頭のいい子、性格のいい子の土台は家庭がつくる

榎本博明

7歳までに大切にしたい習慣


(※写真はイメージです)

頭がよく、周りの人とうまく協調しながら自分らしく生きていける子にするために、子どもに身につけさせたいことがあります。

(1)思いやりの心を植えつける

日常の何気ないやりとりの中で、相手の気持ちを想像させるように導きましょう。「○○ちゃん、嬉しいだろうね」「○○ちゃん、どんな気持ちかな?」といった具合に。絵本の登場人物を題材にするのもよいでしょう。

「アリさん、必死になって食べ物を運んでるね」「ワンちゃん、何だか淋しそうだね」「このお花、陽が当たらなくてかわいそうだね。寒い、寒いって言ってるね」といった感じで、人間以外の生き物を題材にすることもできます。

(2)絵本に馴染ませ、言語能力を育てる

言葉は思考力の基盤になります。最近は、読書習慣のないままに育ったため言葉が乏しく、ものを考えるのが苦手な若者が増えています。絵本を一緒に楽しんだり、絵本の読み聞かせをしたりして、小さい頃から本に馴染ませることが大切です。

絵本を読むだけでなく、絵本をめぐって親子でやりとりすることが、さらなる言葉の豊かさをもたらします。その意味では、親自身が絵本を子どもと一緒に楽しむ気持ちが大事です。

(3)他者との関わりを十分に経験させる

引きこもりやニートなど、人とうまく関われない、コミュニケーションがとれない若者の増加が社会問題になっています。いくら豊かな知識をもち、学力を高めても、人とうまく関わることができないのでは、社会に出て活躍することはできません。

人と関わる力は、その基礎が幼児期に形成されます。近所の遊び集団がなくなった今日、友だちと関わる機会を親が意識してつくってあげる必要があります。友だちのきょうだいや親も含めて、いろいろな年代の相手と関わる経験をするという意味で、家族ぐるみのつきあいをしていくことも大切です。

(4)我慢する習慣をつけさせる

「ほめて育てる」という子育てが広まったために、ネガティブな状況に弱く、思い通りにならないとすぐに心が折れてしまう、逆境で粘り抜くことができずにすぐ諦めてしまう、注意されると反発する、そんな心の弱い若者が目立ちます。

そこで、このところ教育界で注目されているのがレジリエンス、つまり一時的に落ち込んでもすぐに立ち直ることができる力です。レジリエンスを高めるには、小さい頃から思い通りにならない状況に耐える習慣をつけさせるのが効果的です。我慢する習慣、欲求不満に耐える習慣は、将来大きな力になります。

【著者紹介】榎本博明(心理学博士)
東京大学教育心理学科卒業。心理学博士。心理学を活かした教育講演やビジネス研修などを行なう。著書に、『「やさしさ」過剰社会』(PHP研究所)など多数。