お母さんが笑うと、子どもが本来もっているさまざまな力がぐんぐん育っていきます。その力は、子どもが豊かに人生を生き抜くための支えとなり、学力や人間力を育てます。

 

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あなたの笑顔が子どもを伸ばす近道

やることが多く忙しい毎日、時には、「早くしなさい」「どうしてできないの?」と、つい怖い顔をして子どもを叱ってしまうこともあるかもしれません。でも、お母さんの表情、笑顔が子どもの成長に大きく影響するとなれば……どうしますか。
私自身の子育てを振り返ると、正直言って、仕事が忙しく、家庭をあまり顧みないダメな父親だったと思います。それでも子どもたち3人がそれぞれ自分の夢をもち、結果としてその道へ進んで豊かな人生を送れているのは、妻がいつも笑顔で子育てをしてくれたからだと思います。妻はコロコロとよく笑い、また子どもたちをよく笑わせようともしていたので、家庭の雰囲気はいつも和やかでした。

あるとき、子どもが東大に合格したお母さんたちに集まっていただき、話を聞く機会がありました。そのときのお母さんたちの笑顔の素敵なこと。日常的に“笑い慣れている”という感じで、表情がとても穏やかなのです。このようなお母さんが子どもをかしこく育てるのだな、と実感しました。そして、妻に改めて感謝したのです。
学力や人間力を育てる一番の近道は、家庭に笑顔があること、そしてお母さんが笑うこと。あなたが笑うことで、子どもに必要な力が育っていくのです。

自分でやる力 自主性とチャレンジする勇気が育つ
笑顔のあふれる家庭で育った子どもは、肩に無駄な力が入らず、ごく自然体でいられます。どのような結果になっても、お母さんが笑顔で受けとめてくれるということがわかっているので、「失敗したらどうしよう」と、ビクビクしません。そもそも「失敗」ということ自体が頭に思い浮かばないのです。いろいろなことに積極的で、「やってみよう」という意欲が自然と湧いてきます。そうやって挑戦して得た経験は、すべて生きていくための糧となります。

続ける力 最後までやりとげられるようになる
心配しすぎるお母さんは、「そんなやり方はダメ」などと口や手を出してしまいがち。子どもが自分の力で続け、やりとげる達成感を奪ってしまいます。こうしたお母さんのもとで育った子どもは、発想力に乏しく、少しひねった問題を出すと解けないことが多いのです。反対にお母さんが笑顔で大らかに見守っていると、子どもは安心して物事に向き合えます。途中でうまくいかなくても不安にならず、試行錯誤し、自分のやり方で続けることができるのです。

楽しむ力 自分の好きなことに没頭できる
ある一流アスリートのお母さんは、試合後、結果は聞かず、満足のいくプレーができたか、楽しめたかどうかを、まず明るく尋ねるそうです。お母さんがそのようにゆったりとした気持ちでかまえていれば、子どもは「うまくやらなくちゃ」「失敗したら怒られる」というようなプレッシャーを感じないで済みます。勉強やスポーツなど、何事に対しても楽しみながら取り組むことができるのです。また、人の失敗に対しても寛容な気持ちをもてるようになり、相手を思いやる気持ちも育ちます。

笑顔で子育てするために 子どもを3つの視点で見守ろう!

次の3つの点を普段から心がけて実践するとお母さんの心がラクになり、親子でたくさん笑い合えるようになります。

今の幸せ、自分の幸せに目を向ける
将来のためと、「今、つらくても頑張りなさい」と鬼気迫る表情で、子どもに勉強や習い事をさせるお母さんがいます。でも、子どもに将来幸せな人生を送ってほしいなら、今、幼児期に、子どもが楽しい、幸せだと感じられる時間を重ねることが大事です。幸せが何かをわかっていなければ、大人になっても幸せを手に入れることはできないからです。
また、お母さん自身が幸せでないと、子どもも幸せを感じられません。あなた自身が幸せだと思える生き方をしていきましょう。

世間体に振り回されない
世間の目を気にしすぎると、圧迫感、ストレスを感じます。みんなと違うことを恐れ、人と同じでないと不安になってしまうのです。また、他の子と比較して、勝った負けたばかりを気にしていると、際限なく競争する対象を捜すようになります。
正解のない子育てだからこそ、「うちはうち」というブレない「子育て軸」をもちましょう。そして、他の子と比べずに、「昨日より1回多くできた」など、子ども自身の小さな成長に目を向けましょう。そうすると、子どもが何かを頑張ったときに、結果ではなく、子どもが納得できたか、満足できたかで、ほめられるようになります。

親バカでいい
子どもが頑張ったとき、誰かに優しくしたときなどには、お母さんは周りをはばかることなく「〇〇ちゃん、最高~!!」「お母さんとっても嬉しい!!」そんなふうに、思いきり笑顔で喜んであげましょう。子どもができたことを単純に喜ぶ、それだけで子どもは安心し、愛されていると実感します。親子なら言わなくても愛情は伝わる、というのは思い込みです。表情、言葉でどんどん伝えましょう。親バカでいいのです。
どんなときも親は自分を受けとめてくれる、愛してくれる、味方でいてくれる、子どもがそう実感できることこそが何よりも大事なのです。

 


 

「PHPのびのび子育て」1月号より

 

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本記事は、「PHPのびのび子育て」2020年1月号特集【お母さんが笑うだけで、かしこく優しい子に!】より、一部を抜粋編集したものです。

【著者紹介】
陰山英男(かげやま ひでお)
陰山ラボ代表、教育クリエイター。一般財団法人基礎力財団理事長、NPO法人日本教育再興連盟代表理事、徹底反復研究会代表。基礎学力向上を目指す「陰山メソッド」を確立。全国各地で学力向上アドバイザーも務める。著書に、『頭のいい子が育つ「最高の生活習慣」』(PHP研究所)など多数。