「短所」が「長所」に変わるセルフトーク

榎本博明

ケース4 乱暴さん


(※画像はイメージです)

子どもの特徴

自分の思い通りにならないとカッとなり、友だちとしょっちゅうケンカに。感情を抑えられず、つい乱暴なことをしてトラブルになる。イライラして、おもちゃなどの物に当たったりする場合もある。

こんなセルフトークを

「元気が良すぎるのね」
「自分の思いをうまく言葉にできなくてイライラしちゃうのね」
「もうちょっとお友だちの気持ちを考えられるようになるといいんだけど」

乱暴ですぐカッとなる子は、自分の思いを言葉にするのが苦手なため、思い通りにならない場面でついイライラして、言葉でなく行動で思いを表現してしまいます。いくら厳しく叱っても、同じような場面になると衝動的な行動を繰り返してしまうでしょう。

このタイプの子に対しては、思っていることを言葉にするのを促すようなやりとりをするのがコツです。「一緒に遊べなくて淋しかったのかな」「みんなと仲良く遊びたかったのね」というふうに、気持ちを言葉にする手助けとなるような声かけをしましょう。

また、子どもにつられて感情的にならず、「わたしはこうしてくれたら嬉しいな」などと、冷静に伝えることも大事です。

ケース5 泣きむしさん

子どもの特徴

思い通りにならないときや叱られたときに、すぐに泣く。自分ではどうにもならないと訴え、助けを求めるかのように何かというと泣いて、自分の気持ちを主張する。

こんなセルフトークを!

「自分の気持ちを伝えるのが苦手なのかな」
「どうしたらいいかわからなくて困っちゃうのね」
「自分の思いをちょっとでも言えるようになれるといいな」

すぐに泣く子は、困った場面になるとどうしたらよいかわからず混乱します。自信がないために、日頃から人に依存する傾向があり、誰にも頼れないような場面になると立ち往生し、追い詰められて泣くしかないといったことになりがちです。

このタイプの子には、自己効力感を育てることに重点をおいた言葉がけが有効です。「なんでそんなにクヨクヨするの」「泣いたってしようがないでしょ」のように非難がましいことを言っても、自信をなくすだけです。

何かうまくできたときに、「よくできたね」「上手だね」「自分ひとりでできたね」といった具合に、自分で頑張ればうまくいくんだということを意識させる言葉がけをしましょう。

どんな性格も長所に置き換えられます!

性格というのは、素質を基礎にできあがった、かけがえのない個性です。簡単に変えることはできませんし、素質に良いも悪いもありません。どんな素質も、長所にもなれば短所にもなるのです。短所が気になってしようがないときは、その素質に含まれる長所に目を向けるようにしましょう。頑固さの背後に意志の強さを、消極性の背後に慎重さを見るように。

視点の先にあるのは輝く子どもの未来です

北風と太陽のエピソードを思い出してください。性格の短所を責めて、無理に変えさせようとしても、子どもはよけいに萎縮して、その短所から抜け出せなくなってしまいます。

親がイライラしたり責めたりせず、長所に目を向けてポジティブな視線を子どもに浴びせることができれば、子どもは短所を意識しなくなり、素質を好ましい方向へと伸ばしていけるようになります。

わが子の気になる性格を変えたいと思うなら、まずは親自身の視点を変えることが大切です。おおらかで前向きな親になれるように、ネガティブになりがちな視点を揺さぶることから始めましょう。