頭のいい子、性格のいい子の土台は家庭がつくる
子どもと向き合う時間を大切に
最近気になるのは、親がスマートフォンに夢中になり、その横で幼児が手持ちぶさたにしている場面によく出くわすことです。親が子どもと一緒にいても心ここにあらずというのでは、愛着の絆の形成が危ぶまれます。
子どもが幼いうちは、子どもとの相互作用を心がけ、話しかけたり応答したりといったやりとりを積極的にしていくことが大切です。
ほんとうの「頭のよさ」って?
自分なりに思考し、ものごとを様々な角度からとらえることができ、認知能力、非認知能力ともに高いことです。
「頭のよさ」というとき、多くの人が思い浮かべるのはⅠ Qに代表される認知能力でしょう。認知能力を高めるために大事なのは、「言語能力を高める」こと、そして「認知的複雑性を高める」ことです。
私たちは言葉で考えます。何かを考えるとき、頭の中を言葉が駆けめぐります。ここからわかるのは、言葉を豊かにもつことが考える力につながるということです。また、単純なものの見方しかできない子がいる一方で、ものごとを多面的にとらえられる子もいます。
それは認知的複雑性の違いと言えます。認知的複雑性の低い子は、矛盾した情報を前にして混乱したり、考え方の違う相手に反発したりしがちですが、認知的複雑性の高い子は、総合的な判断ができ、考え方の違う相手のことも理解できます。
さらには、このような認知能力だけでなく、E Qと呼ばれる非認知能力も「頭のよさ」に関係します。それは、粘る力、欲求不満に耐える力、やる気を燃やす力、集中力、人の気持ちや立場に対する共感性、自分の感情をコントロールする力などです。
これらの能力は、遊びに夢中になったり、友だちと関わったりする経験や、親子のやりとりを通して身についていきます。
「性格のいい子」って、どんな子?
思いやりや協調性をもちながら、自分のいい部分、個性を伸ばしていける子どものことです。
わが子には「性格のいい子」になってほしい、誰だってそう願うものです。ただし、「性格のいい子」にしたいというとき、2つの視点が必要です。1つは、誰もが身につけるべき「望ましい性格をもたせる」こと。もう1つは、それぞれの「個性をよい方向に伸ばす」ことです。
前者は、日本の場合は思いやりや協調性になります。これは文化差が大きく、アメリカでは自信や自己主張力になります。今の日本はアメリカ流を無批判に真似る風潮があるため、やたらと自分勝手な自己主張をする若者もいて、企業などが手を焼いています。社会でうまく生き抜けるようにするには、思いやりや協調性を身につけさせることが大切です。
後者は、子どもの短所にいらつかずに、個性がよい方向に伸びるように促すことです。たとえば、細かいという性格は、神経質というと短所になりますが、繊細でよく気がつくというと長所になります。
優柔不断という短所も、思慮深いという長所と裏腹です。短所を責めるばかりでは子どもは萎縮してしまいます。子どもの短所の裏側にある長所に目を向け、そこをほめるような声がけをすることで、個性をよい方向に伸ばすことができます。