるものは頼り、手を抜けるところは抜いて、自分が心地いいと感じる時間をもってください。
がんばっている自分にご褒美をあげましょう! 好きな音楽を聴いたり、動画を見てダンスをしたり。お母さんが生きることを楽しみ、笑顔が増えると、子どもの行動も落ち着いて家族に笑顔が増えていきます。
そして、お母さんに余裕ができると、普段なら「ダメ!」と言ってしまいがちな場面でも気にならなくなり、子どもの行動を冷静に受け止められるようになります。
今月号で紹介する言葉がけ、働きかけなどを生活の中に取り入れ、笑顔ある家庭を築いていきましょう。

 


 

PHPのびのび子育て10月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2019年10月号特集【「早く!」「ダメ!」と言わないほうが子どもは伸びる!】より、一部を抜粋編集したものです。

 

【著者紹介】

shizu
自閉症療育アドバイザー。ABA(応用行動分析)を利用して子どもの自己肯定感を高め、さまざまな力を伸ばす方法についてブログ、講演活動などで紹介している。著書に、『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』(講談社)、『「言葉がけ」ひとつで行動が変わる! 子どもの叱り方・伝え方』( PHP研究所)がある。