親が教える! 子どもが「英語好き」になる3つのお話

関正生(「スタディサプリ」人気No.1英語講師)

英語は試験前に「丸暗記」で覚えていたという人も多いかもしれませんが、その知識のほとんどはもう忘れてしまっているのでは?

丸暗記英語は一夜漬けには有効でも実際には身につかず、特に小中学生には弊害だらけだというのは、「神授業」でおなじみのカリスマ講師・関正生氏です。

丸暗記ではなく英語の「本質」を知ることで、簡単に覚えられたり、英語が楽しくなるきっかけを作れるのだそう。そんな英語の本質に触れるエッセンス3つをピックアップしてお届けします。

※本記事は『子どもの英語力は家で伸ばす 本物の英語が身につく最強の家庭学習法』(かんき出版)より一部を抜粋編集したものです。

英語の丸暗記は子どもには弊害だらけだ

別の記事で「受験英語は実践で大いに役に立つ。ただし、丸暗記英語は使えない」というお話をしました。

理由・背景を一切考えない闇雲な「丸暗記」は、テスト直前の一夜漬けには有効かもしれませんが、実際には弊害だらけです。

というのは、子ども(特に小学生)は記憶力が優れているので、なんでもかんでも覚えてしまうからです。丸暗記で勉強を乗り切ってしまうと、その後の人生でも「覚えられればできる」けど、「覚えられなければできない」ということになってしまいます。

中学まで英語が得意だったのに、高校ではできなくなってしまう原因は、まさにこれです。

中学レベルの英語なら丸暗記で乗り切れるのですが、高校レベルでは単語数が爆発的に増え、文法の知識も細かくなります。おまけに記憶力のピークもすぎていますから、得意の丸暗記は以前ほど通用しません。そして英語ができなくなって、苦手意識が増長してしまうのです。

では、具体的にどうすれば丸暗記にならないのでしょうか。それは、英語の本質を知ることです。これにより、ぐっと理解が深まり、英語が身近になります。

実際、私の英語の本質を伝える中学生向けの「応用コース」を受けた全国の小中学生からは、「英語の見方がまるっきり変わった」「初めて英語の勉強が楽しいと思った」という数万件もの感想をいただいています。

Good morning. はなぜ「良い朝」ではないの?

たとえば、身近なところでGood morning.は「おはよう」だと誰もが疑いませんが、これは思考硬直の典型例だと思います。

直訳すれば‟良い朝“であるのに、なぜ「おはよう」というあいさつになるのでしょうか? これは、とても大切な疑問です。考えてみると、Good morning.には日本語の「おはよう」の「早い」に当たるearlyという単語はどこにもありません。

これは、そもそも日本語と英語の「あいさつ」に対する考え方が大きく異なるからです。

日本語のあいさつは、「事実をそのまま描写」する傾向があります。たとえば、朝早ければ「今日もお早くされてますね」の「お早く」から「おはよう」となりました。

一方、英語のあいさつは「お祈り」なのです。実はGood morning.の本来の形は、その前にI wish you「あなたに願います」が省略されていたのです。

I wish you good morning.
「私はあなたに良い朝がおとずれることを願っています」

日本語には、朝一番で人に会ったときにお祈りをする習慣はないので、このGood morning.に「おはよう」という訳語を当てただけなのです。「意味が同じ」なのではなく、「使われる状況が同じ」というだけなのですね。

英語のあいさつは「お祈り」なので、良い表現しかありません。Bad morning.なんてあいさつがないのはそのためなのです。

他のあいさつも同様です。Happy New Year! もMerry Christmas!も、「あなたに幸せな新年・愉快なクリスマスがおとずれますように」というお祈りなのです。ちなみにmerryは「愉快な」という意味です。

このように説明すると、お子さんの英語に対する視野が劇的に広がるはずです。