• 体験談

7歳の誕生日を迎えた子が見せた成長がみんなを驚かせます。どんな素敵な日になったのでしょうか？

※本記事は『PHPのびのび子育て』（2014年7月号）に掲載され、WEBサイト「PHPファミリー」にて一部抜粋・編集の上で公開されたものです

子どもの成長におどろいた話

「ママ、今日は２人で夕ご飯、つくろう」
息子・テッちゃんの唐突な言葉に、思わず「はい？」と聞き返してしまいました。なぜなら、この日は息子の７歳の誕生日だったからです。もちろん、私なりに誕生日パーティーを計画していました。

「今日は、テッちゃんの誕生日だけど？」と私が不思議そうにたずねると、「だからさ！」と返ってきました。

父親を知らない息子は、３年前におじいちゃんが他界して以来、代わりに自分がしっかりしなきゃ、と意識しているようでした。夕ご飯をつくろう、と言ったその時の態度にも、何とも言えない強さが感じられたのです。

「２人でつくるのも、楽しいよね」
私がそう答えると、息子は得意顔で１枚のメモを差し出しました。
『ケーキ　ごはん　スープ　デザート　たまごやきとソーセージやき　サラダ』
すでにメニューも考えていたのです。

２人で買い物に出かけると、スーパーでも息子は大活躍。
「ママ、小麦粉も買う？」
「スープにはコーンも入れるからね」
「サラダには、マヨネーズが必要だ！」
とテキパキと買い物をして、家に帰って調理しはじめると、まるでシェフのように、
「ママ、お米を洗っておいて」
「ケーキはママがつくってね」
「ソーセージ、もってきて！」
と指示を出します。いつの間に、こんなにいろんなことができるようになったんだろう、と感心している私を横目で見ながら、「ママ、パーティーの準備をして！」と、テーブルセッティングに入りました。

「ここはおばあちゃんとおばちゃんたち。こっちに飛雄兄ちゃんとまい姉ちゃん、ここにテッちゃんとママ」
と、家族やいとこたちのお皿も、きれいにおしゃれに並べていきます。

そして、いよいよパーティーがはじまりました。

みんなが口々に「テッちゃんがつくったの？　おいしそう！」「上手だね、がんばったね」「テッちゃんすごいね！」と言ってくれます。それぞれのグラスにジュースがつがれると、突然息子が立ちあがりました。

「今日は、ぼくの誕生日です。７歳になりました。サッカーも勉強もがんばっています。いつも応援してくれてありがとうございます」
そう言うとグラスをかかげて「乾杯！」。みんなもあわてて「乾杯！」「お誕生日おめでとう！」と続きました。

得意満面、笑顔全開の息子と、驚きを隠せない私たち。そして、おばあちゃんが言いました。

「テッちゃん、こちらこそありがとう。テッちゃんの笑顔が、みんなの元気の素だよ」
そう、息子の唐突な「２人で夕ご飯、つくろう」は、みんなへのお礼の気持ちだったのです。私たち親子をみんなが支えてくれていることを、息子はしっかりと受け止めていたのです。私もあわてて、
「みなさん、いつもありがとうございます」
とあいさつをしました。
息子は、ウン、ウンとうなずいていました。

テッちゃん、ありがとう。すてきな誕生日でしたね。

（林聖子、長崎県）