幼稚園受験の帰り道、うっかり定期入れを失くしてしまった岡﨑さん。すると、息子さんが......。


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子どもの優しさに救われて~負けそうな私を立ち直らせてくれたできごと

私には、3歳になったばかりの息子がいます。親のひいき目かもしれませんが、思慮深く、思いやりのある優しい子です。
ある日曜日。2つめの幼稚園受験を終えた、電車での帰り道のことです。ほっとしつつ、多忙な夫と直前まで幼稚園選びの方針をすり合わせることができず、朝からきつい言葉を受けて落ち込んでいました。
面接後に公園に寄って、力尽きてスヤスヤと眠る息子を抱え、愛おしい重みを感じながら、私も座席でウトウトしてしまいました。
最寄り駅につき、改札を通ろうとすると、定期入れが見当たりません。焦って鞄を慌ただしく漁るも、やっぱりない。どうしよう、大事なものを......。
夫の冷ややかな目線を感じながら、今朝の口論を思い出し、青ざめる私。夫と言い合う気力は、私にはもうありませんでした。
すると、目を覚ましてしまった息子がきょとんとしつつ、すぐに事情を察して、
「だいじょうぶだよー! ぜったい、ぜったい見つかるからね。車掌さんが、見つけて、○○駅(最寄り駅)まで、持ってきてくれるからね。○○ちゃんが(息子自身のこと)、お母さんに、とどけてあげるからね!」
と、何度も何度も言ってくれたのです。
その力強く、優しい言葉に、目頭が熱くなるのを抑えられませんでした。
ありがとう、ありがとう。何度も息子にお礼を言い、抱きしめました。
おかげさまで、定期入れは無事、最寄り駅からほど近い駅で見つかり、後日、息子と取りに行きました。
駅の奥の奥にある落とし物窓口へ、文句ひとつ言わず張り切ってついてきてくれた息子。本当に頼もしく、救われる思いでした。
その後も、折りに触れて、
「お母さん、大好きだよ〜」
「お母さん、生まれてきてくれて、ありがとう」
と、ぎゅっと抱きついてくれる息子に、日々どれだけ癒やされ、活力をもらっていることでしょう。
息子を授かったこと、優しく成長してくれていることに、感謝してもしきれません。
息子は、まだ生まれて3年。
もちろん、ありのままの感情そのままに、機嫌を損ねたりすることもあります。ですが、今回の出来事は、息子の心の成長と優しさを実感することができる大切な思い出になりました。
子どもの純粋無垢で、素直な感情表現には、大人の私たちも学ばされることが多くあります。
私も息子を見習って、これからは素直に、相手を思いやる気持ち、安心させてあげたいという気持ちを、伝えていきたいと思いました。
息子に、心からのありがとう。

岡崎 華(東京都・32歳・会社員)




「PHPのびのび子育て」5月号より


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本記事は、「PHPのびのび子育て」2021年5月号特集【「早く!」をやめれば、子どもは変わる】より、一部を抜粋編集したものです。