親がかける言葉で、 子どもの人生が変わる

榎本博明
2023.10.06 14:24 2023.02.01 17:45

「口ぐせ」のメカニズム~つい同じ言葉を言ってしまう理由~

パパと男の子
口ぐせは思考パターンをつくります。逆に言えば、口ぐせは思考パターンのあらわれとも言えます。自分自身がよく言う言葉から、自分の思考パターンの特徴を知ることができます。そして、それは子どもに受け継がれていきます。

理由1:子どもをコントロールしようとしすぎる

「なんでできないの!」「ほんとにダメね!」といった親の口ぐせのせいで、「どうせムリ」「きっとダメだよ」が口ぐせの、自信がなくすぐに諦める子になってしまうというのは、よくあることです。その場合、子どもを自分の思うようにコントロールしようとしすぎるところに問題があると言えるでしょう。

人それぞれに個性があるものですし、子どもには子どものペースがあります。そこのところを踏まえていないと、ムキになって子どもに否定的な言葉を投げかけてしまいます。

理由2:自分自身の感情をコントロールできていない

感情的な親は、好ましくない言葉を子どもに投げかけがちです。冷静な親なら「どうしたらうまくできるかな?」と声をかける場面で、感情的な親は「なんでできないの!」と叫んでいます。

冷静な親なら「もう少し急がないと。さあ、がんばろう!」と声をかける場面で、感情的な親は「なにやってるの! もう、イライラさせないでよ!」と叫んでいます。 否定的な言葉を子どもにぶつける親は、自分自身の感情コントロールができていないのです。

理由3:自分自身の思考パターンが悪い

口ぐせは思考パターンのあらわれだと言いましたが、悪い口ぐせがあるということは、好ましくない思考パターンを身につけてしまっているということになります。

すぐにめんどうくさがるから、「あー、めんどくさい」と口にしてしまう。冷静さに欠け、すぐにイライラするから、「ほんとにイライラする」と口にしてしまう。すぐに諦める質だから、「もうムリ」「どうせムリ」「もう、やだ」と口にしてしまう。悪い口ぐせの背後には、それに密着した好ましくない思考パターンがあるのです。

榎本博明

榎本博明

1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。