「短所」が「長所」に変わるセルフトーク

榎本博明
2023.10.11 10:38 2023.02.01 18:55

ケース2 頑固・わがままさん

腕を組む女の子
(※画像はイメージです)

子どもの特徴

友だちに合わせることがなく、自分のやりたいことを強引に押しつける。親や先生から注意されても、素直に行動を改めず、自分の方法や要望を通そうとする。

こんなセルフトークを!

「意志が強すぎるのね」
「自分がありすぎるのね」
「もうちょっと人の気持ちを考えられるようになるといいんだけど」
「もう少し人に合わせられるようになれるといいな」

頑固でわがままな子は、自分の思うように行動したい、自分の意に反してまで人の言うことに従いたくはないといった気持ちが強いのが特徴です。ですから、頭ごなしに命じたり叱りつけても逆効果になります。大人でもそうですが、自分を否定する相手の言葉ははねつけても、自分を認めてくれる相手の言葉に対しては気持ちが受容的になるものです。

このタイプの子は、見方によっては自分がしっかりとあって意志が強いとも言えます。そこで、「しっかり考えてるんだね」「自分でちゃんとやりたいんだね」のように、自分のしたいように行動する傾向を肯定する言葉がけをしましょう。そうすることで、親の注意にも耳を傾ける気持ちが芽生えてくるはずです。

ケース3 注意散漫さん

遊ぶ女の子
(※画像はイメージです)

子どもの特徴

気が散りやすく、1つのことに集中するのが苦手。お絵描きでも、絵本でも、すぐに飽きてしまい、席を立ってウロウロし始める。おもちゃもすぐに飽きて、別の遊びをしたがる傾向がある。

こんなセルフトークを!

「いろんなことに興味があるのね」
「やりたいことがいっぱいあるのね」
「瞬発力があるのね」
「もうちょっと落ち着けるといいんだけど」

飽きっぽい子は、集中力が乏しく、あちこちに興味が向かうため、注意が分散してしまいます。それに対して、「集中しなさい」「そんなに飽きっぽいんじゃしようがないわね」のように命じたり非難したりしても、聞く耳を持たないでしょう。

非難されるより褒められることで、子どもは良い方向に変わるものです。飽きっぽいと非難がましい目を向けずに、いろんなことに興味がある、好奇心が強いというように肯定的な目を向けるようにしましょう。

たまたま何かに関心を向けていたら、「小鳥さんが好きなのね」「小さいときからお絵描きが好きだったね」などと、自分の趣味・関心を意識させるような言葉がけをするのも効果的です。

榎本博明

榎本博明

1955年生まれ。東京大学教育心理学科卒。東芝市場調査課勤務の後、東京都立大学大学院心理学専攻博士課程中退。カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在、MP人間科学研究所代表。主な著書に、『伸びる子どもは○○がすごい』『勉強できる子は○○がすごい』(以上、日経プレミアシリーズ)、『教育現場は困ってる』(平凡社新書)、『〈自分らしさ〉って何だろう?』『「さみしさ」の力』(以上、ちくまプリマ―新書)『「やさしさ」過剰社会』(PHP新書)などがある。